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第5回新専門家会議「記者質疑応答」

3月19日第5回新専門家会議の動画はYoutubeに上がっているが、「THE PAGE」のものには公式会議終了後の「記者質疑応答」も付いている。

非常に重要と思われる内容が色々入っていて、公式議事録公開されても含まれない部分と思われるので文字起こし実施。一番最後の方は平田氏の論旨で分からないところがあったので途中までだが、重要部分の大半は記録できたと思う。回答毎に①~の番号を付与し、後で考察も実施。

----記者質疑応答----
(日刊食料新聞)
地下水モニタリングの結果で環境基準を超えるものが出ている。これに対して、どういうふうに対策をしていくのか?、或いはどこで話し合って決めていくのが良いとお考えでしょうか?
(平田座長)①
土壌の汚染が残っているのか、地下水なのかという議論が有ると思いますが、基本的に今考えてますのは地下水の方が大きいのかなあという感じに思っています。
対策としては地下水の揚水と言いますか、今の管理システムを使った浄化をしていくことが基本だろうと思います。ただし地下水の管理システムとか201本のモニタリングにつきましては、協議会(土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会)マターでございますので、そちらとの連携も図っていくことになるのかなあと思ってございます。どちらかというのは、この場で申し上げられない。これから連携しながらということになるのかなと思っております。
(日刊食料新聞)
東京都の方にもお聞きしたいのですが、協議会はこの間、一回も開催されていないと思うのですが、これからどういうふうにしていかれたいのでしょうか?
(東京都 基盤整備担当部長)②
協議会の方は昨年の6月から開催はしておりませんが、今日の結果で測定値の暫定が取れましたので、協議会の先生方とも相談しながら、早期には開催したいと考えております。
今日公表されたばかりでなかなか難しいとは思いますが、会議の中で29箇所について今後もモニタリングを継続するというお話が有ったと思いますが、その継続のスケジュールというのはどうなるのでしょうか?例えばいつまでとか、どれぐらいのペースでとか。
(平田座長)③
1月の30日から始めまして1回目、2回目が終わったのは2月25日で、あれから1ヶ月経ってございますので、29本につきましては201本との関係はございますが、これは基本的には1ヶ月、或いは1ヶ月半という間隔で観測をしていく必要があるだろうと思っています。いつまでかというのは、地下水の対策としてどうするんだということが明確になるということが一つ、もう一つは今の濃度がどういうふうな経過を辿るのか、このまま横ばいなのか、下がるのか上がるのかということを見極める必要もあると思います。
29本については専門家会議で決めたことですので、こちらでやっていけば良いということになると思いますが、29本と言いましても201本の中の29本になりますので、全体との関係につきましては協議会との連携が必要であろうと思っています。ただ専門家会議のほうが開催頻度が多いので、こちらの方が先行して進む場合があろうかと思いますが連携は図っていこうと思っています。東京都はどうですか?
(東京都 基盤調査担当課長)④
29箇所は元々専門家会議のご指示でやらせて頂いています。今後は詰まっているものの対応なども相談させていただきながら行っていきたいと思います。
なお、今後の測定は同じ業者((株)環境管理センターに引き続きお願いするのが良いかと思っていますが如何でしょうか?
(平田座長)⑤
専門家会議としても継続性重視で同じ業者にお願いしたいと思います。
平田先生にお伺いしたのですが、豊洲の地上部分は安全というふうに判断されていると思いますが、改めてこの理由について、コンクリートに覆われているからという理解で宜しいのでしょうか?
(平田座長)⑥
コンクリートで覆われているどうのこうのという以前に、今観測値がございますので、大気の値を観測してまして、その大気の濃度、それから建物の1階の濃度ですね、そういったものが東京都の他の観測地点と比べて全然遜色がないという状況です。もう一つは、覆われているというのは法的な問題ですので、法的には大丈夫だということです。法律上も大丈夫だし、実測でも大丈夫だという意味で安全だと申し上げています。
(フリー記者)
今の話を受けてですが、地上に関しては専門家会議としては安全であるという宣言と見なして良いのか、それとも地下に関しては2年間モニタリングは終わりましたけど、環境基準値以下に出来ませんでした、ということでよろしいでしょうか?
(平田座長)⑦
安全かどうかということにつきましては以前から安全だということを申し上げていますので、宣言というよりも、かなり以前から地上と地下を分けて、地上については問題ありませんと申し上げています。これで間違いございませんね先生方?
2年間モニタリングでございますが、これは対策としてどうだったのかという話だと思いますが、それにつきましては2年間は終わったということで、実際に環境基準以下のところもあるし、そうでないところもあるということです。これは環境局がどう受け取るかということだと思います。土地として形質変更時要届出区域ではあるんですけども、形質変更時要届出区域の中にも区域の区別がございますので、区域替えをするかどうか、それの判断だけだと私は思っています。環境基準を達成しなければいけないかどうかという議論と、2年間モニタリングとは全く別の話であると私は理解しています。環境局の判断はどうですか?
(環境局 土壌調査担当課長)⑧
先程の専門家会議の中でも申し上げました通り、今回確定値ということで市場側から正式に提出が有りましたら、中身を精査いたします。そうしますと井戸の場所によりましては、2年間基準値以下を継続したということを確認出来ましたら、その井戸に対応する区画、汚染が有った区画については事務手続きをして行くことになると思います。一つの区切りがつく井戸も出てくるということになります。
その事務手続きと申しますのは、形質変更時要届出区域に指定されておりますので台帳というものが整備されています。台帳というのはその土地の汚染状況を詳細に示した書類なんですが、その書類の部分でここの汚染は無くなりましたと云うような修整をしていくことになります。
本来ですと、これが指定の解除につながることが通常の場所ですが、豊洲の土地につきましては自然由来の汚染が有るということで、全面的にも自然由来特例区域ということで指定されておりますので、完全な解除というのは出来ないということになります。
(内山委員)⑨
先程の会議でも誤解されていた方がおられるのですが、地下空間の問題と地下水をごっちゃにされていると思うんですね。地上と地下に分ける時に、地下空間と言う場合と、地下水と言う場合がありますので、そこで対策が全然違います。地下水があれば、そこから(気体が)地下空間に上がってくるという連環があるのですが、対策としては全く考え方が違うということです。地上は安全、地下は別という時に、地下は両方が入ってしまっている。最初は地下空間という地下ピットの問題だったのですが、9回目からは地下水の問題も少し加わってきたということです。区別して考えて頂きたいと思います。(6:35:27)
(フリー記者)
地下水を環境基準値以下にするということが市場のかたとの約束だったと思うのですが、それ自体は868億円をかけて対策をして成功したと言えるのでしょうか?
(平田座長)⑩
結果としては、まだ残っているということだろうと思います。成功か失敗か二つに一つというのは、ちょっと難しい判断だと思います。そのために地下水の管理システムがありますので、全体を見て少し時間をかけて環境基準を目指すということだろうと思います。

----質疑応答文字起こし、ここまで----

[考察]
①<地下水の管理システムとか201本のモニタリングにつきましては、協議会マター>
→仕組み上で止むを得ないとは思うが、又別の会議が関与することになる。調整必要になり、専門家会議の報告も2ヶ月遅れで済むかどうか不透明。

②<協議会の先生方とも相談しながら、早期には開催したい>
→早期と言っても今のところ時期不明。

③<29本につきましては、基本的には1ヶ月、或いは1ヶ月半という間隔で観測>
→今月の第6回会議で報告がある予定。この結果がどうなるかも影響大きくなる可能性有り。

④<今後の測定は同じ業者(環境管理センター)に
→継続性重視は妥当だが「環境管理センター」が良いという根拠は?安くて再調査でも確認された湘南分析センターは?

⑤<専門家会議としても継続性重視で同じ業者に>
→クロスチェックの継続は考えないのだろうか?

⑥<コンクリートで覆われているどうのこうのという以前に、今観測値がございます>
 <法律上も大丈夫だし、実測でも大丈夫だという意味で安全>
→観測値なので「現在は安全」ということになり、将来はどうか?ということになる。この将来対応については「地下空間の気密・防水や換気」の追加対策工事を提言するのが専門家会議の意向と思われる。

⑦-1<かなり以前から地上と地下を分けて、地上については問題ありませんと申し上げています。これで間違いございませんね先生方?>
→⑨で内山委員から補足説明有り。後述。

⑦-2<環境基準を達成しなければいけないかどうかという議論と、2年間モニタリングとは全く別の話であると私(平田氏)は理解しています。>
→これはなかなか複雑な面もある話なので今後別途考察。

⑧-1<2年間基準値以下を継続したということを確認出来ましたら、その井戸に対応する区画、汚染が有った区画については事務手続きをして行くことになると思います。>
→追記で参考資料掲載

⑧-2<指定の解除につながることが通常の場所ですが、豊洲の土地につきましては自然由来の汚染が有るということで、全面的にも自然由来特例区域ということで指定されておりますので、完全な解除というのは出来ないということになります。>
→結果的に「自然由来特別区域」の存在が豊洲問題混乱の大きな要因になったと思われる。上記別途考察予定に含む。

⑨<地下空間の問題と地下水をごっちゃにされていると思う>
→内山氏のこの発言は重要。早期移転派識者やマスコミ等は「地上と地下」に2分し、「地上は安全」を大きく取り上げている。しかし内山氏は(平田氏も同様と思われる)、地下を更に2分して計3つの観点が有ると言っておられることになる。
(1)地上…地表面や建物1階は測定値で安全が証明
(2)地下1…地下水…飲用や使用無いので安全
(3)地下2…地下空間…揮発性汚染物質のリスク(1階床ヒビワレ等)があるので対策必要

この中で(3)が取り上げられることが少なかったが、徐々に認識され「換気」までは早期移転派も言及せざるを得なくなってきている。しかし「気密・防水」はもっと厄介で費用・期間もかかる。これが明確化してきた時に世論はどう反応するか。

⑩<成功か失敗か二つに一つというのは、ちょっと難しい判断だと思います。そのために地下水の管理システムがありますので、全体を見て少し時間をかけて環境基準を目指すということだろうと思います。>
→現状においては達成していないのだから当然失敗。ただし平田氏の言いたいことを察してみると、「開場判断は東京都マターであり、汚染対策としては最終的に達成できる可能性があるので失敗とはまだ判断できない」との見方ではないか。結局「豊洲新市場」というプロジェクトの「全体管理」が失敗していたと個人的には思う。

その意味では、やはり東京都側の責任と言うことになるが、元々プロジェクトの遂行能力がなかったという話にも落ち着きかねない。これは新国立競技場におけるJSC(日本スポーツ振興センター)の問題にも通じるように思う。

ただし、止むを得ない面もあると思えるのが、東京都の市場局でいつも新市場の建設を行っているわけではない。だからコンサル的な専門会社の助力が必要になるだろう。途中まではそれを入れていたが、基本設計からはN建設計に発注して、日本最大手の設計会社の総合力に期待したのではないかと推察。(この点はJSCも似ていると思う)
しかしN建は東京都のミスを正せず、無理な設計でフォローし、現状に至った。技術者として見て、残念でならない。

以上
[追記]
⑦の環境局課長発言は少々注意が必要。
豊洲の土地につきましては自然由来の汚染が有るということで、全面的にも自然由来特例区域ということで指定されております

自然由来特例区域(図で濃い区画)は全域では無く、まだらになっている。自然由来特例区域指定の区画が「全面的」に広がって存在しているという趣旨の発言とも取れるが、実態は下図の通りということになる。
イメージ 1

追記以上