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盛土問題の基本認識に関して再整理

昨日のコメント欄での[ch4*076]さんとのやり取りは、盛土問題に関する当ブログ提示の「根本要因」にも絡むものだったので転記。
----コメント欄やり取り 転記開始----
[ch4*076さん]
地下水の環境基準も安全性に問題はないわけで。
地下に空間はメンテナンスのためでもあるし、モニタリングするためでもあるし、問題があったときに地下で作業するためでもある。
ちなみにピットへの入口は何か所かあって何れかの場所から問題がある場合は重機を入れるのでしょう。また配管が邪魔なところ、天井が低いところは人が作業することができる。何の問題が? 
[当方]
>地下に空間はメンテナンスのためでもあるし、モニタリングするためでもあるし、問題があったときに地下で作業するためでもある。
→高さ2mの空間では出来ませんか?
例えば基礎梁を下部にして、その天端2mまで盛土して、その上に2mの空間を作る構造では、貴殿のおっしゃる用途を満足できませんか? 
[ch4*076さん]
なぜそんなことをする必要があるんですか? 
[当方]
2mは盛土が出来るではありませんか?
----転記終了----

最後の質問にはご回答頂けなかったようだが、当ブログでは盛土問題の「根本要因」或いは「根本事実」として次を挙げている。
”基礎や配管等が多数ある空間において、数十年の長期間に渡り安定して隙間の無い状態を保てる盛土は実質不可能”

[ch4*076]さんが、これにご同意頂けるかどうか是非知りたかったが、残念ながら今のところ不明。もしこれが成り立つと、盛土は、やろうと思ってもできなかったことになる。逆にもし基礎有り状態でも隙間のない盛土が可能なら、2mでも盛土しておけば随分状況は変わっただろう。建物下の盛土全く無しの衝撃は大きかった。

都側も「元から不可能」を認識していたのかどうかは未だ不明。その状態で都側からは、盛土無しの別の理由として、「ミニ重機のポンチ絵」が入った2009年1月付け地下構造検討図が公表された。しかし、現在の地下空間は基礎梁や配管等からの高さ制限で、ミニ重機と云えども移動や作業が困難な状態と思われ、この理由の信憑性は実証されていないと思われる。

なお、[ch4*076]さんは<配管が邪魔なところ、天井が低いところは人が作業することができる。何の問題が? >という発想を打ち出しておられる。ただ、人力で可能なレベルの作業なら、全域に渡って人力想定の高さでも良いのではないか。今まで使用されておらず、今後使用機会があるのかどうかも不明で、しかも本来想定期間は2年間という用途のために、高さを上げる必要は無かったように思う。

丁度これらの状況を総合して表現しておられるようなツィートがあった。
今朝の新聞みたら豊洲の地下の空洞は駐車場にするつもりだったらしい。だから階高が高かったのか。単に配管の切り回しだけだったら地下ピットとしての扱いだからそれほど階高が高くなくてもいい。盛土して揮発性ガスを抑え込み、その上にピットを作ればよかったということになる。>(9月15日)

駐車場の件は実際には採用されなかったが、以下の認識は的確と思える。
 ・空洞(地下空間)は駐車場に出来るぐらい階高が高い
 ・配管の取り回しだけの地下ピットなら階高は高くなくても良い  
 ・盛土して揮発性ガスを抑え込み、その上にピットを作ればよかった

建築関連知識をお持ちの方だと思われ、普通の見方をするとこうなるのではないか。
ミニ重機以外で通常より階高が高くなっている理由を述べておられるのは、今のところPT初会合での佐藤「英知」尚巳氏と思われる。

佐藤氏発言①<地下ピットもですね、通常大きな建物ですと2メートルぐらいの深さになるんですが、今回の市場は非常に巨大です。350メートル×200メートルとか非常に巨大な空間で、そこに地下に通す配管の水勾配を考えますと、建物の半分から最短距離でいっても100メートルくらいの経路を隔てないと水が流れていかないと。
そうすると100分の一で計算しましても1メートルの落差が出来るわけです。そういうこと考えると2メートルじゃとても足りない。実際設計すると恐らく3メートルあるいはそれ以上になるのが適切な地下空間ピットの寸法です。・・・
で、下から組み上げたことによって構造的に恐らく増えたであろう分量というのは1メートルからせいぜい1.5メートルくらいの構造の費用です。>

→まとめると「通常の大きな建物で地下ピットは2mぐらいだが、豊洲は非常に巨大だから水勾配を考えると3m~3.5mくらいは必要」という趣旨になって、納得性もあるように思う。しかし、実際の地下写真では大きな配管も基礎梁の下を通っている様子が写っている(丸菅だけでなく、もっと大きな四角箱状も見える)。

イメージ 2

全体がどうなっているかは分からないが、他の写真でも梁に穴を開けて配管を通しているような箇所は当方には見つけられなかった。地下ピットとしては2~2.5mで充分と云う表れか。また、巨大な基礎梁なので、それを避けて配管しているようにも見受けられる。結果的に、配管スペースの実質的高さは梁下の2~2.5m程度か。

渡辺氏説明の3~3.5m必用な配管は実際の地下空間で行われているのだろうか。また、メイン配管等で3~3.5m必要なら、そこだけトレンチを切るような方法も考えられるのではないか。このように地下空間の使い方について疑問点が有り、ミニ重機作業可能かどうかも含めて、PTでの確認及び論議を期待したい。(モニタリングの観測井戸がどのように設置されて使われているかも、現場検証を望みたい)

また、佐藤氏は「コスト」に関しても発言しておられた。
佐藤氏発言②<この地下空間というのは決して高い、コストのかかった空間ではありません。

→これについて、やや疑問がある。例えば2009年1月検討図にAB両案がある。

イメージ 1

上部にある注記でA案推奨となっている理由は、B案地中梁の位置。それに対して、ミニ重機を考えなければ、地中梁をAP+2mより上(=地下空間下部でフーチング間を結ぶ)にできるだろう。これをB’案とすれば、A案よりフーチングが細くなり、杭数も減ると図面から読み取れる。B’案ベースの方がコストも安く基礎剛性も確保しやすかったのではないか。(なお、A’・B’案は考え方の例示)

つまり、A案+上部基礎梁のA’案をベースにしていると思われる現状構造は、ミニ重機考慮のためにコストアップしている可能性が考えられる。使用頻度が極めて低い用途のためのコストは費用対効果の検証必須。もし、適切な費用対効果が示せなかったら、杜撰な設計によるコストアップとなって、その責任問題も発生してくる。

また、佐藤氏は次のことも述べておられる。
佐藤氏発言③<20年後でなくても40年後にですね、こういった配管を絶対やり変える時期が来るわけですよ。そういう時に地下ピットだったらどうにもならないんです。>

→同氏は、現状を「地下ピットではない」と認識をしておられることになる。これはTVタックルでの以下論議にも関連してくる。
  森山氏・・・現状構造は地下ピットになっていない、ピットは必要だが2重床にしなければならない
  藤井氏・・・構造として色んなものをピットと呼びます

基本部分で見解や表現の相違がある。これだけの大問題で、一般にも出来るだけ理解しやすいよう、豊洲の構造の捉え方について整理とオーソライズを行うことが望ましい。建築設計業界を代表する団体からも委員が出ておられるPTが何処までやって頂けるか、今後の進展に期待したい。

また、他にも基本的認識に関して以下のような重要ポイントが有る。
(1)佐藤氏は「余り例のない特殊な構造」と述べておられるが、一方藤井氏は「通常の構造」を強調。観点の違いという面もあると思うが、それも含めてPTでの公式見解が必要と思う。
(2)地下空間はピットやモニタリング空間の機能以前に、「AP+2mから上に向かって建てて盛土をしなければ、4.5mの地下空間が元々出来てしまう」という状況があった。
(3)盛土4.5mは都側提案であり、第1回専門会議に対策案として出ている事実も充分認識されているとは言い難い。盛土無しは都側のマッチポンプである。

これらをPTで是非オーソライズしていただきたいと思う。

以上