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PT第1次報告書と都議選展望1

PTが知事に手交した第1次報告書の最終版も確認。第10回PT資料からの変更点一覧などは付いていないが、大きな変更は無いと思われる。以下のⅠ~Ⅲ(章)の三部構成。
 "Ⅰ 卸売市場のあり方 Ⅱ 豊洲市場移転案 Ⅲ 築地改修案"

Ⅰ章の最終項目に重要な図が入っている点も、Twitterでも書いたが、最終版も変わらない。(赤字部分は当方追記)
(5)豊洲市場と新築地市場の将来の姿
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豊洲と築地の複数案を提示している報告だから、本来はPTとしての比較評価等が「まとめ」などの章で付いていそうなところが、尻切れで終わっている。そのためI章の実質最後に有る上図はPTが想定する「両市場の将来の姿」と推察。

また報告提出を受けて本日15日から2日連続で戦略本部の会合が開催されるが、事前に以下のような報道が出ている。
豊洲移転後、築地市場の敷地を売却せずに民間に貸すことで、市場の事業を長期にわたり継続できるとの収支見通しをまとめたことが14日、関係者への取材で分かった。・・・
豊洲、築地共存案」は持続可能な有力候補として、小池百合子知事に会合で示す。小池知事は両日に詰めの議論をした後、23日告示の都議選前にも判断を示す見通し。>
→「豊洲移転後、築地市場の敷地を民間に貸す」という点に注目が集まりそうだが、もっと大筋では「豊洲、築地共存案」で、かつ上図Bのように築地に「卸・仲卸売場」が残るのがPT報告の主旨。都庁内で組織された戦略本部は独自提案などは行わず、PTにおける外部有識者の提言内容を殆ど変更せずに、そのまま知事に伝える役目になると思われる。

しかし、共同通信記事は「豊洲移転後」となっている。それに対して上図で「C+D」となる豊洲市場は、「卸売場と仲卸売場がない市場」になるのか??? 
推察すれば、日経も共同も都庁からのリークで書いていて、リーク主が「豊洲移転」と錯覚させるような情報の出し方をしていることが考えられる。また錯覚誘導は無意識と意識的が考えら、後者の可能性が高そうだが内実は不明。

それでも都議選告示前に小池知事が「豊洲移転しつつ、豊洲、築地共存案検討」とマスコミや世間が受け取ってくれれば、知事と都民ファーストの会にとっては大成功になると現時点で推測。実質的には築地再整備とほぼ同様になるような構想と思うが、「追記」で後述するように問題点は山積。しかし、投票日は7月2日で正式選挙戦は告示後の9日間しかない。「玉虫色」でも実体までは深く追求されないままで投票日を迎えられる可能性大。

ただし、当然ながら「玉虫色」に対する批判も出てくる。しかし、選挙は比較での判断にならざるを得ず、対抗勢力の自民党が情けなさ過ぎるという状況がある。「豊洲移転」を強く主張するが、移転の障害になる豊洲の抱える問題点と対処等を、党を挙げて調査検討するようなことは殆どやらず、専門家会議の「地上は安全」に乗っかっている。その点、(効果は別にして)会議を3つも作って努力姿勢を見せている小池知事とは違う対応と都民にも早晩見えてくる。豊洲か築地かは非常に難しい問題だが、忙しい多くの都民は長い説明など聞いていられず、多くは「汗のかき方≒努力」や、小池知事への全体的な「共感性」などの感覚的な判断で投票先を決めるのではないか。

これは一見するとあまり良くない傾向のように思えてしまうが、今回は積年の都議会の問題点が潜在的な争点ではないだろうか。巨大都市であり日本の中で首都としてダントツに先進的で有って当然の東京都議会、特に自民党都議団の体質が非常に古臭いという実態が昨年の桝添辞任騒動から、ずっと見えてきているのではないか。そこで都議だけでなく自民党都連の目をも覚まさせる契機が今回都議選と考えれば、都連に反旗を翻した小池氏の台頭は必然とも思える。ただし、小池都政の将来がどうなっていくかは分からないが、客観的に今回は小池氏側が勝つ流れがあるように個人的には感じている。

以上
[追記]
築地再整備(改修)の課題について、本年4月11日開催「 第19回新市場建設協議会」の内容は参考になると思う。例えば市場協会会長で大卸の伊藤委員の話。
<○伊藤委員 ・・・(改修は)今まで過去に1回やったわけです。みんな、それでやったのに、最初のスタートの地点で業者の方が抵抗して、これは絶対無理だということで動かないということで、そこで止まっちゃったわけです。片方で冷蔵庫の建設だって、六つか七つあったものを二つの建物に収容する。それだけだって話がつかない。・・・>
→やはり過去の改修に関しては非常に困難があって、トラウマとしても残っている。今回の案で本当に出来るのか?という疑問は妥当で納得性がある。またPT報告書が仲卸メインになりすぎている感じがするので、大卸の立場の尊重も重要なことが、こういうところからも見えてくると思う。他に青果代表の泉委員の意見などもある。

それに対して、仲卸組合の東卸の早山理事長も新たに出席されて発言。
<今までの築地再整備の流れと、それが頓挫していくその内容については、今両委員からも細かく説明されたのは十分わかります。しかしながら、あれから20年ぐらいたって、今築地の仲卸の世代もかわろうとしています。実際にそのような経過を知らない世代の人たちが次に市場を担っていく上で、こういうような新しい情報が入ってきたということは、決して昔の頓挫した再整備の情報が蘇ったわけではないと私は一応位置づけました。その上で、しっかりと検証と検討をしていかなければならないのではないか。>
→これも非常にしっかりした意見と感じる。

両方の言い分はもっともで、併用のPT案でもまとまりは付かず、結局は都議選後に仕切り直しではないかというのが現段階での当ブログの見方。ただし、早山理事長は専門家会議の発言などを見ても、冷静沈着で意思が強く、伊藤会長の迫力にも負けてていない。仲卸の強い反対を押し切って、仲卸も含めた豊洲移転が困難。つまり、豊洲への市場機能の実質も伴う移転は当面考えられそうもない。

ただ、注目点も有る。議事録を見ると伊藤会長と早山理事長は別途話し合っている。都議選後に両者及び泉委員ら、或いはもっと広い範囲の市場関係者が、じっくり話し合える場を作るのが、都側担当部局と小池氏の重大な役割なのではないかと思う。新議会も全面バックアップ必要。

追記以上