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聖火台問題8…聖火台への思い

本日NHK「ニュースウォッチ9」の特集で隈健吾氏のインタビューが放送された。建築家を志したのは小学生の頃に代々木体育館を見て感動したのが切っ掛けとのこと。「建築家が設計図を書いて、こういうものが出来るんだ」と知って、建築家になりたいと思ったそうである。

しかし、今回は本当に設計したんですか?と聞きたくなる。内部構造はザハ案流用だし、外観の五重塔モチーフも実際はザハ案基本構造を使った偽装の可能性が高い。そして詳細設計も2か月強の期間で提案書を完成させるには、「梓設計+大成建設」による事前のお膳立てが相当あっただろう。ただ、それをおくびにも出さないところは立派(笑)
だが、見え見えの流用を全否定するという真っ赤な嘘をつき、誰がやっても同じようになると白々しい言い逃れをしている。審査疑惑にも官製談合にも目をつぶる。これで今後の子供たちに良い影響を与えられると思っておられるのだろうか。

聖火台についても「どこにでも置ける、まだ演出も決まっていない」と言っていた。それにしては政府は慌てて検討チームを作って検討会議を開始した。今回は工期が非常に厳しく、外部か内部かと云う構造的な選択肢もある。隈氏自身はどこにでも置けると思っても、施工する方は決まるのが遅くなると、どんどん厳しくなっていく。仕様によっては工費問題も出てくる。そういう周囲に対する配慮は余りされないのだろうか。

しかも聖火台については、思い入れを持った人たちが沢山いる。それを「どこにでも置ける、演出次第」と軽く扱ってしまっては申し訳ないと思わないのだろうか。特にこれまでも紹介してきたように、前回東京五輪の聖火台は川口鋳物の名人と家族が、文字通り「命懸け」で作ったという演出抜きのドラマもある。今も復興のシンボルとして石巻市に設置されている。募集要項でも再配置検討対象No.1に挙げられており、隈氏も経緯を全く知らないわけではないだろうし、知らなかったら怠慢のそしりを免れない。
川口の人たちは誇りを持って、今回の五輪でも前回聖火台や川口鋳物の使用を熱心に陳情し続けて来ている。もちろん知名度向上の思惑などもあるだろうが、それだけで片付けられないものがある。まず、前回聖火台を使用するかどうかは早めに決める必要があるのではないか。

以上
[追記]
この時期に聖火台問題が浮上した背景にも川口市の陳情が効いている可能性が有る。以前にも紹介したが、追加の事実関係があるので参考に示す。
まず、3月9日記事で2月19日に以下のような陳情があって、これが直接の切っ掛けになったのではないかということを書いた。
<2020年東京五輪パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の聖火台について、川口市の奧ノ木信夫市長と川口商工会議所の児玉洋介会頭らは(2月)19日、遠藤利明五輪相に対し、1964年東京五輪に続き、川口鋳物の使用を求める要望書を提出した。…
川口市は平成25年4月から関係機関への要望活動を開始。五輪担当相に対しては初めてで、新藤義孝衆院議員(埼玉2区)が同行した。大会組織委員会森喜朗会長)と日本スポーツ振興センター大東和美理事長)も訪問し、改めて要望書を手渡した。>

ただし、遠藤大臣・森組織委員長・大東理事長を回っているが、この人たちが動いたというよりは東京都が動いた気がしている。というのは3月4日の舛添知事会見記録があり、知事は記者の質問を受けて聖火台について非常に多くのことを説明している。

会見後半部分が聖火台関連で、長さを見て頂くために抜き出して文末に添付したが、知事は相当詳しく状況を掴んでいたようである。前日3月3日午後の調整会議で聞いただけだと、専門家でもない舛添氏がここまで語るのは難しいと思われ、事前に検討していたのではないかと推測。つまり、聖火台問題浮上の切っ掛けは東京都側ではなかったか。しかし、「目立ちたがりや」の同氏が、政府側に先んじて気付いたら自らの手柄にしても良いのに、会見では自分も気が付かなかったことを殊勝に反省している(笑) 
東京都側で他の可能性とすると、都議会議長の高島氏HPに関連記載がある。川口市は2月19日に都庁にも行って高島議長などに陳情していた(市長が来たから都知事ではなく議長の対応になったことが考えられる)。更に同議長と都議会自民党有志は、同日に日本オリンピック委員会JOC)とも会合している。
<2月19日(金) 午前中の仕事が終わり都庁へ。
都議会自民党議員有志と日本オリンピック委員会との意見交換です。
本来、竹田会長が出席予定でしたが急遽欠席になりましたが限られた時間とはいえ実のある交歓会でした。今後も時間を割いて進めていきます。
都庁では奥ノ木信夫川口市長、児玉川口市商工会議所会頭、安行の花卉、植木の業界の皆さんがお見えになり4年後の東京オリンピックパラリンピック開催に伴い川口市の鋳物、植物を使用するように要請されました。出来る限り協力することを約束しました。>

川口市の陳情を受けて、同議長や他の同席者等がJOC組織委員会などに聖火台について確認し、何も決まっていないことが分って、そのことが知事にも伝えられたとすると辻褄が合うように思える。
推測が長くなってしまったが、政府は経緯検証しないだろうから、こういうことも考えられるという参考。それにしても川口市の熱心さは特筆もの。更に他地域も含めた聖火台への思いが軽くなってしまうような隈氏発言が、NHKで全国に流れたことは、やはり残念。

----舛添知事3月4日会見(後半部分)----
【記者】日本テレビの久野村です。昨日行われた調整会議で、聖火台の問題なのですが、コミュニケーション不足等とまた指摘されている面もあるのですが、まずこのことへの知事の受けとめをお願いします。

【知事】国立競技場を造るということで、一遍白紙に戻りまして、その後、A案、B案どうするかということで、みんなそこに集中していました。私の記憶する限り、メディアの方々も、そのときに、どこに聖火台を置くのですか、設計図の中のどこあるのですかということを、私も言わないし、皆さんも言わない。当然、その発注する主体、これはJSCですけれども、お考えになっていると思ってはいたのですけれども。ただ、検討会を作って、今からきちんと検討しようということなので、早急に連休前ぐらいにきちんとした案を作ってやると。そのときに、外に置くとか内に置くとかということよりも、まず、どういう開会式をやるのですかと、オリンピックもパラリンピックも。それに合うような形の聖火台の配置をしないといけないのではないですかと。だから、同時に、その開会式の在り方、今、我々も一生懸命検討しています。それとちゃんと調整してもらわないといけないと。
  それからもう一つは、新国立競技場なのですけれども、要するに、2020年大会のメインスタジアムであるわけです。ですから、そういう中で、我々も全面的にそれは協力をして、東京都も関わりがありますから。あと、その聖火台をどこに残すのですかと。つまり、我々が前の国立競技場、やはりいつも感動していたのは、昭和39年のあれ(聖火台)が残っていて、やはり聖地なのです、あれがあると。あれがないと聖地という思いはしなかったので、そういう意味では新国立競技場のどこかに残してほしいなという気持ちは私にもあるし、みんなもあるかもしれないけれども。ただ、ロンドンとか、ほかのところの例だと、競技場から撤去して公園に設置したとか、いろいろなことがあるのです。だから、いろいろなそういう要因を考えながら、早急に検討チーム、それは我々も入ってきちんと発言すべきはしたいと思っていますから、そういう中で案を作っていきたいと思っています。
  それから、ついでにもう一つ言うと、やはり開会式のぱっと火がともる瞬間というのは、最高の感動を与える瞬間なのです。ですから、これはあまり事前に知らせないで、サプライズでやりたいと。「えっ?あんな形で火がついたのか」ということもあるので、若干、サプライズで隠しておく面があってもいいのではないかという気もしているので。そういうことも含めて、私は今のような発言を、昨日の調整会議でそういう意見ですということを申し上げました。それで、検討会議をやろうということですから、そこできっちりと決めて、良いものにしたいと思っています。

【記者】TBSの松原です。関連ですが、これまで、知事がいつも責任の所在という話をいろいろされてきましたけれども、ここまで決まってなかったと、メディアも含めてというふうにおっしゃっていましたけれど、決まってなかったことについては、どこに責任の所在があると知事はお考えですか。

【知事】それは、基本的には、これを言うと前の国立競技場のようになってしまうのですけれど、国立であるわけです。それから、造る主体は文部科学省の監督下にあるJSCが造るわけですから、そこで図面などを確認するときはやってもらわないといけなかったのだけれども、ただ、昨日、遠藤五輪担当大臣もおっしゃったと思いますけれども、私もオブザーバーで関係閣僚会議に出ておりました。あのときは白紙に戻してどうするかで精いっぱいだったのですけれども、本来は、やはりそのときに、聖火台はどうなのという議論が出なかったのは、関係閣僚会議に出ていた者として、これは反省しないといけないなと思っています。

【記者】フジテレビの町野です。その聖火台の問題についてなのですけれども、現在、仮設になる場合は組織委員会で、常設の場合は国という役割分担がされていると聞いているのですけれども、この仮設ということについて、線引きが曖昧だというようなお話もあると思うのですが、知事としては、この仮設か、常設かという定義をどうお考えなのか、また、何か見直したりするお考えがあるかどうかお聞かせください。

【知事】質問は聖火台について仮設かどうかということなのか、一般的なのか。

【記者】両方でお伺いしたいのですけれど、まず聖火台について。

【知事】いや、聖火台についてはそういう議論までいっていないのです。基本的に、仮設かどうかというのは、例えば、今、一番いい例でいうと、お台場のフジテレビの近くですけれど、あそこでビーチバレーをやるというときに、そこに観客席を1万5000席ぐらい造る予定なのです。これは、終わったら壊してしまうと。大会が終わったら壊してしまう、これが仮設なのです。けれども、スタジアムを造ってずっと残していくという、都民や国民が使っていくスタジアムとして残っていくと、これが常設というか、恒設というか、パーマネント、そういう意味です。だから、聖火台の場合、作ったものを壊してしまうのですかというと、壊さないだろうと思うので、それは今の競技施設の、要するにパーマネントかテンポラリーかという、仮設かどうかということの分類には少しそぐわないと思います。

【記者】ニッポン放送の宮崎です。関連で、あれだけ建設費用が新国立に関して問題になって、ようやく決まって、また今回、この聖火台の問題が出てきて、仮にその競技場内に立てるとすると、また建設費予算も変わってくるのではないかという指摘も出ていますが、このあたりのことについては、もうやむを得ないというか。

【知事】いや、それはまだ検討しておりません。つまり、それはもう技術者の腕次第だし、私が先ほど申し上げたのは、もう本当に細かいことまで、こういう問題が起こったときにはエンジニア、技術者と話をしてくださいということであって、例えば、あれをどこかに据えることによって、かえって安く造れるというような解決法が出てくるかもしれません、場合によっては。だから、そこはまだ、高くなるか安くなるかどういう費用になるかというのは、これは何を造るか、どういうふうに据えるかということにもよりけりなので、まだ議論をしていないということなので、これは連休前までにそういう議論も含めてやるし、我々も必要な発言はしたいと思っています。

【記者】日本経済新聞岩村です。先ほど知事がご発言された中で、その中か外かという一つの議論があると思うのですけれども、それは知事の個人的な見解で結構ですけれども、聖火台というのは中にあるべきか、あるいは状況に応じては外にあっても構わないと思いますか、そのあたりはいかがでしょうか。

【知事】皆さん方にも昨日の調整会議のときにご説明があったのではないかと思いますが、基本はああいう聖火台に関するIOCの基本的なルールがあります。それで、聖火というのは、極めてまさに聖なるものであって、大会をやっている間、一瞬たりとも消えてはいけないのです。これがともっているということが、オリンピック・パラリンピック大会をやっているということなので、それだけ大事なシンボルであると。基本的には、中に入っている観客の全てから見えないといけないのです。自分が座ったところから見えないなと、これは基本的にはだめです。ただ、冬季オリンピックのときに、全部屋根で覆ってしまったときに、火をたいたらそれは危ないし、いろいろな意味で問題があるので、そうすると、外にずっと火がたき続けられるようなものを置くけれども、中はレプリカ的なもので済ませるとか。いろいろな工夫があるわけです。それから、頑張って聖火台は置いたのだけれど、5%の人だけは、構造上の問題で見えないと。けれども、少し横に行けば見えますからどうでしょうかというような、こういうお伺いをIOCに立てれば、いや、それぐらいならOKですよとか。最終権限はIOCが持ちます。けれども、それぐらい大事なものであるということなので、そういう観点から言えば、我々が8万人の観客の中に入って見るときに、やはり開会式のみならず、例えば陸上競技の100メートル競争を見ているときも常に聖火が見えていると、これがベストだし、基本的な望ましい姿だと。そこから先は、先ほど言ったように、特例についてはIOCが認めるということなのですけれど、やはりこういうのは、基本的な原則をしっかり守りながらやるべきだと思っていますので、できるだけ、それにかなうような解決策を模索したいと思っています。
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)

追記以上