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環境影響評価条例(東京都)

昨日記事で「小池知事は、環境アセス審議に持ち込まない」という推測(仮説)を書いた。当ブログは仮説を立てた上での検証も目的としているので、大胆仮説を提示してみた次第。実際にどうかは、小池氏の判断を待っての評価になる。

なお、これは一般的に想定される「知事の権限」からの仮説になる。その後、stilldogさんから「条例も参照した方が良い」とのご示唆があり、「東京都環境影響評価条例」を見てみた。第62条「変更の届出」、第63条「変更による手続き再実施」の規程がある。(当該原文は追記で掲載)

内容を見ると、特に第63条で当ブログのこれまでの見解が裏付けられているように思う。
■(変更の届出等)第六十二条 <(事業の変更・中止・廃止は)その旨を知事に届け出なければならない。ただし、軽微な変更その他規則で定めるものについては、この限りでない。> 
→前段で手続きの正式名称は「届け出」となる。 後段に関しては後述。

■(事業内容の変更による手続の再実施)第六十三条知事は、…対象事業について、当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、審議会の意見を聴いた上で、当該事業者に対し、既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする
→主体は「知事」になっており、知事判断が重要になる。結果的に、手続きとして審議会の意見は聴くが、実際にどうするかは知事判断が入り得る。これを「恣意的」と見る向きもあるかも知れない。しかし、知事権限は大きく、例えば環境アセスではないが、小池氏の「移転延期」という大きな判断は有効になっている。

ただし、今回も監査請求が出されたりしているが、その結果がどうなるかは別として、現実として延期判断は効力を発揮している。環境アセスでも、小池氏が主導権を発揮する可能性は十分ある。

これを踏まえると、変更が「軽微」に当たるか、また届け出内容が「環境に著しく影響」を及ぼすかどうか、も知事判断が入り得る。加えて以下のような問題がある。
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①変更内容自体が未定
→「軽微な変更」と見る方々は、「盛土無し」と「換気追加」は軽微、とされるようだが、そう言い切れるかどうかは疑問。更に、専門家会議は換気以外に「地下空間床面対策」の追加も示唆。加えて原因さえ公表されていない水位管理破綻の問題等もある。どのような変更内容になるか分からず、「軽微」や「著しい影響を及ぼさない」と云う評価では済まない可能性有り。

②大きな関心事になっているという状況
→昨年の延期表明から、ずっと混迷が続き、都民・国民の関心も非常に高い。これで「軽微な変更」として済ませられるだろうか。この点は常識的に判断して、「軽微」扱いではなく、それなりの重みを持った対応をせざるを得ないと思う。

③(実質的に)「虚偽申請」である
→都側担当の意図はどうあれ、無いもの(盛土)を有るとして届け出たのだから虚偽。更に技術会議資料の不自然な変更(後掲)などから、途中で盛土無しはまずいと気づいていたと見られ、隠蔽していたことになり悪質。これを「軽微」で済ませたのでは身内同士で甘い対応ということになり、民間に対して示しがつかない。

④第63条で<手続の全部又は一部を再度実施>となっている
→当ブログでは従来から「一部実施」の考え方を書いてきているが。条文でも裏付けられている。②③項の重大性に鑑みて、例えば半年程度で一部実施は有りうるだろうし、そうするほうが都民・国民の納得が得られやすくなる。
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結果的に、もしアセス審議に掛けられた場合は、小池氏は「一部実施」を選択するほうが自然と思う。結局「軽微変更」の1~2ヶ月は無理で、例えば半年ぐらいは掛けることになり、また混迷が続く。小池氏はそれを考慮して、先に「移転凍結」を表明するなどして、何らかの届け出はするにしても「再アセスの要・不要を審議する段階にも持ち込まないのではないか」というのが当ブログ仮説になる。

なお、上記③項に関して、都側が盛土無しを知って隠蔽したと推測される事例を下図で示す。技術会議資料で最後になって建物を消し、建物下の盛土無しが分からないようにしている。盛土無し経緯解明をPTで行なうようにしなかったのは、小池氏と小島氏の責任。随所に問題が有るから話がややこしくなる。

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[追記]
(変更の届出等)
第六十二条 事業者は、第四十条第一項の規定により調査計画書を提出してから(第二十五条及び第四十条第四項の規定の適用を受けた場合にあつては第四十八条の規定により評価書案等を提出してから、第三十三条第四項の規定の適用を受けた場合にあつては第三十五条において準用する第二十四条の規定により書面を提出してから)第六十八条第一項の規定による工事完了の届出がなされるまでの間に、第四十条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項を変更しようとするとき、又は対象事業の実施を中止し、若しくは廃止しようとするときは、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。ただし、軽微な変更その他規則で定めるものについては、この限りでない。  
2 知事は、前項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、当該届出の内容を公表しなければならない。  
3 第一項の規定による届出のうち事業者の変更の届出があつた場合においては、変更前の事業者に係る対象事業について行われたこの条例の規定による手続は、変更後の事業者に係る対象事業について行われたものとみなす。 
(事業内容の変更による手続の再実施)
第六十三条 知事は、前条第一項の規定による変更の届出があつた対象事業について、当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、審議会の意見を聴いた上で、当該事業者に対し、既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする。 

追記以上