kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

日経デザイン記事”A 案は「パクリ」なのか?”

A案の流用問題に関して、2月9日B案シンポジウムで伊東氏が「流用証明図」を示すという重要な展開があって報道がどうなるか注目された。日刊スポーツが直後に取り上げたが、ようやく専門筋の日経系でも記事が出た。

相当核心に迫った記事で、特に以下の弁護士の話はよくまとまっていると思う。
<福井弁護士は、今回の設計図面の類似について「(現在公表されているものだけではなく)より詳細な画像を比較する必要があるが、一見して両デザインはかなりの細部まで共通して見える。この種の事案での判例・学説は揺れており微妙なケースとなるが、いずれにしても今回は裁判所が著作権侵害と判断する可能性はある」との見解だ。>

ただ、これも実際は二つの話が一緒になっていることに注意が必要。
 ①デザインはかなりの細部まで共通して見える→パクリかどうか?
 ②判例・学説は微妙だが、裁判所が侵害判断する可能性はある→法的判断はどうか?

この二つだと、すぐ②から入る向きもあると思うが、まず①が根源的な問題(①が無ければ②は無い)。更に①についても、外観と内部設計と云う区分けがある。似ていないと言う人は、「パッと見の外観」が違うという印象を持つのだろうし、それは理解できる(実はモチーフ偽装と云う大きな問題があるが、それは置いておく)。しかし、伊東氏は昨年次のように述べている。
デザインの中身については「全く見かけは、ザハさんの案と違うように見えますけれども、その皮を剥げば、中から出てくる中身は、ほとんどザハさんのものと、全く変わらないものが登場した。>

中身について「似ているか似ていないか」を問われたら、大方の人は「似ている」か「分らない」のどちらかで、「似ていない、全く違う」とはっきり言うのは隈氏や大成チーム関係者か相当天邪鬼な人ぐらいではないか。偶然の一致では到底説明困難なレベル。①については、「中身は大幅流用」と云うことを裁判所にも納得してもらうことは容易と思う。裁判になればCADデータ比較も出来る。
次に②になるが、これは上記弁護士の言うように「微妙」が妥当だろう。

当ブログでは従来から①についてマスコミや識者、そして最終的には世論がどう認識するかに注目してきた。「中身の流用(パクリ)」が有ることを認めるなら、隈健吾氏の「全く違う」発言が虚偽と云うことになる。後は基本的な部分に虚偽が含まれた建築物を「国立競技場」として、このまま建てることが良いのかどうか。識者や世論、そして政府がどのように判断するか。

このところZHA側の動きが余り見えなくなっているが、根本的にはまず日本側の問題として「虚偽をスルーするのかどうか」考えるべきと思う。その際に、国民の多くは詳細比較まではしないから、報道や識者発言等の影響が大きくなる。その意味で今回の記事は重要性を感じるが、続くものが出てくるかどうか。
なお、同記事においては、JSC事務局が第一回審査委員会で「旧計画(ザハ案)の最大限活用」意向を示していた(議事録有り)という重大な事実の考慮が抜けているのは惜しい。

以上
[追記]
本文当該記事について、以下のようにツィートされている方がいた。
<【新国立競技場】A案、ザハ案。パクリ問題の検証。(①外周の柱の数が108の必然性。②内装設計の担当企業間の著作権問題。③監修者が途中交代の契約への盛り込み。)←(日経デザイン)>

簡潔かつ的確なまとめと思う。ただ、本文に述べたように流用の認識が最重要であって、それが明確になればツィート中の②や③のような話に行く前に、「日本側は流用(パクリ)に対して、どのように対処すべきか」という方向性は出てくると思う。
また、流用は「柱数108本の必然性」にとどまらず、多様な観点から証明できることは当ブログ1月2日記事等で検証済み。

追記以上