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現状における「空気の研究」、及び猪瀬直樹氏発言

昨日記事で書いたようにNHK9時のニュースで隈氏のインタビューが放送された。隈氏は流用問題だけでなく審査疑惑等も含めた官製談合が有ると知りつつ加担している可能性大だが、その人が全国放送で「子供の頃に代々木体育館に感動して建築家を志した」と美談的な話をしている光景は非常にシュールだった。

特に当方が気になるのは以前からも述べてきているが、国家プロジェクトの肝心な部分で明白な嘘を堂々とついて、それがまかり通ってしまうのでは「民主主義の危機」になる。人間社会で嘘も方便と云う面があるのは確かだが、国家レベルで嘘が許されたら政府は何でも出来てしまう。しかも民主的に選ばれた政府でそれが出来るなら、民意を得た上で嘘をついてやっていけるので民主主義は隠れ蓑に過ぎなくなり「民主主義の危機」につながると思う。

話が固くなりすぎているが(笑)、現在の状況及びそれを作り出している「空気」に危惧を感じている。ご存知の方も多いと思われる「空気の研究」は、故「山本七平」氏の名著。近年「KY=空気が読めない」という言葉も流行った。当方は、国立競技場問題に関する今の「空気」は一体何なのだろうか、考えてみている。

まず「流用」はもはや明らかだが、ZHAの動きが表面上は止まっている。マスコミや識者などは、やはり外圧頼みで様子見をしつつ実際に訴訟などになったら一斉に書き出すつもりなのだろうか。ただ、それだけでなく何か微妙な空気があるような気がする。

伊東氏が流用証明になる比較図をシンポジウムで出した。採点操作疑惑も審査員の香山氏自身が状況を説明している。JSCが契約解除したにも関わらず、ザハ案成果を最大限活用意向だったことも議事録に残っている。これらの事実を率直に報道するだけで特ダネになって官製談合疑惑まで追求できるのに、マスコミや他メディアは何故かやらない。或いは一部報道しても腰が引けている印象で、これまでのような国民的論議を呼ぶに至っていない。容易すぎるから、逆に自分たちの報道によって新国立競技場建設、ひいては五輪にまで影響を与えるかも知れないという恐れが、意識的或いは無意識に報道をセーブさせているのかも知れない。

マスコミだけでなく、建築専門家や他の識者も似たような状態かもしれない。その中で「猪瀬直樹」氏の発言をご紹介。東裕紀氏の主催する「ゲンロンカフェ」の対談の中で出た発言。
”【生放送】猪瀬直樹×田原総一朗×東浩紀 司会=津田大介”2016年02月15日
<猪瀬氏…東京オリンピックについて色々あるけれども、隈健吾さんのあれがザハのにそっくりだとかね、そういうことがあるんだが、IOCが全部承認してるんで、ちょっとまだ時々失敗はするだろうけども、エンブレムじゃないけども、色んな失敗を繰り返すが、大枠は出来てるので線路の上を走る機関車がボロだけども、線路は出来てるんで到達はするでしょう駅まで。

猪瀬氏と東氏は対談で『正義について考えよう』と云う本を出し、その刊行記念での公開放送だった。上記発言内容をざっくりまとめると、「A案はザハ案にそっくりだけど、もう決まって大枠が出来ているから、このまま作れるでしょう」ということのように思われる。猪瀬氏の考える『正義』は、「もう動き出しているから嘘にも目をつぶって、このままやるしかない」と云うことのようだ(笑) 他の識者やマスコミなども、多かれ少なかれ、このような空気が支配的なのか、とも思えてくる。この空気は今後一体どう流れていくのだろうか。

なお猪瀬氏はいつも「昭和16年夏の敗戦」と云う自著の話を持ち出すが、「真っ赤な嘘と白々しい言い逃れ」が明らかな新国立競技場を作って、五輪で世界に示すのはOKなのだろうか。戦争だけは別格で、他は余り流れに逆らわないというスタンスなのか。国の問題と云うことでは、つながりがあるように思えて当方にはダブルスタンダードに感じる。新国立競技場問題は色々な人の実相(の一端)を見せてくれる。本日は実験的に書いてみて、他の方々も今後準備して検証予定。

以上