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「一般管理区域」と平田座長の不可解なスタンス

昨日記事の自己コメントで、若狭勝氏ブログと小池氏発言をご紹介した。両方とも重要な内容と思うので、本日記事に転載。

----若狭氏・小池氏発言 転載開始----
[自己補足1]
若狭勝氏が昨年8月31日のブログで「一般管理区域」を使っておられる。法律家らしい目のつけどころと言えるかもしれない。
この中で次のように述べておられて、「市場用地は『一般管理区域』を上回る対応が必要」との認識のようであり、小池氏に近い立場の人物なので意味深か。
既に「一般管理区域」であるにもかかわらず、そうした莫大なお金が費やされてきた理由を延期反対の人はどのように説明するのでしょうか。
要は、その理由は、生鮮食料品を扱う市場であるという特殊な場所であるからにほかなりません。

[自己補足2]
日経新聞1月11日小池氏インタビュー記事で安全宣言に関して以下の発言あり。農水大臣承認申請を安全宣言同等とする認識のようである。

<――築地市場豊洲移転に向けて、都として安全宣言を出しますか。
「1月半ばに(豊洲市場の地下水調査の)最終的なモニタリング結果が出る。そこで『専門家会議』が開かれる。その後に環境アセスメント(影響評価)の必要性を吟味する」 

「行政手続き上、そもそも(新市場開設には)農林水産相の許可を得なくてはいけない。安全宣言という言葉は行政上の言葉ではないが、実質的に『安全だからお認めください』となる。『承認申請を出す』イコール安全ということ
----転載終了----

若狭氏は昨日記事で取り上げた「一般管理区域」を使用し、「市場用地は『一般管理区域』を上回る対応が必要」との認識を述べている。ただし、日付は8月31日で9月の盛土無し公表の前だから、現在の見解は不明なところがある。また、知事就任後の小池氏と若狭氏との距離感もあまり良く分からない気がするが、それでも元検事・弁護士の法律家だから、小池氏が相談したり意見を聞くことは充分ありうるだろう。

小池氏発言の方は最新のものであり、現在の意向を表明していることになる。”『承認申請を出す』イコール安全(宣言)”という趣旨であり、思い切った発言と言えそう。

承認申請する際には、自然由来汚染物質のために形質変更時要届出区域は解除されないが、以下の2種類の状態が有り得る。
 (1)「自然由来特例区域」の指定区画だけになった状態(指定無し区画も含まれる)
 (2)「一般管理区域」の指定区画が残った状態

小池氏は前述のように、「承認申請=安全(宣言)」との認識を示しておられる。
まず、(1)については、安全宣言して申請しても世論から納得を得られる可能性は充分あるように個人的には思える。問題は(2)で申請せざるを得ない場合だが、小池氏は安全宣言できるだろうか。

それを考えるに当たっては、専門家会議の指定解除に対する見解も重要になってくる。特に「一般管理区域」について再開後の議事録で検索してみると、第一回会議では平田氏が言及していたが、ハッキリした説明にはなっていなかった。第二回三回は全く言及なし。

その上で特徴的なのが第三回で、以下に示すように「形質変更時要届出区域」の指定解除に関して「絶対に不可能」という強い言葉を用いて、更に費用や他地区も持ち出して非常に長く力説しておられた。

----第三回専門家会議 平田座長発言 抜粋開始----
○平田座長 まず、形質変更時要届出区域を解除する。そのための対策をしろという話ですが、多分これは絶対に不可能だと思います。できません。有楽町層がある限り形質変更時要届出区域を解除するということはできないと思います。これは何も豊洲だけではないと思います。東京湾岸全てそうです。埋立地あるいは底質を使った埋立地のあるところというのは全てだめだと思います。それは全部、全て土壌を入れかえる。東京の土を全て入れかえる。湾岸の土を全て入れかえるということをしない限り、私は、形質変更時要届出区域の解除というのはできない、とても不可能だと思いますね。非現実的かなと。お金、とてもじゃないけれども、5,900億どころの話ではない。2桁違ってくるんじゃないでしょうか。兆円単位の話になると思います。そのぐらいのものすごい話になるんではないのかなという感じがしてございます。
・・・
形質変更時要届出区域ですけれども、これにつきましては、どれだけ頑張っても、いかに東京都の予算が年間12兆円あるとはいいましても無理だと思います。それは豊洲だけではありません。湾岸全てそうです。という状況にあるということはご理解いただきたいと思います。なぜそれがわかったかというと、あれだけの調査をしたからわかったということですね。皆さん、今、安心だ、安心だと思っているところは、データがないから安心だと思っているだけの話であって、調べれば何が出るかわからないですね、という状況だと思います。だから、形質変更時要届出区域を解除する、そういうことを目標に何かを考えるということは、私は座長としてはとても申し上げられない目標だと思います。
----抜粋終了----

しかし、形質変更時要届出区域の指定解除は出来なくても、「一般管理区域を無くす」という方向性もあることについて、専門家としてよくご存知なのだから説明すべきと思う。何故それをされずに、既に多くの人が理解していると思われる「自然由来汚染による解除不可」を、これほどまでに強調されるのか。当方は大いに違和感あり。(下欄の自己コメントで補足あり)

ただし、質問する側も指定解除について聞く時に、「一般管理区域」を使っておられない。例えば、長く取り組んでおられる水谷建築士の質問。
----水谷氏質問 抜粋開始----
○質問者 2年間モニタリングですけども、さっきも話が出ましたけども、そもそも東京都は操業由来の汚染は全部除去すると。2年間モニタリングで確認すると。それで操業由来のものに関しては最終的にその措置を解除するということを言っているわけですね。でも、その後の説明が、環境局の説明は、自然由来とできないんだから操業由来も同じであるみたいなことにどんどんルールを変えていってしまう。そもそも除去すると説明したから「そうなの?」というふうにみんな一応納得した形をしているにもかかわらず、そうやってルールを変えてしまっていくってどういうことなんでしょうかという問題。
----抜粋終了----

これを、例えば「農水大臣申請時に一般管理区域が残らないようになるのですか?残るのですか?」と聞けば、シンプルになって明確な回答も得やすくなると思う。

以上
[追記]
移転に関する現在の当方見解を参考に記す。
端的に言うと、「移転可否を判定する審議会を設置すべき」というもの。

現在も既に市場問題PTと専門家会議が有る。しかし、PTは延期表明に伴って設置されており、発足は盛土問題発覚の前になる。しかも、盛土問題検証は小池氏意向で都側が実施することになった。結果としては、やり直しの第二次報告でM部長の責任を特定しても、文書で反論され結論は不明。それでもPTは対象に加えておらず、問題検証の中核を担当していないことになる。

また、専門家会議は現状の確認から出発しており、対策は提言するにしても移転判断は小池氏や都側に委ねることになるだろう。また本文のように、小池氏が重視している「農水大臣認可申請に当たっての指定解除問題」に関してもスタンスが不明瞭。

よって、PT・専門家会議・都側の検証や提言を受けて、総合的に移転可否を判断する審議会を設置すべきではないか。屋上屋を架すように見えてしまうかも知れないが、民主主義のコストとして今回は必要と思う。

また、環境アセスメントの審議会も有るが、移転可否を判断する場ではないだろう。
可否判断の審議会には、業界や都民代表なども参加するようにして、議論がまとまらなければ最終的に多数決も止むを得ないと思う。それぐらいやって、ようやく都民からも一定の納得が得られるのではないか。
今のままではどちらに決めても双方に深刻な不満状態が残りかねない。また、小池氏一人や側近などと決めるのも透明性に欠ける可能性があるし、問題が大きすぎて手に余ると思う。

追記以上