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コメント返信…「要届出区域指定解除と自然由来」等

前記事に「sti**dog*2」さんからコメントを頂いた。重要な内容で説明内容も多くなるため、こちらで返信。コメントに付与された項番(1)~に沿って斜体でコメント引用しながら、”→”以降に当ブログ見解記述。

====(1)項====
(1)D・Eラインについて
D・Eラインは「区域の指定解除」を示したものであり「自然由来特例区域」とは土対法上全く異なる制度です。指定解除が不可能な現状でD・Eラインに進む経路を示すことは、読者に誤解を招く恐れがある不健全な情報と思いますので、訂正することをお勧めします。

→以下に再掲の農水省資料は、「卸売市場の認可に関する一般論」の意味合いが大きいと考えています。
つまり、土対法改正後に開場する卸売市場は豊洲だけではありませんし、同資料に「豊洲」という名称も出てきません。豊洲を意識して作成した可能性はありますが、対象は豊洲限定ではなく一般的と当方は捉えます

イメージ 1

土対法改正に伴う農水省の基本的考え方が示されており、「卸売市場用地としては指定解除が必要」という見解と読解しています。ですから、D・Eのラインがあることは辻褄が合っていますし、逆にそれが無いと同資料には「想定し得ない」場合の記述だけで、「想定可能」の条件が示されていないことになります。両方の想定を端的に示すために、当方は「○☓」を付けてみました。

同資料には「自然由来特例区域」という言葉は出てきていません。環境省の元図に無いからと推察しますが、結果的に農水省は同資料作成においては「自然由来特別区域の件まで考慮していなかった」と見ます。

====(2)項====
(2) モニタリングの意義について
「何のためのモニタリングか」の疑問への解は、私の中で得心できる仮設は成立していませんが、食の安全・安心確保の対外的説明資料には利用できると思います。
貴説の「農水省の認可条件」説は有力な仮設と考えますが疑問も残ります。
疑問① モニタリング期間が2年未満で認可申請を受理し、かつ、認可することの合理性を説明できない。また、認可後に基準を超過した時の取扱いに窮する。
疑問② いくつかの会議録から、専門家会議、技術会議そして東京都も水質は変動し、基準超過をも想定していると推察できる。

→①②がありますが、まとめて都側の見解と思われる都議会の委員会質疑を示します。
----質疑1引用開始----
〇田の上委員 ・・・
  操業由来の汚染について、さきの予算特別委員会では、地下水の二年間のモニタリングをし、形質変更時要届け出区域の指定解除をするという答弁がございました。結局は、指定の解除は開場の条件とせずに、汚染区域のまま開場するということだと思います。・・・
  二年間のモニタリングを待たずに建物を建設した場合汚染原因の調査、対策ができなくなりますが、いかがお考えでしょうか。 

〇臼田基盤整備担当部長 新市場予定地におけます土壌汚染対策は、法よりも手厚い綿密な調査の結果に基づきまして、操業に由来します土壌及び地下水の汚染をすべて環境基準以下へと浄化するなど、市場用地としての安全・安心を十分確保するものでございます。
  都といたしましては、こうした対策を確実に実施することで、市場施設の建設に当たっては、土壌、地下水、いずれについても環境基準値以下になったことを客観的なデータで確認した上で着工していくということにしてございます。地下水から環境基準を超える汚染が検出されることはなくなるわけでございます。
  これによりまして、市場用地の安全性は十分に確保されるものと考えてございます。 
----終了----

都議から「 二年間のモニタリングを待たずに建物を建設した場合」や「指定解除を開場の条件としない」ことの懸念がズバリ示されています。それに対し臼田氏は「対策で環境基準を超えることはなくなる」と答弁。
つまり、都側は2年間のモニタリングで基準値超えは出ないと決め込んで着工を正当化その流れで2年間終了前でも、「どうせ問題は出ないから開業しても差し支えないし、農水省も説得できる」と考えたのではないか。余りにも安易ですが、答弁から伺える本音と推察。

====(3)項====
(3) 汚染除去を行えば認可可能について
指定解除ができない現状では、資料から読みとれる認可の条件はこれしかないでしょう。ただし、農水省が資料外の新しい考え方を示す可能性を否定しません。
自然由来物の残置は文字通り、自然の土地と同じ状態なので認可に支障はないと考えます。なお、認可条件としての具体的な汚染除去方法等について何も示されていない現時点で、これ以上の想像は意味がないと心得ています。

→上記委員会で更に自然由来に関する質疑あり。
----質疑2引用開始----
〇田の上委員 ・・・
  改正土壌汚染対策法の範囲となる砒素や鉛など自然由来の汚染については、… 封じ込めを行うので、調査も対策も行わないというご答弁でした。また、自然由来の物質が残るが、そのままにして指定区域の解除ができるのかどうかと再三伺いましたが、お答えがありませんでしたが、二月二十三日の予算特別委員会の中では、土壌汚染対策法の形質変更時要届け出区域の指定が残るという答弁をされていました。
  そこで伺います。これら自然由来の物質の調査、対策をするつもりがないということは、そもそも将来にわたり指定区域の解除を目指すつもりがないのでしょうか。改めて伺います。 
 
〇臼田基盤整備担当部長 ・・・
  お話しの指定区域の解除につきましては、操業由来の区域については、汚染土壌を除去し、地下水汚染が生じていない状態が二年間継続していることを確認することで、形質変更時要届け出区域の指定を解除してまいります。
  自然由来の区域につきましては、形質変更時要届け出区域として指定は残りますが、この区域は、先ほどご説明いたしましたとおり、人の健康被害が生ずるおそれがない区域であるが、二重、三重の封じ込めで土壌汚染の摂取経路を完全に遮断することから、安全性に全く問題はないと考えてございます。 

----終了----

臼田氏答弁は次の二つの場合に言及していると想定。
・操業由来(のみの)区域は2年間モニタリングで指定解除していく
・自然由来(及び自然由来と操業由来両方ある)区域は(自然由来のために)要届出区域として残る…「自然由来特例区域」を指していると想定

結果的に、「要届出区域指定のままでも自然由来特例区域だけにすることは可能」となります。この状態で開場できるように農水省認可を目論んでいたことになり、当方見解と同様と考えます。
つまり、都側は「自然由来特例区域だけになった状態」として認可申請します。農水省側は上記資料の見解に自然由来のみになった場合の対応を付け加えて認可できたのではないか、というのが当方推察。
そして自然由来は土対法の規程にあるから、都側と農水省だけで了解し合って認可するような状態でなく、客観的な法的裏付けをもたせることも可能性が出てきます。

ただし、現実的にはモニタリングで基準値超えが発生し、「自然由来特例区域だけの状態」にすることも難しくなった状況で都側はどうしてくるか。また、先日記事でも書きましたように、当面は11月測定結果がどうなるか。

====(4)項====
(4) 現状+換気対策ついて
建物の現状は建築基準法の問題であって、農水省の関係ではないとの考えです。盛土無しの現状は、土対法上はコンクリート又はアスファルトで支障ないはずです。専門家会議での盛土は、揮発汚染物の吸着と拡散放出が目的と思われ、活性炭フィルター(吸着)付の機械換気設備(拡散放出)が盛土効果を代替できると考えます。農水省は、専門家会議と市場PTの報告を丸呑みすると推定します。

→ご見解ありがとうございます。「専門家会議と市場PTの報告を丸呑みすると推定」は、現実的かつ有力な見方として当方も同感。他の見方としては、「換気は盛土を代替できても同等とまでは言えない」という捉え方があると考えています。

都側は「完全」という言葉を使って説明してきました。例えば上記質疑での臼田氏発言<二重、三重の封じ込めで土壌汚染の摂取経路を完全に遮断することから安全性に全く問題はない>。

その具体例が「盛土をした上に更にコンクリートアスファルトで遮断」だったので、盛土が無くなって換気で完全と言えるか? 対策のグレードが下がったことにならないか?
例えば盛土は目に見えて分かりやすいが、換気効果は測定しないと見えない。また、盛土は故障しないが換気はそうではない。
市場関係者だけでなく、都民感情も含めて、どういう反応になるか。

====(5)項====
(5) その他
ブログ中の臼田基盤整備担当部長答弁「汚染土壌の搬出、運搬、処理に関する規制等の観点から対象外」とありますが、対象外→対象 ではありませんか?

→これは臼田氏の発言の仕方によると考えます。自然由来特例区域は「形質変更時の制限を軽減する」という趣旨があり、同氏はそれを説明しようとしたことが考えられると思います。

以上
[追記]
「アユ」さんからもコメントを頂いている。
そもそも論として、自然由来だろうと、人間が汚染したものだろうと、危険度は変わらないだろうに・・・。
役所の理論で押し通しても、客は納得しないんじゃないか?
豊洲市場って開業すりゃ終わりなんじゃないんだし。
築地ブランドを失った豊洲市場に意味があるんだろうか?
土壌の汚染で開場できるかどうかのボーダーライン上にいること自体がアウトな気がする。

→確かに色々調べてきて、当方も「元々の用地選択の問題が大きすぎた」という認識です。以下のような状態だった当時の実情をよく知っている東京ガスが売却を渋ったにも関わらず、H渦氏の豪腕などで東京都が購入したのが躓きの元。
イメージ 2

更に、都側は土壌汚染を甘く見て「工期短縮で並行実施」まで選択してしまった。この経緯の問題点は引き続き検証予定。

ただし、例えば当ブログを始める切っ掛けになった「遠隔操作事件」では、最終的に被告が墓穴を掘った形になって有罪確定しましたが、それが無ければ別の状況もあり得ました。真相は「犯人」で、裁判は「無罪」になる可能性です。当時、当ブログはその両面について検証。

豊洲問題でも、「真相」と「現実的にどうなっていくか」の両方を見ていく予定です。相反する方向性になるかも知れず、分かりにくくなる可能性も有りますが、当ブログポリシーであることを、ここで改めて紹介させていただきます。

追記以上