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yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

池田信夫氏と科学的思考

池田信夫氏が本日ブログを書いておられる。
豊洲より築地のほうが汚いことはこどもでもわかるので、科学的には移転中止は誤りだ。法的には宇佐美さんも指摘するように、「豊洲市場の安全は既に証明。移転になんの問題もない」。森山高至のようなデマゴーグは別として、反対派も法的根拠がないことを認めた上で、石原知事時代の「議会答弁」まで退却している。>

「役所のトリック」の話につながる「議会答弁」の件が出てきたのは、どうも当ブログを「DDK」さんが紹介して頂いてご覧になった模様。
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「反対派ではまともなほう」と多分相当奮発した評価を頂いたようで実に光栄と思うことにする。ただし、当方は「反対派」ではなく「客観的是々非々派」とでも言えるような立場で、「東京都の約束」という事実関係の客観的証拠として議会答弁を紹介。池田氏も客観的見方を基本にされていると想定され、事実を余り無視するわけにも行かず、「これは何か書いておかねば」と思われたことが推察される(当方は心理も研究)。

翻って同氏の豊洲問題に対する見方には当方も違和感があり、前記事で言及した橋下氏に続いて取り上げることを考えていた。そのためにTwitterを拝見したら上記ツィートとブログが出ていた次第。そのため「議会答弁」関連より、元々考えていた違和感につながる「科学的」について本日は取り上げる。
豊洲より築地のほうが汚いことはこどもでもわかるので、科学的には移転中止は誤りだ。>

なお、同氏は次のブログも前日に書いておられる。

両記事とも「豊洲と築地の比較」が出てくる。しかし、比較するに当たって池田氏は肝心なところを抜かしておられる。豊洲は未完成状態」なのである。長年使用されて実績が有る築地と比較するなら、少なくとも豊洲も完成形で論じる必要があると思う。前提となる定義をきちんとすることが、同氏の言うところの「科学的」な見方につながる。

以下に当方認識の現状検討課題を例示。これらの扱いを明確に決めて、必要なものは実施してからでないと豊洲は完成という定義に至らない。

①換気追加…専門家会議が提言することは、もはや確実
②5街区砕石層…むき出しのままか?コンクリート敷設追加か?
③空間床コンクリート…防水にするのかしないのか?
④地下水管理システム…水位未達成、豪雨の時期も未経験で能力未確認
⑤盛土再汚染調査…砕石層超えの水位上昇による再汚染懸念に対して調査するか?

また、⑥環境アセスメントは必須だし、⑦再モニタリングはどうするのか(他に農水大臣認可や業界との合意など色々有るが不透明なので置いておく)。これらが決着付いて、或いは目処がついた時点で比較すべき話。科学的思考というのは、単に数値がどうこうというだけでなく、論理性が重要となるのは当然ご存じだから、是非それで綿密にやって頂きたい。

そして、もしどれか一部でも実行すると、どうなるか。例えば確実な「換気追加」だけでも世論は「やはり問題があったのか」と認識する。それに対して、これまで「盛土無しが正解」などと現状全肯定する識者がおられる。しかし、「正解」や、ましてや「英知」ならそのような改造追加は必要ないはず。

②と③も「現状空間全肯定」の方々は、対策は必要無いとするのだろうか? この辺もハッキリして頂きたいと思う。④の地下水管理システムが万全ならまだしも、なかなか水位が下がらず調整能力に疑問が付く状況で、今後の備えとして防水必要ないか?

⑤も長期間滞留水に浸かっていたのだから、調査必要無しと言い切れる根拠は出せるか? また、⑥を簡易的に、例えば1ヶ月程度で済まそうとしたら世論は批判が大きくなるだろう。特に⑦再モニタリングを必要箇所で2年行うかどうかは日程への影響大。もちろんモニタリング測定値の詳細分析もある。

このように一先ず挙げてみただけでも課題は多い。今はモニタリング結果のショックに紛れているだけで、最終的には全てに結論を出す必要がある。推進派の方々は既に確定レベルの①も、そして②~⑤も必要なし、⑥も1ヶ月程度、⑦は確認のみで基準超え問わず、とでも主張されるのだろうか? もし一部でも対応必要なら、その分移転は延びますよ。対応しないのなら、市場関係者・都民・議会などに、どうやって納得してもらうか。

結局検討項目が多すぎて、なかなか結論は出せない状況。しかし、移転推進派識者らの多くは、現実を見ないで早期の「移転決定」が可能かのような幻想を振りまこうとしている。もしそうでないなら、①~⑦等への考え方を入れた(現状で問題ないという観点からの新たな)「具体性有るロードマップ」を出して頂きたいと思う。賢明な池田氏なら迅速な提案が期待できるかも知れない。

小池氏の方は一応ロードマップを出している。一応と言うのは同氏ロードマップも課題対応を楽観視していると思われるため。ただし、前記事でも予想したように、小池氏は「移転見直し」の方向性を打ち出すのではないか。そうすると豊洲の検討課題も縮減可能になる。

後は今後の小池氏の動きを見て、池田氏見解のように流れていくか、当方見方が適合しているか、はたまた他の思いがけない展開などになるか、確認していきたいと思う。

なお、上記同氏ツィートは、<「法律」と「条例」と「行政指導」と「合意事項」と「議会答弁」の区別がついていない>と決めつけて頂いているので、これに関しては又別途書く予定。

以上
[追記]
当方は池田氏を以前から高く評価していて、<資本主義の正体>・<「日本史」の終わり>などの著書も読んでいる。期待に違わぬ論理的分析がなされていたので、今回は正直驚いた。
こと豊洲問題になると池田氏・橋下氏・郷原氏など本来有能な方々も、何故か同じように「実態無視」の方向に行っている。これも研究課題か。

考えられるのは、小池氏に出来ないことを投げて、結果的に小池氏批判することが主目的の人が多いのかも知れない。実際以下のようなツィートもしておられた。誤解させてまで「小池氏が悪い」。
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追記以上