緑地に関して
7月末に予定されている追加対策の効果確認の完了期限まで後10日余りとなった。重大な山場であり、東京都と平田氏らの確認結果の検証に向けて、正確な話が重要になってくる。
そのような状況の中、Ki氏が水位問題について色々考察を書いておられる。しかし、同氏の見解には根本的な数値の誤りがあるのでご紹介して、皆さんのご判定を仰ぎたいと思う。
----Ki氏Twitter引用開始----
【豊洲市場・地下水位】
<地下水管理システムの破綻>
砕石層下端AP+2mに対し20cmの余裕を確保してのAP+1.8m管理値はだめ
126mm降雨に対し、地下水位上昇量は、都の数値を使っても
緑地部では 12.6x0.85/0.15=71cmの水位上昇
確実にAP+2mを越し、毛細管現象が発生
2018年7月16日
----引用終了----
この中の水位上昇計算や、添付されているグラフ・表などは、第8回技術会議の以下資料がベースになっている。
この資料では、以下のように浸透量の計算が行われている。
同様の浸透率が記載された説明図が有る(2013年5月)。舗装部の浸透率は15%、緑地部は85%の想定になっている(下図左下)。
Ki氏は、緑地部の浸透率85%(0.85)と、Twitterの表にある有効空隙率0.15を使用して、以下計算を行っておられると思われる。
“緑地部では 12.6x0.85/0.15=71cmの水位上昇”
⇒降雨量12.6cm x 浸透率0.85 / 有効空隙率0.15 ≒ 71cm
しかし、その後、特に緑地部の地下構造は変更されている。具体的には、「ベントナイト層による遮水」が緑地部の地下に追加され、下図右の「地下水管理システム設計資料」のようになっている(赤字は当方追加)。
また参考として現在使用されている地下水管理システムの説明図にも、緑地部地下のベントナイト層が表示されており、これが現在形になる(図右下に説明)。
但し、ベントナイト層を含めた透水率は不明。しかし、85%の浸透に対して、2層式にして遮水性のあるベントナイト層を追加しているのだから、原理的に0.85よりずっと小さい値になることは確実。
結果的に、「緑地部浸透率0.85」での計算は、実際の想定より大幅に大きい浸透率で計算することになり、水位上昇も過大な値になってしまう。
しかし、緑地下にベントナイト層があることは、上図のように公開資料で明示されている。また、前述の「地下水管理システム設計資料」(日水コン作成)は、水谷さんが情報公開請求で入手された資料でKi氏も見ておられる。
そのため、同氏がベントナイト層無しでの浸透率0.85で計算することは、全く不思議に思えている。それでも、現実において0.85で計算されており、過大に見積もった浸透量を元に、「主に敷地内降雨で、敷地内の水位が説明できる」と主張しておられることになる。
それが実際は、前述のように「ベントナイト層設置前の浸透率」という「不適切な数値使用による誤り」ということになる。
もし、Ki氏が今後も「主に敷地内降雨で水位説明可能」という主張をお続けになる場合は、ベントナイト層設置後の浸透率を想定した再計算により、水位上昇の説明がつくことをお示し頂ければと思う。
以上