「日産隠しと焼け太り」の流れか
先日触れたように「検証」ということで、三菱自動車の件には関心あり。
昨日の記者会見は何か奥歯にものが挟まった感じで煮え切らなかった。不正にかかわった担当者や現場責任者などをかばってのことかとも思ったが、それだけでは無かったと思えることが今朝のニュースで出ていた。
”三菱自 日産の事実上傘下に”2016年5月12日(木) 1時39分掲載 毎日新聞
この話を併せると昨日記者会見の裏側が透けて見えるように感じた。
問題になった軽自動車の開発責任者は以下記事にあるNMKV「開発グループプロジェクトマネジメントチーム次席最高技術責任者(2014年当時)」のU氏。
”火花散る軽自動車・燃費ウォーズ【2】”2014年4月14日プレジデント
U氏は三菱出身で、開発の実務も殆ど三菱の工場と開発者で行われたようだが、U氏の所属はNMKVだった。つまり、日産に少なくとも半分は責任がある。昨日記者会見では実験を担当した三菱自動車の100%子会社(三菱自動車エンジニアリング)の略称(MAE)が頻繁に登場していたが、NMKVは殆ど出なかったと思う。本来はNMKV社長(前述のように日産出身)は同席すべき立場だった。その意味では、意識していなかったかも知れないがMAEが実験担当していた経緯を述べることでマスコミの注目が三菱側に集まって結果的に日産を隠せたことになる。
燃費問題は日産が三菱に共同調査を依頼したところから始まったということになっており、「日産は正直な善玉で被害者」のようにも一見思えてしまう。しかし、上掲「ガイアの夜明け」の記事中には、U氏が日産のテクニカルセンターへ燃費技術の協力要請に行っている場面もちゃんとある。
総合すると、今回の問題の収拾ストーリーとしては、「NMKVと日産の話は極力出さず、日産に傷がつかないようにして最終的に三菱自動車全体を引き取ってもらうことで、三菱・日産共にメリット」という流れではないか。率直に言って「なかなかやるなあ」という感じ(苦笑) ただし、今回の収拾に限っての話で、傘下に入れた日産側も含めて今後は未知数。それでも日産は以前のクレーム隠しの頃にも引き取り先として候補に上がったこともあり、日産及び三菱自動車とバックにいる三菱グループらの踏ん切りが付いたという形にも考え得る(その更に裏には国交省も了解か)。
なお、やはり三菱自動車の体質には大きな問題があって、以下のような記事も出て来ている。ただし、昨日記者会見でマスコミが追及していた「RVR」など軽以外の車種と軽では状況が違うようにも思える。マスコミが内心期待する「殆ど全車種アウト」にはならないかも知れない。その辺を今後明らかにして問題を落ち着かせた上で、結果的には上記ストーリになって行くのではないか。5月18日に改めて調査報告するようなので、その結果でまた検証。
”三菱燃費偽装「本社から子会社に不正指示」”日本テレビ系(NNN) 5月12日(木)
三菱自動車は会見で、「不正の指示は確認中」としていたが、三菱がまとめた報告書では、データの測定を担当していた子会社の管理職が、三菱自動車本社性能実験部の管理職に、燃費目標達成に必要なデータが取れなかったことを相談した際、都合の良いデータを抽出するよう不正を指示されたとしている。
11日に報告を受けた国土交通省は、事実かどうか調べることにしている。>
以上