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日程目処入りロードマップ公表と「現状空間全肯定派」

小池都知事の定例会見があり、豊洲移転ロードマップの詳細版が公表されて各社報道している。例として時事通信記事。
<東京都の小池百合子知事は18日の定例記者会見で、築地市場中央区)の豊洲市場江東区)への移転について、早ければ1年後の2017年末ごろまでに実施する方針を公表した。>
→これでは誤報だろう。しかも、この記事だけでなくNHKなども同じような見出しで呆れる。実際は会見で示された以下資料のようになる。

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上記記事の「早ければ2017年末ごろ」は、手続きが最も早く完了した場合になる。しかし、それは上図右のように、「豊洲市場への移転に向けた環境が整う」となっている。更に、そこから「移転時期は業界団体と調整の上、決定」となる。

開業時期としては、少なくとも引っ越し等の準備期間は足さなければいけない。フライイングで準備を始めることは、今回のモニタリング終了前開業での失敗例があるから難しいのではないか。

具体的時期の想定幅を検討してみる。要点は「移転時期はいつか?」だから、それに絞って見てみる。最後の段階は次のようになっている。(冬は12~2月、春は3~5月とする)
移転に向けた環境が整う時期・・・2017年冬~2018年春” = 2017年12月~2018年5月

最短で2017年12月移転決定として、準備期間も短めの3ヶ月と考えてみると、移転開業は2018年3月。これを更に早くすることを考えても、年末年始は避けざるを得ず、年を越して2月以降になる。上記記事の「早ければ2017年末ごろ」は間違いが明確になる。

しかも、上図で追加対策工事を入札なども含めて半年と見込んでいる。環境アセスを最短完了させ、8月から始めても完成は2008年1月。1月判断の場合はどうなるか。これまでも小池氏は来年1月に判断するとしてきて、最終モニタリングがOKだった場合に5月開業との見方が有力だった(3月は年度末などの事情あり)。同様に考えると、早くて再来年(2018年)5月になり、1年半の延期になる。

更に環境アセスが変更レベルで済むかどうかも予断を許さない。審議は来年6~7月想定のようだから、丁度都議選と重なる。移転是非が争点になることは確実。その中で、少なくとも「環境アセスをちゃんとやらなくて良いのか?」という主張は、推進派も無視しにくくなる。結果的に変更だけでは済まなくなる可能性も出て来る。また、環境アセス制度を揺るがしかねない「行政自らが虚偽記載で建築してしまった」という暴挙。軽微な変更として済ませるのでは、都自身としても他に示しがつかないということになる。

いずれの場合にせよ、「移転反対か推進かの2項対立」より、当初から書いてきたように「移転するにしても延期が長期化するから時期が問題」という事態が鮮明になった。じっくり取り組んで合意形成を目指すしか無いだろう。
そのような中で、例えば市場問題PTにおける森高氏のような早計の独断などは排すべきで、予定通り専門家同士の打合せなどを充分やっていく必要あり。移転を早くしたいほど、慎重にことを運んで合意形成を目指す姿勢が必要。

なお、「現状空間全肯定」で全く問題ないという見解の識者もおられるが、多分この局面でも即時移転を主張していかれるのだろう。しかし、例えば「揮発性汚染物質の遮蔽」に関する盛土の効果を見逃したりしているようだ。専門家会議提言の各仕様にも意味があることを勝手に無視している。物事の筋や流れが的確に認識できないと現実が見えない。こういう残念な人士の中で、本日は橋下徹を取り上げる。以下ツィートにより同氏も全肯定派に近いと考えて良いだろう。

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専門家とは、TVタックルで<建設、土木プロジェクトのプロ>と紹介された藤井氏や、<産廃屋の倅です。ベンゼン、フッ素大好きっ子です>という、橋下氏の番組にも出演の山本一郎氏などか。このような方々の意見が妥当と思われるのだから橋下氏も推して知るべし。

結果的に、豊洲問題で橋下氏の本性が見えたのは、当ブログでは政治ウォッチもやるので非常に有効。「大阪都」は有りと思っていたので、同氏を評価していた面もあったが、やはり東京に出て来てくれると真の評価がし易い。
更に、同氏は一応経験があるはずの行政面の考え方や弁護士としての資質などにも問題有ることが、ツィートを見ただけでも分かってくる。

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9月からあれだけ話題になって調査報告書が2回も出てるのに、新たに石原氏の空間承認書類など出てくるはずもない。しかも、第2次報告書は担当組織の部長が情報を上げていなかったと断定している。報告書の重大欠陥と言いながら、肝心なところをまるで理解していない。どんな優秀な知事でも、担当部局が説明しなかったら詳細まで分かりようがない。知事が「盛土無し」を認識した上で承認した決裁書など今更出てくるはずもない。何という空想物語、ここまで酷いとは。このズレっぷりは、もはや芸風なのか。

これ以外にも以前の記事”「橋下x羽鳥の番組(9月26日)」の欺瞞”で書いたように、「書類を全部読む」などの見え透いたホラ(虚偽)を平気で言うし、正しい当事者に間違った主張を押し付けて頭を下げさせ満面の笑みという傲慢さ。もし国政などに復帰がある場合は、本性をもっと上手く隠されたほうが良いと思う。

豊洲の現状を全肯定するような人に向けては、「やながせ」都議が書いている言葉を贈りたい。
 <失敗を成功強弁するから信頼されない> 
海外にも報道されて日本の劣化を象徴しかねない(新国立競技場迷走に続く)未曾有の大失敗。国政第3党の代表まで務めた橋下氏クラスが、それを正しく見れなくてどうする。

以上
[追記]
小池氏の説明で重要と感じた部分を文末に抜萃掲載。要点と思われるのは、「豊洲移転が確実とは、まだ言えない」ということと、「環境アセスも短い/長いの両方を考えている」こと。

なお、現状を客観的総合的に考えると、延期が1年を大幅に超えないように知恵を出し合うべきと思うが、やはり都議選がネック。終わるまでは協力体制も作りにくいだろう。このまま小池ロードマップで行くしか無いのか。
それと少し気になるのが「専門家会議の報告目処」を来年4月とした点。平田氏は都から独立と常々言っておられる。このような話を平田氏ではなく知事が先に公表することをOKされたのだろうか。もしそうなら、やや予想外。

----小池氏発言抜粋----
豊洲移転に係る行政手続の流れと、スケジュール、かかる日数・月数について今日お話しました。
ただ、これらは例えば地下水モニタリングなどの科学的結果がベースになっておりますので、その点では豊洲移転がこれで確実ということはまだ言えないと思います。
ただ、現実に行政を預かる身として、都庁としてはやはりA案・B案というので進めるべきものは進めていく、その準備はしておくということだろうと思っています。(注:A案・B案は後の説明で、アセスが短いのか長いのか、ということだった)

追記以上