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築地市場移転問題と小池知事、及び「築地魚河岸」

築地移転問題が連日TVでも取り上げられて大きな関心事になっている。
当ブログでは7月31日記事で、豊洲新市場を外から実際に見て「Too big to fail」の印象を受けたことを書いた。その上で、移転予定の11月7日が近づいて来ているのに新市場に関する問題点指摘が続出し、仲卸等にも反対が根強い情勢から一旦「延期」が選択されるのではないかという予測も記した。

更に小池氏新知事は選挙で改革を打ち出していたから、その最初の大きな決断が「予定通り移転」になれば、いきなり失望と批判を招くことになる状況も述べた。もし、それでも予定通り移転を選択したら、個人的には度胸の良さを改めて評価することになるが、その可能性はまず無いと思う。

このような状況で知事の考えを改めて予測すると、何度も発言していて先週金曜日の定例会見でも述べた「地下水のモニタリング調査」がキーポイントと見る。
東京都の小池百合子知事は26日の定例記者会見で、11月7日に都中央卸売市場「築地市場」(中央区)から移転して開場する予定の「豊洲市場」(江東区)について、都が同市場で進めている地下水のモニタリング調査が終了していないことに言及し「結果が出る前に開場することには大きな疑問を持っている」と述べた。
 モニタリング調査に法的義務はないが、都は11月29日以降に終える日程で独自に実施している。>

これからして、「少なくともモニタリング結果が出るまでは開場すべきでない」と云う理由で「延期」を選択すると予測。小池氏は環境大臣の経験が売りでもあるから、環境問題を理由にするのは自然な流れでもある。
知事は「総合的に判断する」ということも言い続けているが、長い経緯があり関係者も多く技術的疑問点等まで色々出て来ている問題を、新任の小池氏が短期間で総合判断するのは無理筋。ただ、決断表明に際しては「総合判断」という建前は降ろさないにしても、実態としては上記のように「モニタリング調査未終了」を重視することになると思う。

延期の場合は期間が課題になるが、モニタリング調査が終わっても、データ整理等を行って結果が出るのは年明けと云う話も有る(8月28日新報道2001)。それからすると、当ブログ7月31日記事にも書いたように、前から言われている「2月」という時期が考えられそう。ただし、関係者の複雑な事情もあると思われ、知事が色々話を聞いて来た結果として、どのような時期を選択するか。

なお、「延期」しても「最終的対応はどうするか」と云う話が当然出て来る。これについては、延期した上でしっかり話し合える正式な場を作ることが重要。従来の関係者だけでなく、識者にも入ってもらい徹底的に論議する。その際には知事主導で情報公開を徹底する。このようにして出来るだけ納得性が得られる方向性を見出し、どうしても調整困難な事項については知事決断。

ただし、当初予定の移転期日も間近に迫って来て準備を進めている人たちも多いのだから、もし予定変更して延期するためには迅速な対応が求められる。その点で知事の決断には遅れも感じるが、少なくとも9月上旬には話し合いの枠組みを作り上げるぐらいのスケジュール感が必要と思う。

延期しての再論議に当たっては様々な観点から検討すべきだが、当ブログでは本日「築地魚河岸」を取り上げておきたいと思う。現在の築地場外に隣接して出来る新施設で、豊洲移転に先行して10月開業が予定されている。しかし、東京都直轄ではなく中央区主導のためもあってか、豊洲市場問題の報道において取り上げ方が少ないように感じる。
<場内市場が豊洲に移転するニュースにより、「築地全体が移転してしまう」と捉えている方も多い状況です。しかし、実際には築地場外の400店舗はもちろんのこと、2016年10月にオープンする市場施設「築地魚河岸」に入居する、場内市場の仲卸約60店舗も引き続き築地で商いを続けます。 >

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この新施設がどれぐらい認識されているのだろうか。例えば、TVを見ていたら銀座の寿司店の店主が「今まで徒歩で築地に買い出しに行けていたが、豊洲になると遠くなって廃業も考えなければいけないかも知れない」というような趣旨を話している場面も有った。しかし、この寿司店のニーズにピタリ応えられるかどうかは別としても、上記のように新市場施設「築地魚河岸」が開業する。豊洲まで行かなくても、ここで仕入れをする店も出て来る。

実際以下のように東京MX TVの取材で、「豊洲にも移転するが『築地魚河岸』にも出店する」仲卸の社長コメントが紹介されている(動画有り)。
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場外は移転しないのだから、新しい「築地魚河岸」と併せて観光客等の一般には今まで通り「築地」の人気が続く可能性が有るようにも思える。コアな観光客は別途豊洲にもセリ見学に行くだろう。そして豊洲の方にもスパや商業施設が出来るので、観光拠点としても二元化した上で、分散の懸念も有るが両方での回遊による相乗効果が期待される。

この考え方をもっと進めると、築地移転に当たって大手の卸は設備が完備した豊洲に入り、築地での商売継続を望む仲卸を収容する施設は築地に残すという2分割方針で当初から進める手が有ったようにも思う。また、今からでも再論議の中で豊洲ではどうしても解決困難な問題が築地で解決できるなら、豊洲に追加でお金をかけるより「築地魚河岸」のような施設を築地に増設する方が相対的に安上がりの場合も有るかも知れない。

築地市場跡地は東京五輪でメディアセンターが予定されているとのことで、解体してもすぐにマンション等が建ってしまうようなこともないと思われるので、魚河岸増設などもやろうと思えば可能なのではないか。もちろん詳細な内部事情については知り得る立場に無いので、実際に可能かどうかは別としても、まずは「豊洲移転問題を論議するにあたって『築地魚河岸』の件も考慮に入れる」という当然のことを提起をしておきたいと思う。

以上