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山本一郎氏の根本的詭弁を読み解く

山本一郎氏の10月21日付ブログは例によって長いので、惑わされる方も出てくるかもしれないが、根本的な部分を読み解いてみる。該当箇所を引用。
<豊洲新市場プロジェクトチームに入った大規模建築の大御所である佐藤尚巳さんが、この工法で地下空間を「作ったのは英知」と絶賛し、また一般のマンションなどを手掛ける設計事務所の関係者らも「タワーマンションでは配管メンテナンスやその後の補修工事を容易にする目的でピットを作るのは当たり前。豊洲では高さ2m以上の基礎梁があり、ピット高さ4.5mといえ梁下は人が通れる程度の高さしかないため、配管の取り回しなど考えれば違和感はない」と発言しています。>
 
→まず佐藤氏発言を文字起こししたサイトが有り、構造について以下のように発言しておられる。
<建物の地下に入ってみて、よく観察してみたんですが、基礎梁があって杭があって、そこの基礎梁と杭とそれから柱を連結する部分をフーチングというふうに言うんですが、非常に大きなコンクリートの塊です。
その塊が地下の方にずっと降りてって地下4メートル、4.5メートルのところまでスッと降りた形の、ちょっと余り例のない、言ってみれば高下駄を履いたような構造かも知れません。>
 
→技術の常識からすれば、「例のない構造」では実績が無いから一番注意すべきもの。そして、「高下駄」は不安定の代名詞であり、佐藤氏も意識して使っておられるのは確実。さらに続けて以下のように述べられている。
 
<そのような構造なんですが、それを前提として構造計算をしてる限りそれは安全性が確保された建物として私は認識するし、確認審査なり構造評定なりでそういうものが第3者の目でちゃんとチェックされてるはずですから、まぁそこで見落としのような話が先程あったかもしれません。
ただそこについては ○○先生の方でしっかり見て頂ければ、安全性については十分評価できるし、そう言う特殊な構造ではあるんですけれども、私は安全は担保されてる。>(注:○○先生は当方も聞き取れなかったが、構造専門家と思われる)
 
→後の方に「特殊な構造」という言葉がある。上記前段と併せてみると、「(余り)例のない高下駄を履いたような特殊な構造」となる。なお、「余り」は佐藤氏が念を入れただけで、ご自身は他例を見たことがないという意味合いで省略可能だろう。つまり、以下の技術的に気を付けなければいけない警句の三段重ね。
  例のない
  高下駄を履いたような
  特殊な
 
佐藤氏もそのような状態を十分承知しているから、逃げが幾つも打ってある。
  ・それを前提として構造計算をしてる限り
  ・第3者の目でちゃんとチェックされてるはず
  ・しっかり見て頂ければ
 
佐藤氏発言は以上のような慎重を期した構成になっている。しかし、これら重要なニュアンスを、山本氏は知ってか知らずかスルー。(分かる能力はお有りと思うので、多分に意識的だと思うが)

そして、<一般のマンションなどを手掛ける設計事務所関係者>の「違和感は無い」との発言を続けて紹介している。しかし、以上でお分かりの通り、佐藤氏は警句の三段重ねで「違和感」を表現しておられ、その上で「ちゃんとチェックされていれば」などの責任回避条件を付けている。

つまり、この関係者が「当たり前で違和感がない」なら、佐藤氏とは違う見方なのに山本氏の詭弁術は混同を誘う。なお、関係者もキチンと説明すると、佐藤氏寄りの見方になる可能性もあり得る。

結局「英知」発言は有ったものの、実際には「特殊な構造で確認が必要」という結構厳しく、かつ妥当な条件を付けているのだから、とても「絶賛」まではいかない。PT発言は録画もあるのだから、少し読解力や認識力を働かせば、すぐに分かること。そして審査等が済んでいても、改めて構造専門家に見て貰うことを想定しており、構造確認は今後のPTで論議される。

もしかすると佐藤氏の実際の発言に当っておられないのかも知れない(もしそうなら無責任)。或いは当たっておられたら真意を読み取っていない。結果的に、山本氏が如何に事実を捻じ曲げた不正確な主張をしておられるか、多くの皆さんもご認識頂けたと思う。
 
やや大きな話になるが、民主主義にとって真に危険なのは「詭弁」による言説と当方は捉えている。今後も「詭弁ハンター」(苦笑)としてじっくり取り組んでいくつもり。なお、山本氏が何故ここまで策を弄して頑張っておられるかも意図不明な面がある。

また、高野氏構造指摘と、それに対して「妄想」とまで決めつけている山本氏主張との正否が、次回PTで或る程度見えてくると思われる。山本氏主張の全体的評価には、こちらも非常に重要と思う。まずはPTの次回会合待ちで、それ以降には又色々な展開がありそう。

以上