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佐藤氏「英知」発言問題、及び三浦瑠麗氏の不勉強

第9回市場問題PTが5月24日(水)14時~開催と告知された。議題は「第1次報告書案について」で、最終承認されて小池氏に提出されると思われる。(第1次となっているのは、「土壌汚染問題は除く」と前回小島氏説明)

しかし、以前から繰り返し述べてきたが、第1回PTでの佐藤尚巳委員による「英知」発言が、論議や再見解表明などもなく、そのまま議事録に載り続けている。

だが、第6回専門家会議で地下空間底面の追加対策が示された。最大で工期 22ヶ月・総費用95億円という大掛かりなもの。

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佐藤氏は、盛土関連の費用想定175億円が節約されたとした。しかし、追加対策でも、このような費用発生が明らかになった。またコンクリート空間にしたことによる費用アップ想定額を同氏は言及せず。
更に問題は工期。追加対策は、8ヶ月又は22ヶ月という試算。盛土の工期想定は示されていないが、8ヶ月や22ヶ月はかからないだろう。総合すれば、盛土無しが英知などと到底言えないことは明らか。

また、専門家会議平田座長は「盛土同等対策が必要」と明言。同会議は当初から、その検討を目的としてきた。しかし、佐藤氏発言は各所で引用され、「地下空間の問題点=盛土同等対策必要」という正確な事実認識の妨げとなった。結果的に豊洲問題の論議を混迷させる要因になった。

PTとして専門家会議の追加対策の必要性を認めるなら、それと反する佐藤氏発言はPTの責任で削除するか、追加対策との関連説明を入れるか、同氏による再見解などを掲載すべき。

なお、佐藤氏は雑誌Willでも有本香氏との対談で以下のように見解を述べており、「4.5mの空間のメリット」を強調。しかし、「メリットの裏返しはデメリット」になる場合も多い。今回もそうで、前述の工期等だけでなく、「約束違反」という重大なデメリットが発生して大きな影響が出ている。佐藤氏は、これぐらいのこともお分かりにならない方なのだろうか。メリットだけ考えるのでは無邪気過ぎてベテランとは思えない姿勢。また、以下発言には事実誤認も有るので後で説明。

----雑誌発言抜粋開始---
有本氏:結果的に盛土をしなくて正解だった。
佐藤氏:そうです。4.5メートルという高さであれば必要な梁を取った上で、まだその下に2.5メートルの空間をつくることが出来ました。この空間によって配管も自由に配置できるし、問題が発生しても自転車に乗って行き、すぐにメンテナンスできる。

第5回の技術会議で、「地下空間の利用について、建物の外側に遮水壁をつくり、地下水の流出を止められるのであれば一つの対策であり得る」という委員からの発言がありました。つまり「盛土しなくても問題はない」という認識だった。
佐藤氏:安全性に関していえば、地下空間をつくることは技術会議の見解で認められていたのですが、メンバーの一人である長谷川猛氏は「地下空間の利用は聞いたことが無い」と発言しています。
有本氏:決定プロセスに問題はありますが、盛土が無いことが、あたかも”悪”であるかのように喧伝されてしまったことは疑問ですね。
----抜粋終了----

「技術会議で認められていた」というのは重大な事実誤認。更に酷いのが、長谷川氏らが「知っていたのに知らないと証言している」と受け取れるような(匂わせるような)発言。しかし、第18回技術会議で八木座長が「要するに、4.5メートルはきれいなもの(盛土)が積んであると、こういうふうに考えてよろしいわけですね」と念押しで確認して、都側課長が「はい」と答えた記録があることは、これまでも紹介済み。出席委員は当然4.5m盛土有りが最終回答と考える。

また、佐藤氏は第5回議事録を根拠にされているが、その後第8回9回の会議で「地下空間は採用しない」と正式決定されたことは、今や多くの方が認識している基本的事実。その経緯も無視・曲解して、同氏は一体どういうお考えなのだろうか。

また、別の人だが「三浦瑠麗」氏という国際政治学者?の人が、昨年の朝生で「真相を知る関係者の対応」について以下のように発言しておられた。

----三浦瑠麗氏発言 文字起こし開始----
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松本文明氏(自民党衆院議員):自らのプライドを掛けて設計した主任設計者がいらっしゃるはずなんですよ。その人がTVの前に出てこない、メディアの前に出てこない。どうして地下ピットがあった方がいいというふうに判断したのか、或いは、これで構造的に何の問題も無いのか、或いは誰から仕様書の変更を求められたのか、というのは設計者が一番分かっているはずなんです。日本を代表する設計会社で自分のプライドをかけてやる設計者がね・・・(途中で遮られた)
猪瀬直樹:東京都の職員が日建設計に、こういうふうにやってくれと言ったのが、こないだ出てますよ。
松本氏:設計者のプライドとして汚染問題が、ここに大きく影を落としてる、そこに都民の安心の市場を自分は提供するんだ、という思いで作ったはずなんだから、その人をキチッと出すべきなんです。
三浦氏:それは吊し上げを喰らうから、出てこないんだと思うんですよ。
田原総一朗:何で吊し上げを喰うの?
三浦氏:つまり盛土の問題があるじゃないですか。私が今まで聞いてきたところでは、地下空間は問題ないんだけれど、盛土が環境汚染の対策として有用だと説明して来たから、今ひっくり返すのは何でだと、許可してないぞ、という話になっている。
その問題が、これだけメディアとしてカバーが大きいのは不自然なぐらいで、要はこういう問題って政治化というか、安全保障化(?)と言われる事例なんですけども、例えば生活の密接に関わる所で何らかのスキャンダルが起きたりすると、よってたかってボコボコにするわけですよ。このボコボコにしてるのは、例えば東京都政を浄化する意味で、何らかの目的に従ってやっているなら、付随的被害もいいかもしれないけども、正直言って日建設計の人を私も知ってますけども、東京ガスの人だって凄く攻撃されて気分なんですね、今ね。それで一人で出てきてメディア慣れして無い人に、ここで説明しろというのは無理だと思ってるんです。
----終了----

自分では余り調べずに聞いた話で「地下空間は問題ない」と思い込まれたようだが、聞く人を選ぶべきだろう。人を見る目が出来ていないと思う。

更に誤った知識でも、何かコメントしようとして「吊し上げ」などと言い出す。しかし、松本氏が「TVやメディアで説明すべき」と言っても、そのまま受け取る必要もない。都側の調査不足と再調査の必要性を指摘するという真っ当なコメントはせずに、真相解明に至らない状態を追認するコメントのみ。このような人物が、国際政治学者と称して今後政府などに食い込んでいく可能性があると思うと暗鬱たる気分になる。

豊洲問題では、多くの識者が理解力や洞察力の不足を露呈しているが、三浦氏もその一人。他にも沢山いるので、真相を明らかにしておくために今後別途取り上げていく予定。なお、同氏は2017年1月小池百合子東京都知事の「希望の塾」の講師を努めたとのこと。都政の重要課題である豊洲問題で全くズレた認識しか出来ない人の話を聞かせて、小池氏もどうしようというのだろうか苦笑。

以上
[追記]
技術会議のメンバーが全員「盛土なし」の実態を知らなかったかどうかは、当方も一部疑問がある。例えば都側が技術会議メンバーに確認して、都議会で報告している。以下引用の青字部分のように「技術会議の委員、全員ではありませんが…」という微妙な答弁になっている。直接会えなくても電話で確認するぐらいは出来るだろう。

また座長を含め7名いた委員の誰一人気づかなかったというのも確かに違和感がある。少数は気づいていた可能性も考えられる。しかし、単に追加で盛土すれば良いということではなく、盛土無しで設計が出来ていたから、追加する場合は何らかの設計変更が必要。その時間は無いので、委員から都側に確認があっても、「聞かなかった」ことにしてもらうなどは考えられる。

但し、その場合は、もし気づいていた委員がいたなら、「盛土無しは約束違反でマズイ」と分かっているから指摘するのであって、本文の佐藤氏・三浦氏が曲解しているように、「盛土無しは良いことだ」と思っていて名乗り出ないのではない。

以下は当該の「2016年11月22日経済・港湾委員会」議事録抜粋。なお、ここでも地下空間に関して技術会議で詳細説明や論議が行われていないことが公式に確認されており、佐藤氏の認識は事実と違うことが証明されている。

有金渉外調整担当部長 第二次の報告書の作成に当たりまして、技術会議の議事録等について再度詳細に確認を行いました。
  その際、第九回の技術会議におきまして技術会議報告書の構成について検討が行われ、その提出書類の中に、技術会議が独自に提案した事項というタイトルのページが含まれていたことを確認しております。
  このページには、仮に地下水中から環境基準を超える汚染物質が検出された場合には、汚染地下水の浄化ができるように建物下に作業空間を確保する必要があるとの記述がなされておりました。
  しかしながら、このような記述内容について、技術会議の場において詳細な説明を行っておらず、議事録にも本件に関し議論を行った記録はございませんでした。
  また、前回質疑の中でお約束をしたとおり、当時の技術会議の委員、全員ではございませんが、お時間をいただいて、おわびを含めて本件についてお話をお伺いに行った際にも、この内容について説明を受けた記憶はないということを確認しております。 

追記以上