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「上林功」氏見解に関して(7)

コメントありがとうございます。やはり見解の相違が大きいことが分かってきます。それで、本日はまず当方前提1と2に関する件に回答させて頂いた上で、前提3と4に回答するために情報の確認をさせて頂きます。

・前提1について
<国が損をすることをわざわざ行なうようには思えません>
→国が損することはないと考えます。昨日も書きましたが、今回JSCは旧国立競技場の跡地に新国立競技場を建てることがミッションです。昨日言及した確認書条文が有効ならば、ザハ案を新国立競技場の基本設計・実施設計やその他必要な目的に無償で期限の定めなく使用できる規定が入っています。
逆にこれで何が問題なのかが不明です。新国立競技場以外に使用する予定は無い状況で、同競技場建設関連で使用する際の許諾以外に権利取得も必須と云う意味が当方には理解出来ていません。国が損になる具体的想定例などは有りますでしょうか?

関連して前提2の方のご質問に回答させていただきます。
<旧国立競技場建て替えに絞って許諾を確認しているため、JSCとしては著作権の譲渡は必要ないとの前提を御説明されていると解釈しました。必要ないとして通常の手続きにおいて手に入る知的財産権を手放す理由にはならないように思います。>
→これは逆に「ZHAが手放すか?」をお考え頂くとどうなるでしょうか? JSCは当初からZHAに押されっぱなしの経過になっています。例えばデザイン監修者にとどめる積りが、突破されました。その流れでZHAが「手放さない」と言えば、JSCが抵抗できたでしょうか(抵抗すべきかどうかより、現実にできたかどうか)。当方は出来なかったと想定しています。

>紹介いただきました記事
→いくつか紹介させていただいていますが、どの記事でしょうか?

・前提2について
<基本・実施設計契約を結んでいるのは日建設計JVであり実務的な修正作業も行っていることを考えると権利的には「日建設計JV案」となります。特記事項における拘束を設けることができることはブログ主様の例の通りですが、新たな著作物を作成している以上、元の著作権を持つ者が追加で新たな著作物に著作権を主張することはできません。>
→昨日挙げた以下の例が回答になると考えています。以下の中の「会社側は設計図面を作成」で、設計図を作成したのが「日建設計JV」になると想定します。
<当方が或る会社から頼まれて、その会社の工場内で使う簡単な機器の概略設計を行って概要図にして渡したとします。会社側は設計図面を作成し現物を製作して特定の工場で使う。その際、当方が指定された工場での使用条件に合わせ込んで設計した場合、もし同じ会社の他の工場で使用されたとしても問題が出るかも知れないと考えたとします。そして、指定工場一つだけの「限定使用」という条件を付け、複製も禁止して契約書を取り交わしたとします。この場合、当方の概略設計に著作権等で保護される部分が有るか否かに関わらず、相対(あいたい)契約として「使用場所限定・複製禁止」は有効になると思われます。>
→ 流れにすると以下になります。
 (1)或る会社X(JSC相当)が同社工場内で使用する機器を当方(ZHA相当)に発注
 (2)当方がコンセプト・概略設計(ザハ案相当)を作成し、Xに納入
 (3)Xは設計会社(日建設計JV相当)に詳細設計と設計図作成を発注し、Xに納入される
 (4)Xは製造会社(ゼネコン)に機器製造を発注し、Xに納入される
 (5)Xは特定の自社工場(外苑相当)で、その機器を使用する

当方は発注会社Xとの契約に当たって、Xの特定工場だけでの使用を要請し、その旨を契約条項に入れさせたら使用する場所は限定されるでしょう。設計会社の権利云々とは別に、当方と発注会社との契約は効力を持つのではないではないでしょうか?また、その工場内でも特定のプロジェクト(新国立競技場相当)だけに使用を限定する条項を契約に入れておくこともできるでしょう。
同様の考え方によって、ザハ案の場合は確認書条項の規定により、「外苑での旧計画に使用が限定されている」と理解できるように思います。同条項の条文(抜粋)は次のようになっています。
<乙は甲に対して、以下の目的のために、最優秀作品を複製し使用する権利を期間の制限なく無償で許諾する>
著作権を譲渡する」ではなく、「最優秀作品を複製し使用する権利を期間の制限なく無償で許諾する」となっています。「最優秀作品の複製」とは著作権で保護された部分以外も含む全体的なものを指すという解釈が出来るのではないでしょうか?少なくとも文言通りに読めばそうなると思います。よって著作権云々の前に、相対契約で「最優秀作品」の複製使用範囲が決められて、それは旧計画の新国立競技場になるというのが当方の解釈です。

・前提3について
コメントで幾つか項目が有りますが、その中に「免震と制震」の件が有ります。これは新国立競技場の混迷の根源につながる話と考えています。そのために過去の経緯から始める必要が出てきます。
それで冒頭で述べたように、幾つか確認させていただきたく、よろしくお願いします。
まず、旧計画の「免震」は、キールアーチ支持構造の問題が絡んできます。ここで旧計画において「地下鉄干渉」可能性等を指摘した森山氏ブログが有ります。新国立競技場の構造問題の原点とも言えそうな良く知られたブログで、先日4月16日当ブログ記事でもご紹介差し上げたものです。
この森山氏ブログ記事はご存じだったでしょうか? 見られたとしたら、いつ頃でしょうか?上記のように過去の経緯から出発して説明が必要になるので、その際の必須情報として確認させていただきます。(それ以外に当ブログが新国立競技場問題を取り上げた初期の昨年7月29日記事以降なども今後説明に使わさせて頂くことが考えられますが、当ブログは分量が多いので追々説明させていただきます)

また、これも4月16日記事で紹介しました当ブログ昨年1月15日記事文芸春秋2015年9月号記事全文”があります。世間的に取り上げられることは少ないですが、内幕情報として当方は非常に重視しています。これを見て頂くと、「ザハ案は震度7に耐えられないんじゃないか」(P258)というところから、ザハ案が予算増加以外にはらんでいた「重大欠陥」の話が始まります。これがP260で免震構造採用の話につながります。更に色々あったうえでA案の制震にも繋がっていくという水面下の流れが想定されますので、上記2点の資料は是非お読み頂きたくお願いします。

なお、文藝春秋記事(著者は匿名の模様、多分リーク記事)は、昨年春先の「ゼネコンによる官邸直訴」を受けて「和泉総理補佐官」が動き、同氏の下で国交省官庁営繕部出身者を中心に対応を開始したところまでです(当方は「官邸チーム」と呼んでいます)。新コンペのことは入っていませんが、新コンペにも重大な疑惑が有ります。出来レース”疑惑です。
B案シンポジウムでも、これに関連した話が出ていました。取り上げられたのは大きく二つの項目でした。「流用問題と審査問題」です。後者に関連して貴殿から先日以下のコメントを頂いていますので、それに回答しながら進めていきたいと思います。
<「香山先生の告発」というのが、JIAシンポジウムでの御発言だったとしたら少しニュアンスが異なると思います。現地で聞いた限りですと、香山先生は「私はB案を推していた」との個人的評価に関して述べているに留まっているように思えましたがその後別のインタビューなどに答えてらっしゃるのでしょうか?>
→以下質疑応答での香山氏発言が「告発」に当たると考えています。審査員だった同氏自身の問題指摘ですから「告発」としましたが、もし「告発」という言葉に引っ掛かりが有る場合は「疑問提起」などと読み替え願います。参考として該当箇所を文字起こし実施。
----B案シンポジウム質疑応答 抜粋文字起こし開始----youtube 1時間35分頃~
横河氏:建築家の横河でございます。伊藤案というかB案、こんなにいいのに何で通らなかったんだ?ということがやはり問題で、隈ちゃんの案がもっと良かったのか。ここは審査会ではありませんから、それを比較する場ではないですけど、建築界ではデザインビルドに決まった途端に、これはもう大成で決まっている、大成建設の施工で決まっている、つまりA案に決まると云うことが半ば常識でした。ホントに常識だったのか、これが良く分からないところで、それはやっぱり本当の得点の配分もですね、施工の、特に工期のことで得点の配分が随分アンバランスだったですよね。そういうような得点配分を誰が決めたか、むしろそういうことを問題にしなければいけないんじゃないか。つまり2次審査(注:新コンペ?)になった途端に我々市民はフェアなコンペティションが開かれるんだろうと期待したわけです。本当にフェアだったのか、あの得点配分はどう見てもフェアに思えない。これは誰が決めたのか、或いはそれをフォローしていったのは誰なのか、ということを本来明らかにするべきだと。それでないと、もやもやが全然消えないというふうに思います。(会場拍手有り)
中沢氏:みんなのもやもやは、その辺にあるんですね。これ香山先生にお聞きしてよろしいでしょうか。
香山氏:・・・じゃあ細かい点数にしてその部分だけを審査して、それを積算したものが答えになるという審査方法が果たして正しいかどうか?これは理論的な問題でありますし、大いに言論しなくてはいけない。どの案がいいかという議論がいい加減になるという反動で、細かい積算というか、部分的に分けた断片の評価の足し算が全体の評価に使えるか。これまた常識的に考えるとそんなにならないわけです。卑近な例で言わせていただくと、嫁さんを決める時に持参金の額が何点、ルックスが何点、出身大学が何点と積算して決める馬鹿はいないわけです。持参金を問題にする人も少しいるかも知るでしょう。いるかもしれないけども、それだけじゃ決めない。そういうもんです。そういう細かい積算が一見正しいんだとした。それはああいう状況で、最初の時に僕もそういうことは有るでしょうと言ったわけですが、結果的にそういう誰がどこに何点を付けたか分らないものの足し算で勝ち負けが決まるということのおかしさが又露呈したと思うんです。あれの審査員は専門家だけを集めたんだ、政治家とか役人は入っていないんだ、形は一応そうです。専門家とは何か、専門家というのは必ず自分の意見が有って、自分の意見はどんな場所に出たって堂々と言える人が専門家です。匿名でなければ採点しない、自分の採点が公表されるなら困ります、というのは僕の考えではですね、何人か同じ意見を持った審査員もいましたが、専門家と言えないんじゃないか、ということだったんですね。ただし、それが通らなかった。これは僕たちの力の足りなさでもありますし、不満でもありますが、反省も含めて。
森山氏:審査後に村上委員長が2回審査したよとポロッと発言された。あれも1回目で何らかの集計をして、何か色を加えた2回目をやったのではないか。そういう疑問が湧いている方々もいらっしゃいますが、あれはどういったことだったでしょうか?
香山氏仮の採点というのをやって、1時間後ぐらいに最終的集計をやったこれは記者会見で言ったとおりです。その結果どういうことが起こったかというと、それは誰も分らない。分っている人がいるかも知れませんけどね。よく意見を何べんか繰り返して集約しながら、収斂させるというか、お互いの意見の違い、或いは共通点もハッキリさせてゆくという投票方法は一般的にあるわけですね。そういうような形で一遍それぞれの意見がどういう形になっているのか見ましょうというようなつもりで、やったと思うんです。
ただし、その時の条件はお互いにどういう判断をしたかというのを徹底的に明らかにした上でないと、密室の変な操作につながることもあるわけで、しかし、そうしたと僕は思いたくありませんが、公表していない以上、そういうことが有ったんだと言われても仕方がないと思っています。
中沢氏:そう思った国民は多かったかも知れないですね。
----終了----

まず、貴殿のご指摘となる<香山先生は「私はB案を推していた」との個人的評価に関して述べているに留まっていた>という点は、上記のように「仮採点」なども説明しておられるので、B案推し以外に告発(疑問提起)もあったと思われます。
次に「出来レース」問題です。質問者の横河氏は「建築界ではA案に決まるのが半ば常識だった」と云うことを述べて質問を行っています(質問後会場から拍手が有り賛同者もおられたと思います)。ただし「ホントに常識だったのか、これが良く分からない」とフォローもしておられますが、当初から「大成で決まり」という見方があったことは確かでしょう。当方も昨年昨年9月から同様に考えていました。

また、伊東氏も別のインタビューで”出来レース”という言葉を出しておられます。
<A案、B案とも完成時期は同じ2019年11月末で提案しているので、これほど点数に開きが出る理由がわからない。採点結果があまりに不透明のため、今年1月、27点差の内訳を審査委員個別に開示するようJSCに求めましたが、“公表できない”とのことでした。
  納得できないので再度同じ質問をしたところ、再質疑するのであれば、“政府苦情検討委員会に申し出ろ”といわれ、まるで“政府に楯突くのか?”という高圧的な姿勢のように感じました。・・・
結果はご覧の通りです。言いたくはありませんが、最初からA案採用が決まっていた“出来レース”だったのでは、という疑念を今も抱いています。そもそも、コンペでは競合相手のプランに何か1つでも優れた点を感じるのですが、今回はそれがなかった。すべてにおいて勝っていたと思います。正直、あれほど審査がお粗末だとは思いもよりませんでした」(伊東氏)>
→JSCが公開を拒む姿勢なども書かれています。JSC(とバックの官邸チーム)が主導した出来レースがあると、「大成チームだけがザハ案を流用して工期短縮する」という仕掛けを入れて優位にするというような細工が考えられると当方は推測しています。
それでお聞きしたいのですが、「半ば常識だった」と横河氏がおっしゃる状況で、貴殿は出来レース」疑惑に関してご存じだったでしょうか? ご存じだった場合は、何時ごろお知りになられたでしょうか?
また、B案シンポジウムで横河氏の話を聞くなどされて、”出来レース”疑惑にどのようなご見解をお持ちでしょうか?

以上