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やながせ都議ブログから「水位管理」と「費用問題」

やながせ都議のブログに興味深い記述があったので考察(対象ブログ2本)。

1.昨年10月25日…水位管理について詳細記述あり
東京ガスの操業によって汚染された土壌は、掘削除去したとされているが、全ての汚染物質を除去することは不可能だ。残存する汚染物質は、地下水によって拡散していく。これを防ぐために必要なのが地下水管理で、水位をA.P+1.8mに維持し、できるだけ地表から遠ざけようというのが、専門家会議の提言であった。
・・・
最大排水量200㎥に対して、本格稼動後も約50%程度の処理しかできていないことがわかる。現状の処理量では、AP1.8mまで低下させるのに途方もない時間を必要とする。地下水が強アルカリのため、中和作業はしているが、排水能力に影響は与えていないとのこと。排水量が一定しないことをみても、揚水に課題があるということになるだろう。 ・・・ 今後も予断なく「地下水管理」の実効性を検証していく。

現状はまさしく「絵に描いた餅」になっている。それを昨年から既に「当方もない時間が必要」と問題意識を持ち、「予断無く実効性を検討していく」としていた。

しかし、3月9日提言会見時にも水位管理破綻は明らかだったのに実態には言及無かった。実効性検証はどうなっていたのか(その後ブログには記載無い)。

おときた都議も同じく昨年10月から同システムに注目し、本来の開場時期に間に合わないことを指摘していた。
<このまま順調にいったとして、水位がAP1.8前後になるのは年明け付近でしょう。>

おときた氏も、その後水位問題での動きは聞こえて来ない。ブログでも1月16日の以下記述ぐらいのようである。
<地下水管理システムが正常に作動すれば、いま検出されている数値の地下水を浄化することが可能ですし>

年明けが過ぎても全く到達しておらず、水位表で容易に確認可能にも関らず、「正常に動作すれば」とする感覚は理解し難いものが有る。お二人の着想は良くても、一つ一つ地道に結果を出していく粘りや責任感は乏しいのだろうか。

今からでも是非本格的に取り組んで頂きたい。具体的には、例えばご両名や有志都議を結集し、都側に申し入れて水位管理破綻を正式に認めさせる。その上で小池氏に詳細調査を求める。このようにすれば議会側から迅速にアクション取れるし、都民の信頼も回復していく。逆に「豊洲移転」の主張にマイナスになるからとか、党の方針などで、自ら対応する取組を行わなければ信頼は更に低下するばかり。若いご両名に期待したい。

なお、例えばH下氏のように早期移転の主張のためには、「汚染完全除去だから問題ない→79倍でもOK→百倍でも飲んだり使ったりしないから問題ない(多分それ以上でもOKなのだろう)」と変遷する方もおられる。地下水管理システムも「過剰な仕様」として不要論まで出てくるかもしれない。しかし、やながせ都議は会見時にこう述べている。
<地下水は使うものではありませんし、本来なら排水基準ということで環境基準の10倍で良いと思っていますが、それではなかなか安心につながっていかないだろうということで、そもそもの専門家会議の提言である「将来的には環境基準を達成する」というところを目指していくということで良いのではないかと云うのが、この提言であります>

管理システムを動かして浄化作用に期待しないと「将来的に達成」が不可能になる。結果的に不要論も取れない。取るべき道は、前述のように破綻を認めさせて調査開始という実態に即した取組。その方が豊洲移転促進にもなる。但し、破綻状態の対策が有るかどうかは調査次第だが、まずは市場関係者や都民の方々に客観的事実を知らせることが何より重要。

また、小池氏に早い決断を迫りながら、自らの提言で実質開場条件に設定している水位問題は、昨年から着目しながら、そのままにしているのは余りにも無理がある。小池氏側が専門家会議に任せて気づかないのも問題だが、やながせ氏もまず自らが動くという発想でやって頂きたい。

2.今年3月30日…小島座長の築地再整備構想に関する批判
<コンクリート下の地下水を問題としながら、営業しながらのアスベスト工事を問題にしないのはおかしいではないか、など言いたいことはいくらでもある。だが、そもそも、築地再整備プランを検討素材として提案しているのに、既に5800億円投資して完成している「豊洲市場」をどうするのか、については全く触れられていない。豊洲市場に移転すれば市場会計が破綻するとしながら、築地の土地を売らずに市場会計を破綻させない方策については言及がない。築地再整備を提案するためだけの、強引なロジックといえるだろう。>

この中で、今まで当ブログでは他に問題がありすぎて余り取り上げてこなかった費用問題を見てみたい。丁度本日「市場のあり方戦略本部」の初会合が開かれる。非公開であり、どのような動きになるか分からないが、費用面は総合判断において大きなウェイトを占めることは確実なので事前考察という次第。

やながせ氏が指摘する<既に5800億円投資して完成している「豊洲市場」をどうするのか>の件は、確かに巨額。ただ、ここで当ブログとしては思い切った見解を述べてみる。

巨額投資をムダにするのは勿体無いことは当然。しかし、それに対して市場関係者に責任はあるのだろうか。過去に色々軋轢は合っただろうが、移転決定してからは都側と協力して推進。都側も繰り返し万全の汚染対策と説明してきて信用するしか無かった状況。

それが蓋を開けてみたら根本的な約束が幾つも反故にされており、果ては百倍汚染まで検出されては予定通り移転とすんなり行くはずもない。しかも都側は汚染対策の失敗も未だ認めていないことは検証報告から明らか(「盛土無しのモニタリング空間設置を正式方針にする努力を怠った」としている…これも議会側から認めさせて頂きたいところ)。途中からは隠蔽していたことも確実で非常に悪質。

よって豊洲移転しないで築地再整備を行う場合は、豊洲にかけた費用は全部東京都側が一般会計などで処理して、市場側には影響を与えないようにする(仮説)
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こうすれば考えやすくなるのではないか。色々な課題は出てくると思うが、考え方としては一旦こうでもしないと整理がつかないように思われる。他にも考え方の整理方法を募ってみたら良い。

なお、一般会計で処理したら都民が納得しないという意見も当然出てくる。しかし、前述のように市場側の責任ではないのだから、投資した費用は東京都側が持つべきものだし、東京都のオーナーは都民という関係になる。

最終的には戦略本部で議論することになるので、同本部は非常に重要となる。やり方をよく考える必要がある。副知事(中西氏)を責任者にするのは、問題を重く認識しているということを示し適切と思うが、都側メンバーだけで進めることは無理がある。余りにも都側は信頼を失っている。

しかも信頼回復どころか引き続き毀損中。例えば前述の水位管理破綻も未だ認めようとせず、担当課長が「順調に低下している」などと言い続け、幹部や他の職員等も訂正しようとしない。このような姿勢は、都側の根深い隠蔽かつ傲慢な体質の表れと見ることが出来る。全面信頼は無理だし、するべきではない。

市場関係者や議会、そして都民全体の納得を得るためには、やはり戦略本部に諮問会議のような形で外部から入ってもらう必要あり。そこで総合的な判断を下して小池知事に答申し、知事はそれを尊重するという体制が必要。

更に最初からそうすることを考えるべき。例えば業界ヒアリングなどを都側が行っても、前述のように市場関係者らは、なかなか信頼できないだろう。また既にPTも実施しているし、今度は決めるという姿勢が必須。そのためには納得性がある外部人材が当初から必要だが、問題は特に諮問委員会などの会長選任。適切な人がいるかどうか。大きく見れば日本人の能力が問われる場面にもなるように思う。

以上