kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

「上林功」氏見解に関して(11)「JSC契約基準」

JSCにも”設計業務委託契約基準”がありました。条文Aのみです。
----JSC 設計業務委託契約基準 抜粋開始----
著作権の帰属)
第7 成果物(第36第1項に規定する指定部分に係る成果物及び第36第2項に規定する引渡部分に係る成果物を含む。以下第9まで同じ。)又は本件建造物(成果物を利用して完成した建造物をいう。以下同じ。)が著作権法(昭和45年法律第48号)第2条第1項第1号に規定する著作物(以下「著作物」という。)に該当する場合は、当該成果物又は本件建造物に係る著作権著作権法第21条から第28条までに規定する権利をいう。以下同じ。)は、受注者又は発注者及び受注者の共有に帰属する。
・・・
(著作物等の利用の承諾)
第8 受注者は、成果物が著作物に該当するとしないとにかかわらず、次の各号に掲げる成果物の利用を発注者に承諾する。この場合において、受注者は、次の各号に掲げる成果物の利用を発注者以外の第三者に承諾してはならない。
① 成果物を利用して建造物を完成すること。
② 前号の目的又は本件建造物の増築、改築、修繕、模様替え、維持、管理、運営若しくは広報等のために必要な範囲で成果物を複製又は変形、改変、修正その他翻案すること。
③ 前2号の目的又は発注者の事業の必要に応じて成果物の複製物等を頒布すること。
----抜粋終了----

参考として他も調査してみたところ、Aのみ、Bのみ、AB併記と3種類でした(後記)。
しかも、上記のように肝心のJSCがAのみと云うこともあり、貴殿産経新聞記事の以下記述は訂正して頂くことが必要かもしれません。
<JSCが求めているとされる著作権の譲渡については、国内の建築設計契約では「権利の譲渡」はほぼ必ず含まれている内容です。
ただし、貴殿が見られた公共工事契約書は殆どがBとのことです。それはそれで非常に重要な情報ですが、JSCのみならず、ざっと調べただけでも以下のように「Aのみ」のところも多くなっています。発注者によって異なるので、Bのみ以外の団体等も広く調査して頂くなどでないと、上記の記事記述の事実証明は出来ていないということになるかも知れません。ZHAとの契約内容の最終的な確認はJSC契約書になると思いますが、それとは別に<国内の建築設計契約では「権利の譲渡」はほぼ必ず含まれている内容です>は実態と違っている可能性が有りそうです。

----他の契約書規程(参考)----
(1)Aのみ(JSCもこれ)
(2)Bのみ
(3)AB併記
 ・国交省官庁営繕部…(紹介済み)

以上
[追記]
以下のコメントを頂いています。
<旧住宅公団がおこなったnLDKの組み合わせ研究の過程(c53型公団住宅など)などはブログ主様のおっしゃるような例かと思いますが、・・・>

「オリジナルとそれに似たもの」については、例えば「宮崎駿」氏が以下のようなことを言っておられます。
<東京タワーも大嫌いで、エッフェル塔の貧乏なマネをしやがって、と屈辱感しかなかった。>

イメージ 1

このような考え方をされる方もいます。見方は人それぞれです。当方は宮崎氏とは違って東京タワーの造形も好きですが、東京タワー見て「エッフェル塔を最初に建てたのは偉業(日本の明治前期)」と思うこともあります。貴殿が挙げられた公団住宅などの例というより、こちらの関係がオリジナルリスペクトの当方意図です。そして美意識や価値観などは最終的には、やはり「人それぞれ」。
それと、「全く同じ」は困ると思いますが、前のコメントでも書いたようにZHAが著作権を持っていても、クリエイターとして新国立競技場と全く同じようなものを建てることは考えられなかったでしょう。そういう事情なども含めた総合的判断になると思います。

なお、<国は損をすることになります>と云う点についても色々考え方が有ると思いますが、本文で「Aのみ」があることからしても著作者優先の流れが有るように思います。良し悪しは別にして、国際的な傾向に合わせていく方向性と云うものもあるのでしょう。

追記以上