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今後の進め方に関しての一私見

本日市場問題プロジェクトチーム(PT)第1回会議が開催された。
冒頭小島座長が経過説明の後に、「次回ご検討いただきたいテーマ」として構造計算に係る検討課題3項目を挙げられた。項目表題を列挙。

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いきなり「表題の書き方」で圧倒された、なんじゃこりゃあ(呆)
例えば「700Kg・1トン」は、間違いにしても凄すぎる (途中で朱記のように座長から訂正コメント入ったが) 。
また細かいところだが、「その2」だけは<>が無い。省略するが、まだある。表題だけでこれほどインパクトがある文書は余り見たことがない(笑)。全国から注目される会議の事務局がこれでは先が思いやられる。

気を取り直して、この3項目の内容に関しては構造専門家「高野一樹」氏の指摘が3つ並んでいると思う。これだけの会議で、冒頭項目の全てが市井の専門家の個人的指摘というのは異例だろう。是非高野氏には特別メンバーとして参加いただきたい。(既に何らかの形で参加の段取りではないかと推察するが)

その後各委員の話が続いたが、建築家「佐藤尚巳」氏から盛土に関する話があった。「埋めて掘って」で、100億+75億=175億円という概算を挙げて、全面盛土の無駄を指摘した。これに関しては当ブログの指摘とも合致した。ただ、佐藤氏は再度地下に盛土する際の課題については指摘無かった。当ブログでは、基礎柱が林立する状態での盛土は工法や遮蔽性などの技術的問題も発生すると考えている。

なお、全面盛土の無駄は、門外漢の当方でも分かったぐらいの明解な話だから、建築専門家なら一目で認識できるレベルだろう。何故「JIA(日本建築家協会)」という権威ある組織を通じて迅速に声明などを、お出しにならなったのかと思う。新国立競技場問題でもJIAの態度は中途半端で、「鵺(ぬえ)」のような存在と感じた。今回もまた同じような印象。

その後も順に各委員の話が続いたが、会議終了後の夕方に驚きのニュースが飛び込んできた。
<東京の豊洲新市場の地下水から環境基準をわずかに上回るベンゼンヒ素が検出されたことが、東京都の調査で分かりました。
  東京都が豊洲新市場の201か所で行っている地下水の調査の結果、青果棟がある5街区周辺の2か所で環境基準をわずかに上回るベンゼンが検出されました。また、1か所でも環境基準を上回るヒ素が検出されました。
  いずれも先月末に採取された水から検出されたということですが、都のモニタリング調査で環境基準を上回る結果が出たのは初めてです。都は今後、専門家会議などで検証するとしています。>

本日記事では「豊洲問題の今後の進め方に関する当ブログ私見」を書いてみようと思っていた、しかし、これで流れや進め方も大きく変わって来ざるを得ないだろう。ただし、余りにも突然のニュースのため、本日は当初予定通り書いてみることにする。

まず「橋下x羽鳥の番組」では政治銘柄ぶりを発揮してくれた読売傘下の日テレだが、客観的な仕事もしてくれる。一昨日のZIP!で、対象者は少ないが緊急アンケートを行っていた。
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都内の武蔵小山商店街における一般の方々の傾向は、「よく調べて移転」が過半数。築地の方は色々しがらみもあると思われるが、それでも「よく調べて移転」が半数。様々な報道はあっても、調査人数は少ないにせよ民意のボリュームゾーンは「よく調べて移転」というところに有ることを示唆していると思う。

この層を重視すべきなのに、「移転」か「移転反対」かの二元論に陥りやすい。ただ、「よく調べて」だから、充分な調査や検討が必須。その際に当ブログでは、特に安全性面で以下の3つの課題を考えてみる。

①盛土無しになり、かつ建物外周部など多くの箇所で気密性無し
 →気密性が充分でない場合、揮発性汚染物質に対するコンクリートの遮蔽効果をどう考えるのか?
②砕石層より上に達した滞留水による盛土汚染の可能性
 →建物地下は盛土なしだが、それ以外の盛土への影響はどうか?
③建築構造面で耐震性等の課題指摘有り
 →冒頭3項目以外にも、まだまだ有りそうな気配だった

その中で、まさに②は上記ニュースに関連する。実際の問題有無は別として、環境基準オーバーの地下水が砕石層を越えて盛土に達して問題はないのか?という指摘が出て来る。今後論議が進むと思われるので進展を見るとして、本日は①を考えてみる。

PTでは前述の佐藤氏が盛土に対する「地下空間の妥当性」を説いた形になった。「都庁の技官は英知で適切な選択をした」という見解。しかし、当ブログでは「盛土は当初から都側提示の対策」ということを資料で示してきて、平田座長も同趣旨を述べていた。佐藤氏は、この事情をご存知なのだろうか。

地下空間選択だけ取れば妥当性があっても、「盛土を当初から提案して進めた」のも、「会議メンバーに明確に伝えず仕様変更して盛土無しにした」のも、「問題になることが途中で分かっていた人も必ずいるのにアクションなし」も全部都側で、その中でも技術系の方々だろう。まさにマッチポンプ(この点の補足がコメント欄にあり)。

しかも、都側の技術系責任者や担当者が出てきて克明に説明し、それが納得いくものなのに理不尽なバッシングがあるというような状況なら別だが、技術的公式説明がないまま「重機」や「マシンハッチ」などのリーク?にマスコミが飛びつき、国民向けに流されている。佐藤氏はまず技術系の矜持から話を始めるべきではなかったか。

さて、①が具体的に何を意味するかというと、移転推進の方々は「コンクリートか盛土のいずれかでOKだから、コンクリートのみでもOK」と主張をされる場合が多いと思う。
しかし、外周部や地下への出入り口など多くの場所で気密性が保たれていないことが明らかになって来ている。この状態でコンクリートの遮蔽は予定通り機能すると言えるのか?という疑問が出る。

「コンクリートのみでOK」と主張される方は、気密性問題への納得性がある見解が必要。この点でも佐藤氏は、盛土のコスト的無駄は当たり前なのだから、説明の優先順位は安全性であり、コンクリートの遮蔽効果の方にまず注意を向けるべきと思う。建築家だからと専門の中だけに閉じこもるのでは、今回問題を防げなかった縦割りの都庁技術系と変わらなくなってくる。

しかも、これは小島PT全体の課題になると思う。気密性が部分的に欠落している場合のコンクリートの遮蔽効果は、平田座長チームと綿密に打合せながら考えることが必須。平田チームも現在のまま無対策でOKと言う可能性は低いのではないか。何らかの対策が必要になると思われるが、建築側で対応可能な処置になるか。

しかし、小島座長は、検討を各チームごとに進める方針を示しておられた。各チームが連携取れるようになるには相当の時間がかかりそうな気もする。このように、①だけでも、非常に複雑な検討や検証が必要になるが、更に②が現実の問題として急遽加わった。③は今回の会議でも主要議題として示された。

このような状態で何をなすべきか。当ブログが考えるのは、「移転延期期間がどれ位になるか?」の見通しを立てることと思う。移転賛成と反対のみで議論していけば、延期期間の問題になかなか入れない。以前にも書いた「定性」と「定量」の考え方の問題。賛成・反対だけだと「定性」の論議で時間ばかり経つから、「延期期間の見通し」という形での「定量」の論議も必須。

これが本来の本日記事要旨だった。そこに、前述のように②で延長期間が長くなることは必至。「延期期間」が長くなり過ぎれば、移転中止と同義にもなってくる。逆に短ければ、移転の方向も打ち出せる。つまり「定量」の論議が「定性」をも規定することになる、というのが本日もう一つの趣旨。

端的に言っていけば、「延期期間」がどれぐらいまでなら移転可能と見るか?と云う命題になる。当方は以前にも書いたように「3ヶ月」(来年2月移転)が望ましくて、一部で話が出ていた来年5月でも先が見えにくくなる業者さんの立場や都側の補償問題等も深刻化し、相当紛糾するだろうと考えてきた。

移転推進派の方々は「延期期間はどれぐらいまで移転OKとするのか?」を考えていく必要があると思う。例えば1年なら何とか対応できても、それを越えて2年位かかるとなったら、それでも移転進めますか?
市場関係者や世論の動向も踏まえて、都側がどのように意見集約を図るか。小池氏がどういう手綱さばきをするか。

私案としては、問題点の洗い出しを行い、対応案が幾つか出てきた段階で各案の延期期間見通しを立て、以下のような形で見解を収集するのも意見集約に役立つかも知れない。(費用は今後算出されるであろう概算数字を入れていく、下表の○△Xは個人的仮付け)
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更にもう一つ私見があるので[追記]で記す。

以上
[追記]
率直に言うと、②の事態は小池さんにとっては僥倖かも知れない。中止した功績の評価が高くなるだけでなく、延期期間が長くなる方が「移転中止」も含めた論議がやりやすくなり、小池氏にとっての選択肢は広がることになる。環境基準オーバーも現段階では、まだ小池氏の直接責任ではなく過去の関係者に責任がある話。

その意味で小池氏は小泉元総理を彷彿とさせる強運を持っているのかも知れない。夕方の速報ニュースに接して、そのようなことも思った。

追記以上