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WP稼働継続での対策効果確認なら虚偽になる

昨日7月18日公表の水位データ。
工事完了届が7月12日で、約1週間経過後の水位状況になる。
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結果として、観測地点33か所中17か所でAP+1.80m超になっており、半数以上の地点で目標管理水位未達成という惨憺たる状態になっている。但し、水位が急上昇している地点は見つからないが、これは逆に見ると「ウエルポイント工(WP)の稼働を継続している」と推測するのが妥当となる。

WPに関しては、前記事で工事完了以降も稼働を確認して紹介。そのため稼働が更に続いていても不思議ではない。しかし、7月末まで2週間足らずになっており、都と平田氏らは「WP稼働継続のままで効果確認する」ということになってくる。

しかし、本来工事用に主に用いられるWPを、今回異例な形で導入した都の論理は概ね以下のようなもので、「暫定的な措置」という前提だった。

----WP導入を正当化する都の論理----
①水位上昇原因:
2016年8月ごろの大雨と工事用排水ポンプ撤去により、一時的に地下水位が大幅上昇した。
②水位目標未達成原因:
地下水管理システムの揚水機能は、このような目標水位を超える大幅上昇を迅速に下げる必要性は想定していなかった。目標水位まで下がった状態で、大雨に対しても水位維持する能力になっている。
③WP導入理由:
揚水機能を稼働し続ければ、少しずつは水位低下させられるので、時間が経てば目標水位に到達することになる。それを狙ったが、実際には目論見通りに低下せず、逆に上昇の局面も発生している(この原因は明らかにされていない)。そのため、WPという主に工事用の手法を導入してでも、一旦目標水位まで下げようという都の発想。
④WP稼働での水位分布と稼働停止での測定の必要性:
目標水位まで下がれば、WPはお役御免で、期間限定の暫定的な措置としての導入が都の論理。また、WPによる水位分布は下図のようになり、観測井戸の近傍でWP稼働させたら正確な水位が測定できないことは明白。しかも低めの値が出る虚偽データ。但し、当然都も分かることなので、「WP停止で水位確認を行う」と本年4月には説明していた(後述)。

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これで、もしWP稼働で効果確認を行うなら、重大な欺瞞であることは明らか。以下のような状態でも、平田氏らは効果確認を行うのだろうか。
(1)目標水位に達しない箇所が多く発生したままで工事完了を認める
(2)WP稼働を殆どの箇所で継続する
(3)稼働恒久化を前提にしてしまう
(4)不正確な水位測定結果でも正式データとして扱う
(5)工事完了から2週間では長期に渡る効果の確認は不可能になる(例えば昨年は10月に最高水位発生)

⇒今までの都と平田氏らのやり方から推測すると、強引に「効果確認完了」と発表する可能性は大きいと見ざるを得ない。その内容や論理はどのようなものになるか要注目。

なお、以下にWPに関する情報を紹介する。
週刊ダイヤモンド社の岡田記者の記事で、都担当者のWPに関する発言が紹介されている。(表題にある「最側近=小島氏」の件は、追記で取り上げる)
P4<追加対策工事自体は7月中旬にも完了し、専門家会議は同月末までに工事の効果を確認する計画だ。その際、WPで一時的に低下させている地下水位については「一度、WPを止めて本来の水位に戻したうえで判断する」(都中央卸売市場の山本諭・環境改善担当課長)としている

→同記事には、「WPの揚水期間は80日間」などWPが暫定措置であり、言ってみれば「追い風参考記録」という指摘や、都に責任を振っている平田氏発言なども出ているので是非ご覧下さい。

そして上掲山本課長発言は、「WPを止めて本来の水位に戻したうえで判断する」として、暫定措置であることを認識した対処予定が述べられていた。だが、ここに来ての状況は、前述のように「WP稼働を継続したままでの確認実施」が予測される。

遡ると、都や平田氏による「地下水位上昇と地下水管理システムの能力」に関する説明は以下のようになっていた。
<村井中央卸売市場基盤整備担当部長 現在、市場用地内で地下水位が高い状況をつくった大きな原因は、工事中の雨により入ったものが影響しているわけでございまして、地下水管理システムは一・八メーターの日常水位になった状態では正常に機能するように設計したものであるというふうに考えております。>

例2:昨年8月の環境影響評価審議会での都の説明
<池田アセスメント担当課長 地下水をA.P.+1.8mに管理できなかった原因でございますけれども、主要建物の建設工事中につきましては、敷地内の地下水をポンプでくみ上げて、仮設の排水設備を設置して排水を行っておりました。ただ、平成28年7月から8月にかけまして外構工事が進みまして、その際に仮設の排水設備を一時撤去せざるを得ない状況になった時期がございます。地下水管理システムの本格稼働は10月でございますので、ちょうどこの時期に台風等の影響によりまして相当量の雨が降ったことから、地下水の水位が上昇したものと市場のほうでは考えてございます>

例3:第4回専門家会議趣旨
<平田座長 地下水管理システムは水位を一定に保つ能力は有るが、水位を急激に下げる能力は元々ない>

⇒都や平田氏らは、当初から「目標管理水位AP+1.8mに達したら、地下水管理システムの能力で水位維持できる」と繰り返し強調。しかし、以下の状況で根本的に崩れてしまっているが、無視してゴリ押ししてきそう。
■WP稼働継続でも目標達成できない地点が有る
■WP稼働継続しないと目標維持できない可能性大(実際に停止させてみないと不明)

⇒まさか効果確認の直前でWP停止させて、「水位上昇前のデータで確認OKとする」ような欺瞞までは、やらないと思うが・・・(苦笑

以上
[追記]
小島氏が主導した「PT2次報告書」に以下の記述有り。小島氏らは「追加工事でも水位目標達成できない」ことを認識していた可能性大。
<④専門家会議の取りまとめによる「地下水管理システムの機能強化」については、 これにより地下水位を目標管理水位(A.P.+1.8m)以下に維持することができる仕様と なっているか、それが契約によって確保されているか、機能強化工事によっても目標管理水位が維持できない場合はどのような責任関係になるのか、A.P.+1.8m 以下に維持できない場合どのような対策を講じることになるのかなどを、あらかじめ明確にして おく必要がある。  
・・・
豊洲市場では、広い敷地を有する街区の周囲を矢板で遮断する工事を行い、敷地内では液状化対策が行われて地下水の流動性が制約されている。このような敷地で地下水管理が行われた例はなく、地下水管理システムの設計者も機能強化対策を実施する業者も、 契約において「地下水位を A.P.+1.8m に維持」という性能を保証していない場合には、 地下水位がA.P.+1.8mを超える場合の対策もあらかじめ考えて対処するPDCAサイクル を組み込んでおくことが有用である。>

→ここまで踏み込んだ指摘をしていた。都や設計会社・ゼネコンの一部などは、水位が下がらないことを見通していて、小島氏らにも伝わったものと想定される(ゼネコンの応札拒否が続いたことも理解できてくる)。
しかし、PT2次報告提出は2017年8月19日であり、その約2か月前の6月20日に小池知事の「基本方針」が発表されていた。そのため、東京都に確認された方がおられて、「都としてはPT2次報告は採用していない」との回答だったとのこと。

都が設置した会議の重大な指摘を全く無視するのだから酷い話。豊洲移転問題の裏には、このような欺瞞が多数ある。しかし、世間一般だけでなく移転問題に注目している方々にも余り知られていないという事実。

また、上掲の岡田記者の記事では、地下水位に関する小島氏の見方が更に明確に書かれている。
<「豊洲市場の地下水位をA.P.+1.8mで管理することは、絶対にできない」――。小池百合子東京都知事環境大臣時代からの最側近で、知事就任後は都特別顧問として築地市場移転問題を切り回し、現在は都議会会派「都民ファーストの会」事務総長を務める小島敏郎青山学院大学教授は、周囲にこう語っている。>

→このように断定しているとしたら、単に「地下水位が、なかなか下がらない」という現象面だけでなく、水位低下を阻む何らかの原因まで含めて把握していたのではないかと推察されてくる。

追記以上