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昨年8月農水大臣認可申請できる状態だったか?

早期移転推進派(だった)生田氏がBLOGOSに以下記事投稿。
<こちとら昨日で市場早期移転の看板をおろしたんで、だいぶ気が楽になった。どっしり構えて高みの見物と洒落込んでやろうと思ってる。で、今思ってることを、思いっきり書こうと思う。・・・ 
進むも地獄、退くも地獄の現状を作ったのは、紛れもなく小池知事自身だ。>

→まず、「きれいな土壌」とおっしゃるが、やはり「79倍」の影響は大きく、市場関係者にも都民にも理解を得ることは困難と思われ、再調査結果を待つことになるだろう。その上で同氏も情勢変化を読まれ、早期移転の看板は一旦降ろされたようだが、言いたいこととして「小池知事の責任」を強調しておられる。

しかし、当ブログでは以前から延期経過に関して疑問があった。それをTwitterの方に書いたら「 築地 東京中央市労働組合執行委員長 中澤誠氏」から当時の状況が寄せられた。
----ツィート引用開始----
(疑問内容)<仮に小池知事が登場せず延期が無かった場合、都側は8月に予定通り申請していただろうか。もし申請していたら測定結果が9月に判明し基準超で都側も農水省も困るところだった。小池氏登場で両者助かった?>

(中澤氏)<その話しがでた時に農林水産省に聞いた。そしたら「そんな話し全く聞いてません。どこからそんな話しになったのか、こちらが聞きたいぐらいです」って、やっぱり申請は出せなかったと思います。>
----引用終了----

今までも「8月でも認可申請が出ていなかったようだ」と云う話は出ていたが、明確に裏付けられたと思う。ただし、小池氏当選で都側が配慮した結果と当方は推測していたし、皆さんの中でも同様に考えられた方も多いと思われる。具体的には、小池氏が都知事選での築地街宣時に「一歩立ち止まるべき」と発言し、それ以前の共著書でも「築地での建替えが妥当」と記述。これら意向を忖度することは有りと思っていた。

しかし、ここで重要になるのが前述の中澤氏の話。また同氏は<普通は事前に、申請しても問題がないかどうか監督官庁に確認しますよね>とも述べられていて全く同感。

結局都側は農水省の話からすると、8月時点で申請実施どころか、事前に必要な「農水省への根回しも行っていなかったのではないか」という疑問が湧く。この場合、小池氏当選とは話が別になって来て以下が推察される。
 ”(小池氏当選有無に係わらず)都側は認可申請を出せない状態だったのではないか”

この見方が合っていると、生田氏の「進むも地獄、退くも地獄の現状を作ったのは小池知事自身」について、そう言いたい気持ちは或る程度分かるにしても、一方的過ぎるようにも思える。つまり偶然の時期の一致。

更に経過を分析すると、見えてくるのは都側の「盛土無し」認識状況。特に歴然としているのが2014年11月27日第18回技術会議。議事録抜粋を示す(引用元F課長実名)。
----議事録引用開始----
○F課長 今、先生ご質問のお話は、掘削した土量に対して埋め戻し土量がちょっと少ないので、そこら辺の差分についてということでございますが、そもそもこれ、区画整理事業で5街区、7街区ともにですけれども、操業地盤A.P.+4mでありましたけど、それよりも2.5mぐらい盛土が全体的にしてございまして、それを全部かき取って、さらに2mまで取って、周りの部分を盛土して戻したということで、今ある地盤については、A.P.+2m建築敷地それ以外のところを盛土というところで、もともとの地盤面が結構高かったので、捨てる量のほうが多くなっているというのが現状でございます。 
○矢木座長 そうですか。わかりました。そうすると、今回の工事では2mよりも低いところは、汚染しているものはみんな掘り上げてきれいなものを入れている。それから、2mと4mは全部掘削して、きれいなものと入れ替えている。それからさらに、2.5mですかね、きれいな土を入れているということで、要するに、4.5mはきいれいなものが積んであると、こういうふうに考えてよろしいわけですね。 
○F課長 はい。 
----引用終了----

掘削土量に比べ埋戻し度量が少ないことに座長が気付いて質問し、基盤整備担当のF課長が回答。建物下の盛土無しが大きな要因だったと思われるが、それを明確に言わず色々説明して、結局「元々の地盤面が結構高かった」という話にしている。

ただし、途中で「A.P.+2m建築敷地、それ以外のところを盛土」と言っているのは、建物下盛土無しを意味していると考えられる。しかし、「盛土無し」という明快表現ではなく、AP数値でサラッと説明されて座長は意味が取りにくかったと思われる。それで「要するに、4.5mは・・・」と全面盛土の念押しした際には、F課長が「はい」とだけ答えてしまっている。

本来都側は建物地下盛土無しを明確に説明すべきだった。この会合では、「説明図から盛土上の建物を消した」という細工もあった。しかし、逆に盛土工事図では建物下の盛土無し仕様が明確に描かれ、実際の工事現場視察時もそうなっていた。

どうにも都側の意図が分かりにくい。だが、少なくともF課長や、図面作成したり工事監理を担当した技術部門が盛土無しを認識していたことは、発言や図面から分かる客観的事実。それに対して、会議委員は上記議事録でも、今回発覚後の発言等でも、盛土有り認識のまま終わったと想定される(一部委員は薄々でも気付いていたかも知れないが、大勢に合わせたことは考えられる)。都側と委員側のどちらが問題かと考えれば、委員側も迂闊だったにせよ、仕事のやり方の常道として「仕様変更は明確に伝えて承認を得る」という根本的手続きを怠った都側に殆どの責任があると思える。

また、この会合には岸本市場長(在任2014年7月~2016年10月)も出席。同氏は発覚後の都議会で答弁し、次のように「正確な認識がなかった」としている。<私自身はそのような正確な認識を持っておりませんでした。私の立場にあれば当然正確な事実を知らなければならなかった>

当時の市場長も、そして(交代していなければ)知事も盛土無しの事態を知らなかったことになる。
ここで問題になるのが「この状態で昨年8月農水省に申請を出せたか?」という前述の疑問。技術部門は盛土無し認識して進めてきたのだから、その延長で出せそうに思えるかも知れない。しかし、実際は相当難しい。農水省にも盛土有りの資料をずっと出してきたし、市場長も知事も変更認識はない。

更にTV報道によると、既に昨年2月業者と都側の会合で「地下の空洞」について会話が交わされ録音もあった。

イメージ 1

技術部門の耳にも入っていただろう。もはやバレる日は近かった(更に高野氏図面指摘有り)。同部門の判断で盛土有りのまま申請して通っても、バレたら混乱必至。認可した農水大臣と農水省も責任を問われる。もちろん知事・市場長も只では済まない。この状態の責任を技術部門が被れるかといえば到底無理。新市場整備部の中では、技術部門以外もある程度は知っていた可能性あるが、同部全体として考えても責任取り切れない。

役人としては当然避けようとする。しかし、仮に盛土無しで都庁内オーソライズしようとしても、市場長・知事は急に言われても従来の議会答弁との齟齬などで承認困難。だが、開場は迫り引越し準備等も始まっていた。技術部門は8月以前に既に八方塞がりの状態だった。

生田氏は「八方塞がり状態を招いたのは小池氏」と断罪しているが、都側は(隠す以外には)打つ手無かった。すぐバレるのが見えているのに隠して開業か、或いは対策の当てなく延期し非難を浴びるか、という無残な状態。

以前記事で取り上げた都側主要約束を再掲。これら全てが小池氏就任以前から破られていた。外部の者が言うのは僭越ながら、異常事態であることをご認識頂きたいと思う。この状態からは早期合意形成は困難で、総合的な見直しが必要なことも。

①操業由来汚染の完全除去
 →第8回・9回のモニタリングにて基準超え発生、残存あり
②法令を上回る二重三重の対策
 具体例
 (1)「盛土とコンクリートでの2重封止」
   →肝心の建物下盛土無し、換気追加検討中
 (2)(法令に要請のない)地下水管理システム
   →AP+2m以下の目標未達成で達成見込時期も不明、
    その後の水位管理も豪雨時期の管理能力未実証
③指定解除
 →操業由来を除去して自然由来だけにして、「一般管理区域」を無くすことが出来る、
   つまり①実現なら指定解除と同等と主張も可能だったが現状は基準超えで不可

批判することは自由だし民主主義には欠かせないが、正確な認識に立って行う必要があると思う。生田氏は例えばY本I郎氏と対談しておられたが、同氏からそれが得られるかどうか・・・。
どっしり構えて高みの見物されるということで、人も情報もじっくり吟味して、次は「今後どうしていくか」の論議に参戦して頂きたいと思う。明るく弁も立つ好漢の活躍に期待。

以上