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「上林功」氏見解に関して(4)

昨日記事にもコメントを頂いた。ありがとうございます。時間の都合で昨日3番目コメントまで対応、後は一昨日までコメント等です。

(ア)<1についてはお話できることが少ないかもしれません。前回コメントに「個人的」としながら私見を書きましたが、やはり見返してみますと、自分で確認できてないことを推定で書くことに自己嫌悪を覚えます。そういった意味で、政治的な関係者のやり取りについてはお話できることが少ないかと思います。
→「政治的な関係者のやり取り」について話していただくことは、当方も全く不要と考ます。本事案の背景理解のための紹介させていただいた次第です。例えば、香山氏が告発を行ったようになっている「審査採点疑惑」についてはご存知でしょう。このようなことは入札の疑惑でも聞いたことが有りません。しかし、日程が厳しくなって何としても間に合わすためにどうしてもA案を通したい。それならやるかも知れない。そして、そこまでやるぐらいだから禁じ手の「ザハ案」流用もやるかも知れない。異常な状態の考察を行うためには、その状態が生まれて来ている背景理解が必須で、それの参考資料です。
なお、当方基本スタンスについても述べておきます。昨年9月から既に「新コンペは大成建設に取らせるべき」と繰り返し明言してきました。納期が非常にタイトになってしまって、やる気と能力の揃った建設会社でないと無理になった。それが旧国立競技場も建設して思い入れがあり、スタンド工区も担当していた大成しかないという見方で、竹中JVは当て馬と考えていました。
結果は大成のA案になったので本来当方はOKです。しかし、ザハ案の「無許諾流用」は個人的にNGです。外国の設計会社との間で無許諾では、日本の恥を海外に広めるようなものだからNGに転換したという経緯。更に隈氏の「全く違う」発言がトドメです。虚偽発言で押し通して建てるのは強く反対(虚偽は当方見解)。

(イ)<2の続きです。あくまで技術屋の観点として、似すぎているけど「一致していない」こと、そして「一致していない」箇所が最初にお話しした設計過程において不自然ではないことが気になっています。
つまり、「流用したけど辻褄を合わせるためにずらした」といったような不自然なズレじゃなくてそれなりに納得できるズレということです。
→丁度これは当方も書こうと思っていた方向です。ただし、もし貴殿がA案の設計者で、以前の設計会社と一方的契約破棄した事情なども良く知っていたとします。最初から似ないように設計しませんか? 当方なら似てしまわないようにします。それが今回は例えば4F5F平面図重ね合わせ見れば、パッと見て似てるのは専門家でなくても分ります。それでも似ていると判定できなくて、似た形に作ってしまったのだったら、A案の技術者は問題ありと当方には思われます。しかし、世界的大家や大手設計会社が担当して、非常に似てしまっている。違和感をお感じになりませんか? 或いは違和感があっても「そういうこともあるでしょう」というご見解でしょうか?

(ウ)<2については、説明できるかと思います。一度作図してみようと思いますが、最上段のスタンドは縦通路が柱位置の影響を受けないため、条例などの関係で下段スタンドより一致しやすいことが多いように思います。
→結果お待ちします。なお、不明点やご質問等ありましたら回答いたします。

(エ)<3,4については、「ノウハウの流用」についての捉え方について丁寧な説明が必要そうです。建築設計では「建築設計資料集成」などノウハウの共有が一般的に行われています。これらのノウハウは必ずしも公知のものではない場合もあります。
→ひとまず了解です。その後のコメントでご説明頂いたノウハウの捉え方に関しての当方見解は別途述べます。

(オ)<5です。旧コンペの要項にある著作権は「応募作品」の著作権です。つまりコンペ提案書の文章、説明図、図面、パースなどについての著作権について示したものです。これはその後に行われる設計図面その他には訴求されません。
→これも了解です。ただし、JSCは著作権のことを考えてやっている証明にはなります。しかも応募者帰属ですから、設計段階でも「設計者帰属」にしている可能性が有ると思います。技術者は「仮定」を行って考えますので、産経新聞記事を再掲しますが、JSCとZHAの契約に「著作権はZHAに帰属する」という条文が有ったら、以下記述は変わってくるのでしょうか?或いは影響を受けないでしょうか?
建築図面や建築物の著作権については、過去に日本の裁判所でも判例が出ています。要約すると、「機能的なアイデアは、それ自体として保護の対象とはなり得ない」ということになります。
JSCが求めているとされる著作権の譲渡については、国内の建築設計契約では「権利の譲渡」はほぼ必ず含まれている内容です。

また、「著作権はZHAに帰属する」という合意になっていた場合でも、以下の鬼澤理事の心配は「杞憂で問題なし」というように思われるでしょうか?
< 世論で叫ばれている「デザイン変更」には、大きな障壁があると鬼沢佳弘理事は説明する。
 「変更すればこれまでの設計は使えなくなる。知的所有権に抵触するからだ。
仮に変更案が工期内に完成できるとし、現デザイン監修者ザハ・ハディド氏と契約を打ち切った場合、これまでの出来高13億円を支払う。 その上、損害賠償などの法的手段に訴えられる可能性も指摘した。もし、工事差し止めの仮処分が科されれば、完成しない恐れもある。
鬼沢氏はさらなる不安も吐露した。「あの狭い空間に8万の座席を収めること自体、極めて高い能力。一からやると大変。でも一部でも似た設計となると(ザハ氏が)『私の知的所有権ですよ』と言う可能性が高い」
ザハ案を知っている人たちと契約したら、それ自体が係争を招く恐れがある。

(昨日コメント3番目までに対応する内容は以上)
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一昨日までのコメント等に関して幾つか記述します。
(カ)<私が依頼いただきました記事は、2月9日にJIA会館で行われましたシンポジウムでの伊東さん、森山さんのお話を聞いたことがきっかけとなっています。
→「依頼いただいた記事」となっていますが、どういう経緯で書かれた記事なのでしょう?ただし、「ノーコメント」でも結構です。趣旨は、例えば依頼意図が「著作権侵害が無いことを証明する記事を書いてほしい」と、「フリーに解説記事を書いてほしい」では、内容は違ってくる場合が有りますね。

(キ)<類似性を指摘している代表的人物は3人います。(1)旧デザインを作成したザハ氏本人(2)落選したB案を設計し、A案の「観客席の類似性」を指摘した伊東豊雄氏(3)WEB上の比較などを引用して「建築構造の類似性」等を指摘した森山高至氏です。
→これが非常に不思議で、シンポジウムにおいて(2)(3)のご両氏説明を聞いておられ、同時に前述の香山氏による審査採点疑惑も聞かれたと思います。香山氏の話は別としても、産経記事における貴殿の見解は、全体として「隈氏の『全く違う』が正当で、伊東・森山両氏の流用疑惑指摘は間違っています」と明言しているように当方には受け取れます。これは本当にそれで良いのでしょうか?
両氏は、「流用有り」とほぼ断定レベルでしょう。シンポジウムで伊東氏が流用性指摘の図を4枚出して説明し、貴殿もご覧になったと思います。それでも敢然と「流用全否定」の記事をお書きになったということになるのでしょうね。参考にシンポジウムにおける両氏発言の文字起こしを記載します。

----2月9日 B案シンポジウム文字起こし開始----(youtube 1時間38分頃~)
一般の参加者質問:デザイン誌の編集をやっているものなのですが、先ほど伊東さんが言及されたA案問題についてもうちょっとお伺いできればと思うんですが、私も実際に図面を重ね合わせてみたりすると似てる部分が有りまして、隈さんの話によると例えば客席を三段構造にしてしまうと、どうしても似てしまう部分が有って、かなり仕方がないところが有るというようなお話が有ったのですが、ちょっと私素人なので分らないのですが、あれだけでも似てしまうものなのかというのが率直な疑問です。

伊東氏:それに関してはA案のインタビューの記事(注:審査議事録)が公開されて、私はそれをつぶさに読みました。その中で構造のエンジニアの方が答えている部分が有りまして、「この割り方は構造的な合理性に基づいて、このスパンが決められているのですか?」と云う質問に、「これは意匠です、108スパンというのは意匠から来てます」と云うことを構造担当者の人がおっしゃってます。これは、そこから類推すれば前案を踏襲したということに他ならない」と云うことを言っておられるんじゃないかなと僕は思います。

森山氏:僕もチェックしてますけども、あそこまで似るとかのレベルじゃなくて、設計図というのは最近CADを使うんですね。そこには特にこういう円形になると角度だとか、割と細かい数字まで出て来るんですよ。手で書いてた時代はどうしても45度とか30度とか、細かい角度を書くのは難しいんですが、今CADの時代になりますと、自分が考えてる中で微妙な角度も作れますからね。あそこまで放射線が一緒になることはまずないですね。元々同じものを少しずつずらして行った結果あのような平面図になったんじゃないかなと云う風に思います。
----終了----

特に伊東氏の言っておられるのは設計の一般論ではなく本事案特有で、A案の構造デザイナーが「108スパンは(構造的合理性からではなく)意匠から来ている」と明言している事実(追記で詳細記載)。
しかし伊東氏も森山氏も、スタジアムの専門家ではないから聞くのは適切ではないのでしょうか? 

以上
[追記]
伊東氏が述べている審査資料。テキストコピーが出来ないので画像で示します。
イメージ 1

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意匠の方から108本、煩悩のあれではないですけど108ということで来ていまして
しかも「梁せい」(梁の高さ寸法)の方は構造計算で決定。
よく正直に言うと逆に感心。

追記以上