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コメント返信と「東京都の汚染対策資料」

「ロバ」さんから重要なコメントを頂いていて返信実施。その中で盛土問題経緯の重要なポイントである「東京都の汚染対策資料」などを改めて検討。

(1)<図解のとおりですね。>
→専門家からもこのようなご認識を頂けて、妥当性を再確認できました。当方なりに盛土問題について検証してきた集大成の図と捉えています。

(2)<ただ地中梁が抜けていますね。床下に縦横に走り、フーチングはその下でもっとずんぐりしています。>
→昨日記事にも書きましたが、梁やフーチングなど基礎構造の詳細等については専門家の方々の論議や都PTの検討などを待ちたいと考えて当方の図では省略しました。

(3)<さて、ではそもそも専門家会議の認識となぜ違ったのかがポイントになります。
これをとく鍵は、そもそもの都環境確保条例の土壌汚染対策の基準にあります。汚染土壌をカバーは、50cm以上の盛土と、10cm以上のコンクリートあるいは5cm以上のアスファルトによる方法が併記されています。
どちらでも可という意味でしょう。1回目専門家会議に出された資料にもその記載があります。チェックしてみて下さい。>
→この点は専門家会議委員も当然認識していたと思います。その上で更なるポイントが、再招集された専門家会議「平田建正」座長の先日記者会見発言にあると考えています。

----平田座長発言(2016年9月17日) 抜粋開始(敬称略)----
<豊洲市場問題>「専門家会議」座長の記者会見 2016-9-17 ” 51分頃~(同じ問題認識を持った方がおられたようでコメント欄に文字起こしがあったので、改訂・追加して転載)
フジ:4.5mの根拠となる数字はどこから出て来たのか?
平田:「4.5mの盛り土」とは元々東京都が提示されたことです。
    それに対して専門家会議として安全のためどのような上乗せをやるかだったと思う
フジ:専門家会議としては4.5という数字に関しては、何か検証とか…
平田:4.5mの盛り土をすれば地下からのガスについても十分濃度が低いと計算したが、
    何かを計算して、何かを前提にして4.5mにしたわけではありません。
    (4.5mの盛り土は)もともとの都の諮問の内容です。
フジ:一部報道によると、ベンゼンの濃度が1万倍ということを算定根拠にしたというのも出ているんですが、…
平田:(そんな根拠は)ありませんね。1万倍って何か出てるんですか?
フジ:一部報道で…
平田:それはちょっと報告書の読み違いじゃないかなと思うんですが。そういうことはございません。
----抜粋終了----

文字起こしされた方のコメント:いい質問だ。いつの間にか「4.5mの盛り土」が絶対条件のような報道になっているが、「4.5」という数字に根拠がないことはもっと知られていいと思う。

(4)都の担当者は当初より、建物1階床の35~40cmの床で遮蔽し、盛土は無し計画していたのでしょう。
→この点に大きな誤解があるように思います。前項(3)で平田氏が言われているように、都側が既に考えていた対策内容に「4.5m盛土(2m埋戻+2,5m盛土)」が有りました。
それは「ロバ」さんも言及しておられる「第1回専門家会議」に都側から資料が出されていて、以下のように明記。。
イメージ 5


なお、同資料に以下記述もあります。(表6-2)
イメージ 1

このような内容は都側も委員側も充分承知で、盛土とコンクリートの対策は、(3)項で「ロバ」さんも書いておられる通り、本来は<どちらでも可>と認識していたのは確実でしょう。その上で「念には念を入れた対策」として、都側の「両方実施」という構想を委員側も受け入れたと思われます。

また、上記文字起こし者のコメントに対する返信もあります。
<4,5メートルは、安全基準ではないのです。道路がたまたま4,5メートル有ります。それより高くては、使えません、又積めば積むほどお金もかかります。歩み寄りで、4,5あれば安全であろうだけですね。50年、100年、先は溜まりに溜まり使えないかも知れない土地です。>
→50年、100年先の件は別として、盛土の高さを決める要因として道路など他の地盤面との関係もあることは事実でしょう。しかし、それも踏まえた上で上表6-1「土壌汚染対策の内容」が出ていたことになります。

(5)<認識していなかったのは専門家と、他部門の職員、幹部等だったということでしょうか。>
→前述のように<どちらでも可>は各関係者も認識し、その上で都側提起の「盛土+コンクリート」が基本になったと推察されます。

(6)<食い違いの原因は、説明図などが、建物下に盛土があるかのような絵になっていたりと、説明資料に整合性が取れていなかったことにあるように思います。>
→表6-1下部に「建物建設地」と明示した上で、「盛土2.5m(+埋戻2m = 4.5m)」と「厚さ25cm~40cmのコンクリート」となっています。当然併用でしょう。これが最後までつながって、専門家会議最終報告でも同趣旨の内容になっています。つまり、専門家会議結論と当初都側構想は確実に整合性が取れています。


(7)<結果、大事になったという、漫画みたいな話ですね>
→例えば平田座長も今回の事態を聞いて驚いていました。壮大な笑い話です。
そもそも専門家会議のメンバーには建築専門家無しでした(技術会議も)。しかも都側は建物の構想も「地下無し」で進めてきて、委員もその認識になっていました。例えば第1回専門家会議で内山委員は「この建物は地下を持っていないということで・・・」と発言。

結果的に、「盛土4.5m案」も、「地下無し」も、「混同される絵」(上記東京都対策資料に既に有り)を書いたのも、「盛土無し」への変更を周知しなかったのも、全て都側がやって来たことになります。担当者には色々事情もあったでしょうが、結果としてみると都側の対応が酷すぎました。小池知事のメスはどこまで入るか。

以上
[追記]
専門家会議のメンバーは以下の通り。
イメージ 2

建築関係者を会議メンバーに入れなかった都側対応は余りにも手抜かりです。ただ、問題発覚後は建築が絡む問題について建築専門家の方々の的確な論議や解説等を大いに期待。

特にここまで問題が大きくなると、一般の方々にも分かりやすい説明が求められます。例えば純粋な一般人ではないですが、建築知識が無いという点では共通と思われる東国原氏がTVで次のような疑問を提起。
<仮に盛土が全部されたとして、その上に建物を建てるときに、盛土に接地して建物を建てて良いのか、それとも盛土されたとしても、その上には空間を作って建築物というのは建てるものなのですか?>

この提起に関連するような内容が、丁度「ロバ」さんのコメントにあります。
<盛土の上に建てろというのは不可能なのです。>

この件は簡潔なようで、実は深い内容を含んでいると思います。昨日図を再掲して説明してみます。

イメージ 3


仮に豊洲の工事で全面盛土を採用していれば、上図①のようになっていました。つまり、「盛土された敷地」が用意されて、その上に施設を建設することになります。これで進めても⑤で建っていたでしょう。④⑤で「再盛土無し」にする場合(豊洲実際)も含めて、これを「盛土の上にも建てられる」と言えるかどうか。

「何を言ってるんだ」とお思いかも知れません。しかし、「一旦建物下の土を除去して基礎を作って建物を建てる」という手順を説明されないと、一般の人は分からない可能性があるでしょう。

結果的に、専門家会議(及び東京都構想)の全面盛土を前提とした場合の工事手順は、大きく2つの問題が有るように思います。

 A. 「(1)埋めて(2)掘って(3)又埋めて」は無駄な作業とみなされるのではないか
 B. 基礎工事を行ってからの再盛土は、基礎柱列林立で作業が複雑化し、遮蔽効果の低下も懸念される

このような重要問題があると聞かされたら、一般の人も「何でそのような無駄で効果懸念もあることをするのか?」と多くは気付くでしょう。実際に行われた「建物下は盛土無し」の手順(昨日図再掲)の方が妥当と分かる人が出てきます。

イメージ 4

また当然ながら、A,Bの問題とも工期・工費が相当増大する方向であり、盛土自体は効果があるとしても「建物下の盛土は無理筋」というのが妥当でしょう。

・「無理筋」だからこそ、都側の技官らは過去の何処かの時点で真っ当な「建物下は盛土無し」仕様に変えざるを得なかった。
・その結果として出現する空間は色々用途があり得るから、「多目的空間」のようになった。
・「盛土無し」が明るみに出た後は、仕様変更を言い出せなかった引け目があり、言い訳を兼ねて用途が小出しにされる。

当ブログでは、このような経緯が実態ではないかと現段階では想定しており、今後月末に出てくるという報告書との対比を実施予定。

なお、問題点A,Bが分かっていたのは「都側技官」らだけでなく、「設計会社」も可能性充分あり。結局N建設計が守秘義務の影に隠れて全く説明しないのは、新国立競技場の場合と同様になっています。大手設計会社の役割と責任について、会見でN建設計の名前も出した小島氏率いるPTが、どこまで突っ込んだ究明を行ってくれるか。

追記以上(本日もう一本記事を書きます)