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東京都の「2年間モニタリング及び指定解除」に関する考え方を読解

前記事で足立議員の農水省資料に関する国会質問を紹介。以下記述は農水省が聞いた「都側の考え方」という趣旨であることが判明。
汚染の除去の措置を行わず盛土等のみを行ったう上、区域指定を受けたまま土地利用することは可能だが、生鮮食料品を取り扱う卸売市場用地の場合には想定し得ない
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当方は、農水省資料で違和感があった部分がこれでクリヤになった。更に考察してみる。
参考として雑誌「週刊金曜日」に次の記事が有った(番号①②は当方追加)。
----雑誌引用開始----
①13年3月、塚本直之市場長(当時)は、都議会予算特別委員会で「2年間のモニタリングを実施した上で指定を解除する」と述べた。
都の井川武史課長(新市場整備部)にこの点を質問すると、「塚本元市場長は2年間のモニタリングが開場の条件とは言っていません。また、指定解除を目指すスタンスは変わっていません。昨年(14年)11月からモニタリングは始めているので、16年11月開場には間に合います」と答えた。
----引用終了----

井川氏の話のポイントは以下2点になると思われる。(以降「指定解除」は「自然由来のみにする」ことを指すものとする)
 (1)「2年間モニタリング」は「開業の条件」ではない
 (2) 指定解除を目指すスタンスは変わらない

一見すると分かりにくい話となる。しかし、上記「東京都の考え方」を併せて官僚語を読み解いてみる。
まず農水省資料注記の「東京都の考え方」は、最後が「・・・想定し得ない」になっている。これは、「想定しない」では無いことが重要と考える。「想定しない」なら、「指定解除は開場の条件」となる。

「想定し得ない」としているのは、表現を抑えるだけでなく、(表面上は)条件を緩めて「開場条件にはしない」という意図が根底に有ったのではないか。それを井川氏の話と併せると次のように理解できると考える。
 ”(1)指定解除は開業の条件ではないが、(2)開場までに指定解除を目指す”

結果的に、東京都は開業の条件にはしないが、「指定解除(自然由来のみ化)」を目指す方針を公約。現在も継続していると考えられる。これは「操業由来の汚染物質は全て除去」の方針にも合致して整合性が有る。

ただ、官僚語の読解は難しく解釈は色々有ると思うので、皆さんも興味有る方はチャレンジしてみて下さい。参考用に①②関連資料を[追記]に添付。

なお、解釈は色々出来ても、「(1)開業の条件ではない」だけを喧伝するのは事実に反することは明確。操業由来を全て除去し自然由来のみ化して、「(2)指定解除を目指すスタンスは変わらない」も併せて述べないと実態と異なることになる。

また、土対法の調査方法(10mメッシュ)では捕捉漏れの可能性があって取り残しがありうるという、謂わば「土対法欠陥問題」については別途の論議になる。

以上
[追記]
①②の関連資料を参考にご紹介。

まず①関連では以前も紹介した塚本市場長答弁を再掲。
①関連…塚本市場長答弁「2013年3月12日東京都議会 予算特別委員会
----答弁 抜粋開始(A、Bは当方付加)----
〇塚本中央卸売市場長
 豊洲新市場用地では、調査により汚染が確認された区画及び盛り土の仮置きや仮設土壌処理プラント設置など、対策工事に必要な範囲で、汚染のない区画についても指定を受けております。
  この指定区域のうち、(A)自然由来の物質がある区画については、対策工事終了後も指定が残りますが、ガス工場の(B)操業由来による指定区域については、汚染土壌をすべて掘削除去して無害化することから、二年間のモニタリングを実施した上で指定を解除いたします。
  なお、自然由来の物質は、同様の地層がある土地にも含まれ得るものであり、実態としてそのような土地と変わりはございませんが、豊洲新市場用地における都の土壌汚染対策は、ガス工場操業地盤面から下二メートルの土壌を、汚染の有無にかかわらずすべてきれいな土と入れかえることに加え、さらに二・五メートルをきれいな土で盛り土するなど、自然由来についても法の求める対策を上回る二重三重の封じ込めを行うこととしております。
  したがって、指定区域が残ったとしましても、市場用地としての安全性には全く問題ございません。 
----抜粋終了----

塚本氏の答弁は、(A)自然由来区域と(B)操業由来区域の対応を述べている。ただ、AとBが重なる区域の処置は明確な言及なし。それでも「AとBが重なる区域は、操業由来(B)を除去し自然由来(A)のみにする」という理解で良いと想定される。結果的に、①の記述「操業由来は全て除去」という東京都方針を確認した答弁と考えられる。

続いて②関連では、「井川課長」の話ではないが、「若林基盤整備担当部長」が次の答弁を行っている。
----質疑抜粋開始----
○かち委員 形質変更時要届け出区域の指定解除のために、土壌汚染対策法に基づく二年間のモニタリングを実施する必要があります。
  二〇一六年の三月末の竣工時には、区域指定の解除ができませんが、どのように認識しているでしょうか。 

○若林基盤整備担当部長 都では、…(専門家会議と技術会議の)提言に基づく対策を実施してまいりました。具体的には、…APプラス二メートルまでの土壌について、汚染の有無にかかわらず、全てきれいな土に入れかえる。
  また、APプラス二メートルより下については、操業由来の汚染土壌を全て掘削除去し、地下水についても環境基準以下に浄化するもので、操業に由来する汚染物質は、確実に除去できたと考えております。
  なお、土壌汚染対策法では、自然由来の物質が存在する場合、形質変更時要届け出区域が残ることとされており、豊洲新市場用地においても同様であります。
  したがいまして豊洲新市場用地における二年間モニタリングは、形質変更時要届け出区域台帳から操業由来の汚染物質を削除するといった、記載事項を変更するための手続に必要な措置として実施するものと認識しております。 
----抜粋終了----

若林氏は、かち委員の「指定解除のために2年間モニタリング必要」という指摘に対して、「二年間モニタリングは、形質変更時要届け出区域台帳から操業由来の汚染物質を削除するといった、記載事項を変更するための手続に必要な措置として実施するもの」と答弁。

結果的に、「開業の条件」とは言わなかったが、対策工事実施後の状態について「操業に由来する汚染物質は、確実に除去できたと考えております」と述べ、「操業由来は全て除去」の方針を確認している。

追記以上