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環境影響評価

現状肯定派と思われる方と昨日記事でコメントやり取りしたが、どうも肯定派の方々はおしなべて問題を矮小化しようとしておられるように感じる。問題は建築安全性だけではない。また、「都庁内部の手続きの問題」などと考えてしまう方もおられる。しかし、実際には法的にも問題が有る。

これらを考慮して10月29日記事で以下のように記した。
”他の再検討状況として、例えば環境影響評価のやり直しや基準値超え地点の2年間再検査などを取り上げただけでも、延期期間の長期化と決断時期の不明瞭さにつながる”

後者の「2年間再検査」は平田座長が言及したが、勝手解釈がぞろ出てくる可能性も高いので今回は置いておく。そして前者の「環境影響評価」の方には「環境影響評価法」という法律が有る。

この関連での報道も有った。
<都は(盛土有りの)評価書を公表する二カ月前の一一年六月には既に、地下空間を造ることを設計図に記載していたことが分かっている。都環境局によると、評価書案の提出時に設計図などを審議会に示さなかった。
評価書案を審査した審議会委員の守田優・芝浦工業大副学長は、取材に「地下空間の説明はなく、盛り土されていると思っていた。土壌汚染対策のアセスの前提が変わってくることになる」と話す。
専門家会議で方針が固まった後に、修正を行うことになる。一部の修正手続きで済む場合でも一~二カ月はかかる見通しだ。

また、この東京新聞記事では「一部の修正手続きで済む場合でも一~二カ月」となっているが、以下の毎日新聞の記事では「1年以上」ということも書かれている。
都は専門家会議の再検証を踏まえて評価書を修正する方針だが、手続きをやり直す場合には1年以上かかる見通しで、豊洲市場の安全性が確認されても移転がさらに先送りされる可能性が出てきた。>

いずれの記事でも鍵を握ることになる専門家会議は、まだ方向性は見えないと思う。そして何をやるにしても、構造計算のような話とは違い、論理だけでなく実際のデータ観測による調査も行われる可能性が高い。

調査方法を決めて実地に測定し、分析・評価する。どれぐらいの時間がかかるだろうか。準備のための実験もあり得る。全ての結果がOKになってから評価書を修正して手続きに入る。全体で一体どれ位の時間がかかるか。この流れに対しては、「現状で問題ない、現状はよく出来ている」などといくら肯定発言を並べても、提出済みの評価書と内容(盛土有無)が異なる点は覆せない。どうしてもやらざるを得ない。

そこで思うのだが、現状肯定派の方々の主張目的は次のどちらなのだろうか。
 (1)「現状はよく出来ている、現状は安全」という主張を認めさせたい
 (2)早く移転を実現させたい

もちろん両方という声もあるだろうが、まずは分けてみると(1)で肯定のための主張でも実は真逆のところがあったりする。藤井聡氏はTVタックルではコストの話をしておられなかったので、昨日記事では「コストの話を聞いてみたい」と書いたが、ブログの方でコスト面に言及しておられた。
事実3:地下空間を設ける方が、盛土構造より、コストがかかるものだった。>

何と藤井氏は「盛土より地下空間の方がコストがかかる」ことを認識しておられた。コストが高くても安全な方が良いという主張になる。盛土より安全かどうかは専門家会議によるが、とにかく地下空間のほうがコスト高とのご認識。

しかし、ご存知佐藤”英知”氏は、「この地下空間は決して高いコストがかかった空間ではありません」と述べておられる。(ちなみにようやく第一回PT議事録が公開されたが、これほど遅れたのは一体どういう事情だったんでしょうね)

佐藤氏はトータルコストで考えられていると思うが、普通に受け取れば盛土より現状のコンクリート空間の方が安いという理解になるだろう。つまり、現状肯定派でもコストという重要な要素において見解が逆に見える。

また、藤井氏は「地下空間の底が抜けている方が水も早く抜けて良い」という見解だが、これは肯定派にも異論もあるだろう。更に同氏は最初のブログでは「しっかりした地下室が有ったほうが安全」と言っておられたのに、いつのまにか底抜けが安全となった。このように見ていくと矛盾が色々出てくる。

そして、もし(2)を重視なら、上記のような現状肯定論法の矛盾などもあるから、まずは専門家会議とPTを分離しないで一体化し、早く納得性のある結論を得る。其の際には現状肯定にこだわりすぎないで、早期移転可能になる良策があれば迅速に実行して移転推進すべきではないか。これが当方の見解。今の専門家会議とPTでは土木担当と建築担当の連携がうまくいってなかったという都側の失敗を繰り返す恐れか有る。教訓を活かすべき。

そうしないと現状では移転判断時期さえ不明瞭。小池氏は11月の最終測定結果が出るのを待って1月に判断するとしている。これは基準値超えが出ないことを想定した判断時期だっただろう。しかし、現実には8月時点で越えた地点が出た。それなら1月と言わず今から全体的に話し合っていったほうが早いのではないか。

状況が変わったのだから、対応も変えるべき。そして総合的一体的検討を重視すべき。
しかし、このようなことが必要ないとお考えの方は、現状のままの進行で専門家会議結果と環境影響評価を待つとして、市場関係者の方々のことも考慮し、移転時期決断はいつごろまでなら待てるのでしょうね。
また移転時期もどれぐらいまでが限度と想定されておられるか(或いは限度無しか)。

以上
[追記]
昨日記事のコメントを頂いている。

>地中梁が1階床を受ける場合は上側に配置されるのはごく普通のことですよ。
→「地中梁が1階床を受ける場合」という仮定自体が固定し過ぎで、そうでない場合もあるでしょう。これでは詭弁の部類に入りますよ。
以下のA・B案ではB案(1階床を受けない)を採用しても良いのではないですか? フーチングも小さくなります。

イメージ 1

ミニ重機作業空間という普通ではない「特殊条件」を持ち込んだのでA案になったことが考えられるでしょう。また、配管ピットを別にする2層方式もあります。

>日建の回答は「大部分が土に面しているが若く土の拘束効果は見込めないのでその通りに計算した」
→これは明白な詭弁ということを昨日記事の図で説明しています。土に接しているのは擁壁で、基礎ピット本体とは別体です。拘束が期待できないというより、拘束が殆ど無いと云う意味でしょう。何度も述べてきている重要事項なのに全く無視とはどういう意図があるんでしょうね。

端的に言って、肯定派は貴殿や山本氏、そして本文で取り上げた方々などのように詭弁や矛盾が多すぎるように感じています。そして、PTの専門家も日建の詭弁の指摘をしない。個人的にはおかしなことが多いと思うので、更に検証予定。これは個人ブログだから別に構わないでしょう。

そうそう、ちなみに貴殿は建築専門家の方でしょうか?又は技術者?或いは技術系でない一般の方?
豊洲問題でよく分かりましたが、一般の方で全否定コメントを頂く方の中にはとんでもない思い込みや重要事項無視の方がおられます。対応が難しいので、貴殿が技術系かどうかお聞きしました。もしお答え頂けない場合は、これ以上のやり取りは控えさせて頂きます。

また、総合的には本文のような状況があることにも目を向けられたほうが良いかと思います。

追記以上