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「The Times」 ザハ氏インタビュー記事

英国を代表する新聞と目される「The Times」2月2日版に「ザハ氏インタビュー記事」が掲載されている。まず、それを伝える日本側記事。
<【ロンドン共同】2020年の東京五輪で使う新国立競技場の旧計画をデザインした建築家ザハ・ハディド氏が2日付の英紙タイムズのインタビューに応じ、旧計画を白紙撤回した日本側の判断について「単に日本のものが良かったようだ」と不満をにじませた。
 発言が、新デザインを担当したのが日本人の隈研吾氏であることを指すのか、日本の伝統建築を取り入れた新デザインを指すのかは不明。インタビューでは「われわれは(国際コンペで)勝ち、3年近く取り組んできた」とも述べた。
 ハディド氏はイラク出身。英国で長年活動している。>

この共同記事は短いが、元記事を見たらタブロイド版両面見開きで大きく掲載されていた。全部が新国立競技場問題ではないが、含まれている前半部分を転載。
イメージ 1

副題にも入っている重要なテーマが日本の新国立競技場問題で、言及されている箇所(赤枠)を抜粋。
----The Times 引用開始----
‘Having to fight hard has made me a better architect’ 2016.2.2
  ”Zaha Hadid tells … the scrapped Tokyo stadium … ”
her most recent furore over the 2020 Tokyo Olympic stadium.
 Again,Hadidi's design won the international competition,but she was replaced by a Japanese architect at the end of last year. "They wanted a national stadium and through that they applied for the Olympics," she says,"We won and worked on it for nearly three years,but it seems they just wanted Japanese."
 Hadid's practice has so far refused to give up the copyright to the design in return for a final payment, amid concerns that some components of the replacement scheme by Kengo Kuma are similar to those proposed by Hadid. Kuma denies appropriating her work. Needless to say,Hadid's lawyers busy.
----引用終了----

(後半)「隈研吾氏による新計画の幾つかの構成要素がザハ氏によって提案されたものと類似しているという懸念の中で、最終的な支払いと引き換えにデザインの著作権を放棄することを拒否している。隈氏は流用を否定している」との趣旨で、現状のポイントが的確に記述されている。
そして(前半)「it seems they just wanted Japanese」、上掲共同記事によれば「単に日本のものが良かったようだ」とザハ氏は述べているようである。

ちなみに改めてTimes紙をWikiで見てみると次のように紹介されている。
<英国の保守系高級紙。1785年創刊で、世界最古の日刊新聞であり、発行部数は449,809部(2011年4月4日-5月1日平均)を数える>
このような伝統ある新聞に大きく掲載され、既報のテレグラフNYタイムズジャパンタイムズなどの記事もある。昨日香山氏や槇氏の対応について書いたが、この状態を建築専門家諸氏はどうお考えなのだろうか。

当方が特に残念を通り越して憤りを感じ始めたのが槇氏の対応である。
ザハ氏は旧計画批判に対して以前次の様な発言をしていた。
<デザインサイトdezeenがインタビュー。ザハ・ハディド「新国立競技場を批判する日本の建築家等は偽善者だ」>
この発言自体は、「ザハ案の構造的問題こそ旧計画混迷の根本原因」と見ている当方にはそのまま受け取れないが、「偽善者」と云う言葉は重要。何故なら、批判の急先鋒だった槇氏が信念を持って旧計画を批判した事自体は偽善ではないとしても、新計画の明白な流用に対しては「分からない」という曖昧な態度を取り続けるなら、それは「偽善者」と言われてもやむを得ないと思う。日本人同士では甘く、外国人には厳しいと受け取られることにもなる。上記ザハ氏の「they just wanted Japanese」と云うような発言に繋がり、世界でも同様に受け取る傾向が出て来かねない。実際に流用は事実で、それを国内では隠蔽しているから、ザハ氏発言は真相を突いていて否定出来ないところが更に厄介。

当ブログでは以前次のように書いた。
<このままでは「日本は嘘をつく国」となって、自分はそれでも構わないという人も、家族や親族や友人、職場や地域の人達なども知らぬ間にそのような国の国民になってしまう。避けるべき事態ではないか。>
この問題で他の国民まで巻き込まれないよう、建築設計界、特に影響力が大きく上記にように現在の状況に対する責任もあると思われる槇氏とそのグループは自らの役割をお考えいただきたい。そして旧計画時の政府への申し入れ実行のように、流用問題に関しても「国として嘘をつかない対応の必要性」を正式に提起することなどを早急にご検討いただきたいと切に思う。しかも早く対応しないと悪影響が広がるばかり。

以上