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藤井氏詭弁「地下ピットとモニタリング空間の混同・すり替え」

TVタックルでの藤井教授発言を検証。
----10月9日TVタックル藤井教授発言抜粋 開始(敬称略)----
藤井:空洞とか空間とかガランドウとか言われていますが、これは明確に(①)「地下ピット」と呼ばれる極めて一般的な構造です。ビルやマンションが建っていると、必ず地下室じゃなくて地下ピットというのが、人が入らない地下空間というのが有るんです。これはメンテナンスの空間で、これは建築のかた皆さんご存知のところです。(②)地下の配管のメンテナンスのために使うのが一般的です。今回の場合は人間だけでなく、(③)都の説明では重機を入れて、もし万が一何かが有ったときに工事ができるように高くしているということです。
・・・
地下水管理システムをやっておいて、汚染土壌が上がってくることを止めておく。汚染土壌が上がってきた時に地下水に流す時に基準値以上、排水基準以上上回るような水があった場合は、濾過をしてきれいにしてから下水道に流すというシステムを入れてます。
もし電源装置(電源SW)を入れたら、この下(地下空間底面Ap+2m辺りを指差し)で止まるようになっているんですけども、そうは言っても壊れることが有るかもしれない。(④)壊れた時に大雨が降るかもしれない。その時上がってくるかも知れない。(⑤)上がってきた時にここ(地表あたりを指差し)まで上がることを遮断するために、ピットという遮断状況にしている
森山:(⑥)地下ピットになってないですよ。2重床になってないですから。
藤井:(⑦)構造として色んなものをピットと呼びます。これはピットと呼べばピットと呼べますし。
(⑧)東京都のかたは、これを一般、彼らは仲間内で「地下モニタリング空間」という一般名称でずっと呼んでいて、技術系の職員は皆知っている。ということが新聞報道で言われてます。
技術系の職員は、(⑪)僕の想像ですけども、盛土と言われたけれど、真面目に安全な空間にするんやったらピットを造らなあかんと。
森山:(⑫)盛土の上に配管用のピットを作って建物を建てるという高床形式が想定されてたんです。それを想定してたんだけど、何かの理由で、ズボッと下がったのが今の状態。
藤井:ただ、想定してたかどうかも議事録で色々解釈が有りますので、どっちになるか分からない。
----抜粋終了----

藤井氏発言の前段について検証を行ってみる。
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■<①)「地下ピット」と呼ばれる極めて一般的な構造
→大きな建物に地下ピットが存在するのは一般的構造だが、豊洲の地下ピット自体の構造はどうだろうか。PT委員渡辺氏は「余り例のない高下駄をはいたような特殊な構造」と喝破しておられる(単に特殊だけでなく例のない特殊)。当方はこの見方に納得がいく。

藤井氏が同様に特殊と見抜いていなかったら、学者としての認識力を疑う。分かっていて、このような言い方をしていたら「特殊隠し」とでも言うべき行為だろう。一般のかたも「特殊」と言われたら注意するが、「普通」だと聞けば安心してしまう。藤井氏は、豊洲の特殊構造と普通の地下ピットを混同させておいて、特殊を普通にすり替えていると思う。定義をきちんとしていくことが肝要な学者にあるまじき行為。

■②<地下の配管のメンテナンスのために使うのが一般的です>
→確かにこれが一般の地下ピットであり、重機を入れて掘り返すための空間ではない。

■③<都の説明では重機を入れて、もし万が一何かが有ったときに工事ができるように高くしている>
→重機を入れるようなピットは特殊だろう。
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[考察]
このように、藤井氏は混同・すり替えを行っておられるが、その御蔭で次のことが改めて明確になった。
  モニタリング空間 ≠ 地下ピット

東京都のモニタリング空間の説明は、追加アップが発覚した資料の項目名で「地下水浄化の確認・汚染物質の除去」となっている。「浄化の確認」はモニタリング(ⅰとする)だから必須として、「汚染物質の除去」については具体的内容は書いていない。ただし、ミニユンボポンチ絵があるから掘り返すことによる除去機能(ⅲ)と、他の何らかの手法で汚染浄化する機能(ⅱ)という2つに分けてみる。都側は、モニタリングを含めて計3つの機能をモニタリング空間に持たせるつもりだったと考えてみると以下のようになる。ただし、期間は基本2年間。
 (ⅰ)地下水質のモニタリング
 (ⅱ)汚染地下水の浄化
 (ⅲ)ミニ重機の作業空間

これらは一般的な地下ピットでは不必要な機能だから、「(一般的な)地下ピット≠モニタリング空間」となる。ただし、藤井氏のようにピットを拡大解釈していく手法はあるだろうが、それをやっていくと「一般的に有る構造としての地下ピット」からは外れていく。つまり、「特殊な機能を持つ地下ピット」となる。

ただ、一般的な配管用スペースと特殊な機能である「モニタリング空間」が合体したのが現在の地下空間と言うことになるだろう。それを藤井氏は<「地下ピット」と呼ばれる極めて一般的な構造」としておられ、また<都側の技術系職員は「モニタリング空間」と呼んでいる>と新聞記事をもとに語っておられる(⑧)。

しかし、現状の地下空間は配管や梁が低い位置にあって、ミニ重機でも稼働高さ不足と思われるような場所が都議団などの地下写真に写っている(以下写真例)。
結果的にモニタリング空間の機能(ⅲ)は満足できていないと思われる
イメージ 1

また、汚染地下水の浄化は別施設で行なわれる。ただし、地下水管理システムが稼働していない状況では今回のように滞留が発生。その報道において、モニタリング期間用の地下水浄化装置のようなものがあるという話は全く無く、機能(ⅱ)も用意されていないのではないか。結果的に現状の地下空間は、モニタリング空間としての機能が(ⅰ)のモニタリングのみになって、当初意図からは大きく違った状態になっているのではないだろうか。

そうなると、仮説として地下空間は以下の変遷を辿った可能性を考えてみている。
「変遷仮説」
↓ (a)「モニタリング空間(機能ⅰ~ⅲ装備)」 
  (b)配管スペースと合体 
   (c)「一般的な地下ピット機能 + モニタリング空間(ただし機能ⅰのみ)」”

公表資料の図から、(a)→(b)→(c)の流れの概念図を作成してみた。考え方として提示。

イメージ 2


経過として、まず最初に(ⅰ)~(ⅲ)の機能を持ったモニタリング空間作成を考えた担当者などがいたと仮定する。また、検討図の例が、2009年1月13日付け図面だとする。その中から「配管スペースとモニタリング空間が分離した図」を基に上図を作成してみた。その後以下のような経過を辿ったと考えてみる。

(a)2009年1月13日段階では配管スペースとモニタリング空間を分離する考え方もあった。仮に、これを基本に考えてみる。
(b) (a)は1mの高床式になっていたが、何らかの理由で高床式を止めて配管スペース(ピット)を下げて地下に持っていき、ピットとモニタリング空間を合体させた。
(c)しかし、基礎梁追加や配管敷設により、ミニ重機が使えない高さの場所が発生してきて、モニタリング空間の機能(ⅲ)は基本的に使えなくなった…現状。

さらに当然(a)の前段となる検討が有り、第8回9回技術会議で都側がモニタリングと作業空間の提案を出す前に、重機の入るモニタリング空間を建物下全体に作りたかった人(或いは人達)がいたことになる。

しかも、技術会議メンバーから却下され、報告書にも盛り込まれなかったにも関わらず、技術会議どころか都庁他部署等にも明確に知らせないまま、皆が当然行われると思っていた盛土を止めて、モニタリング空間を最終的に作ったことになる
相当強い意思を持って推進していたと推測されるが、そこまでした意味は今のところ理解しがたい。また、実際の具体的検討がどう行われたかは現在不明なので、特に(b)段階において高床式でない案からも配管スペース等を求めて地下空間を使ったことは考えられるだろう。

更に(c)になる過程で、モニタリング空間推進者?が変わったりして、(a)(b)時点の意図や経緯を充分知った人がいなくなっていたという事態もあり得るか。それで今調査しても分からないという状態なのだろうか。ただし、専門家会議第1回からでも、まだ10年は経っていない話なので調査はもっと出来ると思われ、報告書の調査は甘い。

また、都側も「一般的な地下ピットとモニタリング空間を一緒くたにして考えて」、混乱しているのかも知れない。もし、それだと分析力不足ということで情けない限り。今後の再々調査などで、モニタリング空間にまつわる経緯がどこまで明らかになるか。

以上
[追記]
藤井氏や山本氏は、都側の説明をすんなり受け入れて、地下空間でミニ重機使用が可能になっているとお考えのようだ。様々出ている現在の地下空間の写真を見られても、ミニユンボなどが使用できると想定されておられるのだろうか。また、現在まで使用の機会はなかったと思われるが、今後は使用されることがあるとお考えなのだろうか。
追加アップ発覚のように全面的に信頼できるとは思い難い都側の説明を、この件では素直に受け入れておられるのが不思議。

追記以上