kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

本質的勘違い

まず最初にお断りとして、本日記事は都議会引用が多いので長いです苦笑。

さて表題の「勘違い」は次のツィート(A氏とする)に関連。維新の移転推進方針を受けての内容。
都民として疑問の多かった豊洲問題に維新が動いてくれてヾ(^v^)kです!事実を真実をそして双方の安全性を同じように調べて欲しいです。今まで余りにも一方的な材料で不安を煽られていました。冷静で正しい形を待ってます

→「事実を真実をそして双方の安全性を同じように調べて欲しい」は的確な視点で全く同感。しかし、現状全肯定して早期移転を主張してきたのは維新の創始者橋下徹」氏だったことはA氏もよくご存知だろう。

橋下氏は昨年9月自らの番組で真っ当な見解を述べていた長谷川猛氏を、「(公表資料の)書面を全部見た」と(虚偽の)豪語しながら無理筋で押さえ込み、頭を下げさせるという暴挙。事実も真実も押しつぶしながら、今となっては「かつて早期移転を主張」とのテロップが先日同番組で出ていた。
イメージ 1

イメージ 3

また「豊洲では地下水は飲まない、だから対策は不要」というような今回モニタリングの趣旨(対策結果を地下水で確認)を理解しない移転ありきでのツィート連投もあった。「モニタリング完了を待つために延期」という都側約束に沿った妥当な判断に対して、一方的に小池氏批判のボルテージを上げて自爆したのは橋下氏(まだ未練の発言もしている)。まず、このようなところに「勘違い」があると思う。

更に拡げて延期表明から今までの全体としての流れを見てみると、「移転推進派の方が冷静な論議を阻害しているのではないか」とも感じる。A氏は「双方の安全性」としておられるが、実際は事業の継続性等も含めて総合的に「豊洲移転と築地再整備」を比較検討することになると思う。そのためには「見直し」表明が必須。しかし、推進派が未だに強力だから小池氏も容易には打ち出せない。

A氏はマスコミやネット等が不安を煽っているから「移転反対の声に一方的に押し切られる状況」を懸念しておられるかも知れない。しかし現実を見ていくと逆の状況がある。そこに盛土問題発覚後の論議における本質的な「勘違い」が存在するのではないかというのが本日主旨。

例として都議会を取り上げる。同議会は議事録(速記録)の掲示が遅い場合があって怠慢だが、昨年12月2日「豊洲市場移転問題特別委員会」の記録が公開された。まず最初に自民党都議が質問。
----自民都議審議 引用開始----
○和泉委員 ここで改めて豊洲市場における土壌汚染対策がどのようなものであったかを考えてみたいと思いますけれども、新市場整備方針で定められた土壌汚染対策の内容というのは、まず汚染された土壌や地下水を掘削、そして浄化処理するというのが一点ですよね。
  もう一つが、五十センチどころか、四・五メートルの盛り土をしたというのが二点目。
  三点目として、地下水の水位を管理する。
  これだけの対策をとられたということですよね。・・・
  豊洲市場については、法で定める水準、先ほどいった掘削除去とか、あるいは盛り土五十センチという形にすればよかったのに、何でこの水準を大幅に上回る対策を講じられたのでしょうか。
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 豊洲市場では、法の定める舗装などの対策を行っております。その上で、豊洲市場については、生鮮食料品を扱う市場として、人の健康被害や生鮮食料品への影響を防止することはもちろん、食の安全・安心を高いレベルで確保するという観点から、汚染土壌を掘削除去するほか、地下水基準の達成を目指した地下水管理などを行うこととしております。

○和泉委員 ・・・現在の対策で土壌汚染対策法で定められている措置というものは適切に講じられているということでよろしいのでしょうか。
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 結構でございます。

○和泉委員 ・・・この豊洲市場の盛り土というのは、あくまで安全が確保された上に安心を積み重ねるための対策であったというふうに捉えるべきであるということで、もう一度確認しますけれども、そういった解釈でよろしいのでしょうか。
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 ・・・土壌汚染対策法上の対策が的確に実施されていることを環境局には既に確認していただいているところでございます。
先ほど、理事ご指摘の土壌汚染対策法で求められる対策が適切に講じられておるということは、豊洲市場用地の安全が確認されていることであり、また盛り土は、あくまで安全が確保された上に安心を積み重ねるための対策として講じたものでございます。 
----引用終了----

当ブログでも繰り返し紹介してきた「東京都側の約束」を明確に認識した上での質問(但し上記はモニタリング完了は入っていない)。しかし、約束違反を問うのではなく「法的に問題ない」という見解に立った上で、都側から確認の答弁を引き出そうという姿勢。

都側もそれに応じている。「法を上回る」が「法に基づき」になり、「二重三重の対策」も実施確約のはずが「あくまで…」となってしまっている。結局、都議会第一党の自民党と都側は、約束違反でも「法的には問題ない」と強弁して移転推進姿勢を一致して継続していた。
”マスコミやネット等で色々言われていても、実際の都政の中枢では違う実態がある”
小池氏も容易には見直しに舵は切れず、段階を踏まざるを得ない。むしろ、市場関係者の方は反対派が当選したりして、もはや柔軟と思える。

なお、本来はモニタリング完了を待つための延期。完了前の8月測定において既に基準値超え発生し、平田氏も該当箇所は追加モニタリング2年必要を明言。もし2年待てば根本的に見直すことは可能だろう。だが都側は評価を専門家会議に下駄を預け、追加2年の方はスルーで結論は先送り。
----都側答弁2引用開始----
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 第八回地下水モニタリングで基準超過が確認されたことについては、専門家会議から、一時的な上昇をもって判断するものではなく、今後の推移を見守るべきであるとのコメントをいただいております。
----引用終了----

また、上記の自民党都議は<とにかく一刻も早くというのが重要>という見解も述べている。しかし、そのためには「一旦見直しにする」ことが最適という状況判断が出来ていないと思う。A氏が求める両面からの検討に必要となる「見直し」表明を妨げているのは推進派と思えるが、A氏はそれを反対派に帰す。この勘違いというか、ボタンの掛け違いを、本来なら橋下氏などの影響力を持つ識者が指摘して頂きたいところだが、そうなっていないことが残念。

上記委員会には他にも色々注目すべき審議が有るが、長くなるので本文はここまでとして追記で記載。ご興味有る方は見てみて下さい(結構重要と思われる内容あり)。

以上
[追記]
本文紹介の「豊洲市場移転問題特別委員会」審議から、「臭気・ミニ重機・地下水管理システム」の3点について記載。
臭気
アンモニアも基準値超えしていた。
----自民党都議審議 引用開始----
○和泉委員  専門家会議では、地下ピット内の臭気測定も行っているんですけど、何でやろうと思ったんですか。そして、その結果というのはどうだったのですか。人体に及ぼす影響というのはどんなものがあったか教えていただけますか。 
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 臭気測定は、地下ピット内に強いにおいがあったことを受けて、悪臭防止法の基準に照らして実施したものでございます。九月二十九日に実施した測定結果は、アンモニアが基準値を超過しておりましたが、以降、測定した値は減少傾向にあります。十月二十七日の測定では、全ての街区において基準値を下回っております。
  なお、悪臭防止法の基準は、生活環境の保全を目的として定められているものであり、地下ピット内のアンモニアを吸っただけで直ちに健康に影響を及ぼすとはいえないとなっております。 
----引用終了----

アンモニアが基準値超過ということで、上記答弁でも「強いにおい」と言っており、ゲンダイ記者が書いていた「強烈な臭い」というのも信憑性が有る。一般感覚からして、生鮮食料品を扱う市場の下で「アンモニアが充満」と聞けば余り良い気はしないし、「健康に直ちに影響を及ぼさない」という類の話でもないと感じる。市場地下全域に溜まり水だけでも気になったのに、強アルカリから水銀と来て、アンモニアも。事前検討で取り上げられていた内容以外にも色々なパターンが出て来て「汚染の総合デパートか」笑、いや笑ってもいられない。

しかし、昨日記事で紹介したように平田氏は「少しアンモニアの臭いがした…」と軽い話のような説明。
イメージ 2

「少し」と「基準値超え」は相当違いがありそうだし、皆がまず知りたいのは「アンモニアの発生原因」ではないか。平田氏は「東京都からの独立性」を常々強調されるが、やはり「行政寄り」が基本姿勢のように思えてくる。

②ミニ重機
都側は「対策工事用」と未だに主張していることが分かった。それに対して野党委員は疑問を投げかけたが結論は出ず。
----民進党都議審議 引用開始----
○酒井委員 今後、九回目のモニタリングの結果も踏まえて対策を行っていくということになろうかと思いますけれども、ここで今回の問題となった、盛り土をせずにしつらえた地下ピットの目的、これまでもいろいろといわれておりますけれども、何かあったときの対策工事を行うためだったのか、確認のためお伺いをいたします。 
○佐藤中央卸売市場施設整備担当部長 お尋ねの地下ピットでございますが、配管スペースの確保に加えまして、地下水のモニタリング作業や万一の際の汚染地下水の浄化作業を行うことを目的としてございます。 

○酒井委員 という答弁でございますけれども、この地下ピットは、具体的にどのような規模の対策工事を行うことを想定して設計されたのか、お伺いをいたします。 
○佐藤中央卸売市場施設整備担当部長 土壌汚染対策と地下水浄化の実施後、建物下に地下ピットを設けることにより、地下水のモニタリング作業を行い、さらに万一、地下水中から環境基準を超える汚染物質が検出された場合に、小型の建設重機を用いた汚染地下水の浄化作業などを行うことを想定してございました。
  なお、地下ピットにつきましては、建物を建築する際の基本的な措置として、各種ライフラインなどの設置、管理のための作業空間としても想定してございました。 

○酒井委員 今、小型の重機を用いた云々という話だったわけですけれども、この地下ピットの設置の意図といったものが理解できません。モニタリング等については、多少理解ができる面もありますけれども、仮にこの市場が開場をした後であった場合、小型であっても重機を使い作業を行えると考えたのかということについては甚だ疑問であるということは申し述べさせていただきたいと思います。
----引用終了----

結局都側は依然「具体的な対策工事内容」については答えられていない。今後汚染が確定しても、まず対策には動かないと思われる。第9回で検出された地点数は多すぎて、たとえミニ重機が使用できても現実的には掘削困難だろう。また再調査で仮に対象地点が減っても、追加工事をするだけでも「やはり危ないのか」と感じる人も増えるだろう。

また、具体的に「配管多数の状態でミニ重機使用できるのか?」と質問すれば、2016年10月6日経済・港湾委員会での人ごとのような答弁が繰り返されるだろう。
配管の切り回し等も行い、作業空間を確保するという議論もなされておったと聞いております

野党の追求も弱く、真相は判明しない。建築専門家がいて解明への関与が期待される市場問題PTも、盛土問題は都側や専門家会議担当として取り上げようとしない。それどころかミニ重機用空間の影響と考えられる地下構造安全問題も、一部委員が率先して封じ込めにかかっているフシもある。前述の専門家会議と同様にPTの中にも行政寄りのスタンスが垣間見える(小島座長の真意は未だ不明)。

③地下水管理システム
水位管理でも疑問だらけ。
----共産党都議審議 引用開始----
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 地下水管理システムは、地下水位をAPプラス一・八メーターの、日常はその水位で管理するシステムでございます。このため、地下水が盛り土上にある現状を見ますと、その盛り土の中の地下水をくむようには設計されておりません。 
○曽根委員 今のご答弁の趣旨からすると、この地下水管理システムというのは、地下水が砕石層の上の盛り土の中まで上昇してしまった場合には、五十八本の揚水ポンプが稼働したとしても、速やかに地下水をAP一・八メートル以下に下げることができるというシステムではないと。そういう設計になっていないということになりますが、それは間違いないですね。 

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 地下水管理システムの揚水ポンプの構造上も、有孔管を設置しておりますのはAP二・五メーターから下でございますので、そこからの水は直接入ってくるようには設計してございません。 
○曽根委員 ここ大事なところなので改めて確認しますが、揚水井戸の水の取り入れ口は砕石層よりも下の方に穴があいている、そこの水を取るようになっていると。そうすると、一旦砕石層の上に、盛り土の中に入ってしまった地下水は、もし取るとすれば、ずっと下までしみおりてくるものをくむしかないと。そういう意味では、地下水を下げるようにはできていないと、盛り土の中の地下水位を下げるような仕組みにはなっていないということでよろしいですか。
村井中央卸売市場基盤整備担当部長 ・・・すぐに水を全部取るようなシステムにはなっていないということでございます。 
----引用終了----

見えてくるのは役人の方々が「回りくどい言い方」や「論点ずらし」で責任を曖昧にしようとする本質的特性。しかし彼らには大きな権限があり、移転反対派が押しているかに見えても、政党と組んで虎視眈々と反攻を狙う。
このような状況で、その後の「79倍検出」と「再調査」の動向等も踏まえて、最終権限者の小池氏と世論が今後どうしていくか。

追記以上