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「JIA MAGAZINE Vol.324」2016年2月号記事

建築家「相坂研介」氏が表記の件について次のようにツィートされておられる。
<JIAmagazine今月号(324)「新国立競技場問題を考える」に、JIAの改めての公式見解とこれまでの動きが掲載されました。・・・>

JIAの見解と動きは非常に重要と思われ、当該記事の抜粋を入手したので参考用として掲載。なお相坂氏も寄稿しておられ、ツィートを引用して全文掲載。それ以外の方は抜粋で、特にそれぞれの文章の最後の部分を重点的に抜粋してあり、文中の「(最後)」以降がそれになる。①~⑥付与と太字は当方。寄稿者は①~⑤の5名で敬称略。

----「JIA MAGAZINE Vol.324」2016年02月号記事 抜粋開始----
□新国立競技場関連 新国立競技場問題を考える”(2ページ見開き)
①芦原 太郎(日本建築家協会会長)
国民が納得いくビジョンとそれを支えるハードとしての新国立競技場の姿を示し、その規模や内容・工事費・工期の計画条件を整えた上で、設計を始める必要があった。
(最後)審査において決定前に応募案を公表したことは情報公開の点から一歩前進したものとして評価できるが、審査結果で建築計画が劣っているものが工期の信頼性から選ばれたとの説明だけでは納得いかない。JIAとしても、より詳細な評価の説明を求めつつ、今からでもこうした議論を市民とともに展開して、今後のより良い建築づくりにつなげていきたいと考えている。
②上浪 寛(同副会長 関東甲信越支部長)
2015年9月15日には、希望する多くの建築家が参加できないなどコンペの仕組みの不備や積極的な情報公開についての意見書を提出し、その後のJSCとの意見交換が効を奏し応募案審査前の案公表が予定された。(12月14日実際に公表)
(最後)JIAはオリパラ関連施設を国民が誇りを持てるレガシーとなるよう、発注者と国民の間に立つ第三者として伴走すべきだと考える。
③連 建夫(国立競技場問題対応WG主査 関東甲信越支部幹事長)
(最後)9月の支部役員会で新国立競技場対応WGが発足した。新国立競技場の再コンペの一番の問題は、デザインビルドでの募集であったことにより、ザハを含め応募できなかった建築家が生じたことである。ゼネコンが建築家がを選ぶという状況になり、建築家の案によって競うことができず、工期やコストが支配的なコンペであった。JIAは一貫して情報の公開とアドバイス機構の設置を要望している。この立ち位置を崩さないことに留意しつつ、これが実現できるような状況を作ることが大切であるが故に、単純に問題追求の立場を取ることはできない。この微妙なバランスについて常にWG内で議論を重ねている。
④篠田 義男(千代田地域会代表)
「建築は誰のものか」を考えるべき。
⑤相坂 研介(国立競技場問題対応WG 関東甲信越支部 JIAデザイン部会副部会長)
私の関心と行動原理は、当初コンペの参加問題から、いや6年前のJIA入会動機から一貫して「選定と手続の公正さ」です。五輪を導いた最優秀者が降ろされて半年、規模やコストに関する彼女の冤罪は晴れゆく一方、参加者たった2者での再コンペは問題を孕み続けています。
そうした中、何より僕ら若手が焦ったのは、昨夏、白紙撤回を歓迎する傍ら建築家を蔑ろにした(と読める)「三会提言」でした。当時は反対派のメディア露出と即時性の高いSNSで真偽問わぬ大変な世論誘導もあり、“公式団体による身内降ろし”と位置づけられました。
しかし9月の集いでそれが真意でないと聞き、ネットの速さや誤読の怖さを発言して以降、協会の真意と一般世論を繋ぐべく働いています。
思えば白紙前夜の世論は「高過ぎる見積の縮減」であり、案の内容云々ではなく、「施工見積の精査」「規模や構造が不適なら修正」「それもダメなら発注者へ与件見直し提案」という通常の設計業務をさせれば良かったのです。
理不尽な建築家外しが疑われたあの時こそ、もっと明確にJIAが存在意義を発揮し得た場面だと悔やまれますが、施工者が強まるDBや建築家の知的財産権の問題に対処すべき今、改めて建築家同士の私見による内紛を止め、団結する必要を感じています。
⑥記事の最後に囲みで書かれていた内容全文(編集部記述と思われるがJIAとしての取組姿勢と受け取れる)
<新国立競技場の問題は、コンペやプロポーザルのあり方、設計施工一括(一貫)方式の導入をはじめ、建築家にとってさらに深い議論が必要だと思われます。『JIA MAGAZINE』では次号以降もこの問題について、会員の皆様のご意見を取り上げていきます。>
----抜粋終了----

各内容について当方感想を記す。なお相坂氏の分は別途取り上げる予定。
①芦原会長…<審査結果で建築計画が劣っているものが工期の信頼性から選ばれたとの説明だけでは納得いかない>は厳しい指摘。暗にB案優位を公言されていることになる。<より詳細な評価の説明を求め>ていくということで、会長自ら今後の追及を宣言されたことは大きい。
②上浪副会長…<JSCとの意見交換が効を奏し応募案審査前の案公表>ということだと、公表はJIAのお手柄ということになる。実際はJIA要請だけで決まったのでは無いかもしれないが、公表を求めたことは高評価。
③連支部…<単純に問題追求の立場を取ることはできない>という姿勢は、後々追及が鈍る可能性を示唆しているようにも受け取れる。最終的に、このような考え方に会長・副会長や若手も陥る懸念は残る。中途半端や曖昧な結末は避けていただきたい。
また<誇りを持てるレガシーとなるよう>と書いておられるが、A案で今のまま進むと「ザハ案の無許諾流用」ということになり、それが海外にも知られていくから「誇りを持つ」ということとは反対の方向になりかねない。是非JIAの働きに期待したい。
④篠田氏…同氏の言わんとしたこととは違う方向の話と思うが、旧計画でJSCが最低の「D」評価を貰ったことに対して設計者側も猛省すべきと思う。発注側(JSC・文科省・政府)の責任にしてしまったのは設計側の力不足でもある。結果責任を問われて辞任したのはJSC理事長と文科相で、設計側は明確な責任を問われなかった形だが、実際はどうだったのか。設計側の問題点をしっかり調査すべき。特に設計JVリーダーの日建設計がダンマリを続けていて、例えば設計側とゼネコンの見積り差の原因も不明なまま。政府検証委員会は解明出来なかった(しなかった)が、JIAで調査してみるべきではないか。ちゃんとお金を払ってくれる発注者を守らないなら、発注者側は自衛の対策を考えることになり、それがデザインビルドになっていく。自分で自分の首を絞めるという典型。ただ今回は発注者側も真相を隠そうとしている節はあるが、それに設計側も乗るのではなく真の発注者である国民の為にどうすれば良いか考えて頂きたい。
⑥今後の取組…次号以降も取り上げると明言しておられるので期待しましょう。

以上