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ZHA契約解除検討報道(2015年6月)の重要性

昨日も取り上げたZHA契約解除に関する2015年6月6日スポーツ報知の以下記事はリークと思われ、信憑性は高いと想定される。記事中には契約解除検討の話だけでなく、「キールアーチ」廃止を示す記述も有る。(以降紹介する記事の(1)~(3)は当方付与番号)
(1)新国立設計ザハ氏と契約解除へ…文科省など検討” 2015年6月6日6時0分  スポーツ報知
<政府関係者によると、現行案の「キールアーチ」と呼ばれる幅約370メートルある2本の鉄骨部分が最大のネックとなり、現状の構造を維持する限り、整備費や工期の見通しが立たないと判断した。>

報知の親会社である読売新聞には契約解除の記事は無いようで、読売が得たリークを報知に書かせたことが推測される。系列紙を使って情報の出し方を考えている点も、リーク記事である裏付けになるだろう。
そして、読売の方では6月5日記事に、槙グループの「巨大アーチ取り止めの提言」が紹介されている。
(2)W杯間に合う?費用膨張「新国立」、計画揺らぐ”2015年06月05日10時01分 読売新聞
<建築界のノーベル賞と呼ばれる「プリツカー賞」を受賞している建築家の槙文彦さん(86)らで作るグループは、巨大アーチがコスト高や工期の長期化を招いているとして、巨大アーチを取りやめるよう提言する。
 グループは、現行のままだと建設費は2700億円を超えると試算。アーチを取りやめれば、最大1500億円程度に圧縮でき、工期も42か月程度に収まるとしている。槙さんは「今が計画を見直す最後のチャンスだ」と訴えている。>

この(1)(2)を併せると、まず読売記事で「槙氏によるキールアーチ廃止提言」を報じ、翌日報知に「キールアーチ廃止のためにZHA契約解除検討」が出ていることになる。系列紙による「連携プレー」が透けて見える気がする。
更に6月9日には「JSCが契約解除報道を打ち消した」という記事が朝日系の日刊スポーツで出ている。
(3)新国立競技場、賛否のアーチ形屋根予定通り建設へ” 2015年6月9日6時14分 日刊スポーツ
<新国立の関係者によるとJSC幹部が8日、ザハ事務所に対し、一部報道があった「契約解除」について事実無根と否定し、「キールアーチ」と呼ばれるアーチ型屋根を建設する現行案で進める方針を伝えた。>

出来レースならぬ「出来報道」のにおいがプンプンする(笑) それだけ「政府関係者」も考えて出したリークではないかと思う。内容的にも「キールアーチ廃止、契約解除方針、工費だけでなく工期が問題、工期に間に合わないことは2月頃判明」など当時の内幕暴露が豊富で、文芸春秋由利氏記事のミニ版と云う印象も受ける。

これと併せて気になったのは、読売の方にある槙氏提言の位置づけ。前述のように「キールアーチ廃止」を打ち出す役割を期待されていたとすると、槙氏やそのグループの中の誰かは「官邸チーム」と直接或いは間接に連携していたことになる。更にキールアーチの問題点はずっと前から分かっていたし、提言の内容も詳細に詰めたものではないから、敢えてこの時期に行われた意味を考えてみると、官邸チームの意を汲んで動いたことも想定できるように思う。
しかし、もし官邸チームと連携があったなら、その後実質権限が殆ど官邸チームに移ってしまっていた文科大臣と組まずに、そのまま官邸チームのアドバイザーにでもなって提言の実現を図れば良かった。想定される3ルート(JSC・文科省、官邸、下村大臣・槙氏)でも、ややこしいのに、更にそれらが交錯したり離合集散したりしていたのだろうか。もはや魑魅魍魎・百鬼夜行の世界(笑) 謎が解けても、そこからまた謎が生まれてくる。

このような流れで(1)の記事の重要性が増してくると、同記事にある金銭面の話も改めて注目される。
<政府は違約金や訴訟の際の損害賠償額などを考慮した上で、契約解除に向け、合意を目指すとしている。>
 この場合の政府=官邸チームと考えられ、このころから既にZHAとの交渉の必要性を重々理解していたことになるが、何故か未だに決着していない。やはり別の記事にある10~100億円や、猪瀬氏が最近言及した500億円の数字まであって、500億円は無理としても相当の高い金額で交渉が難航しているのだろうか。聖火台問題は4月中に方向性を出すようだが、ザハ氏亡き後ZHAとの交渉もその頃までにまとめられるのだろうか。

以上