kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

「知財・契約等の詳細論議は大局を見えにくくする要因、ザハ案流用のA案採用するかどうかは、まず日本側で方針決める必要がある」

以下の様なブログ記事があった。参考になったので当方の観点と併せて考察。
新国立競技場の類似問題”2016-01-19 水野祐氏(弁護士…NPO「Arts and Law」所属)

「アートと法」に関するNPOの代表である水野弁護士は、類似問題について<「契約違反」、「著作権」、「営業秘密」の3つの問題>として書いておられる。適切な分析と思うが、結果としては「解決に向けて」の段落においても明確な結論はお出しになっておらず、最後の部分は<整理のためにも書いてみた。この件は今後も継続的にウォッチしていきたい>となっている。加えて「追記」の部分では<さらに混沌とした課題を法律面でも投げかけているように思われる>と結んでいる。つまり専門家が考えても「簡単に結論が出る問題ではない」ということになる。
よって、法律面ではなかなか決着がつかないと思われる。またザハ側も今は海外メディアを使って揺さぶりを掛けつつ、じっくり構えている様子。

当ブログでは、ザハ案流用によってコンペ不成立であることを以前から述べてきている。この見方にご賛同頂ける場合、A案決定は無効となるから新たに考え直すことになる。
その際に、「中途契約解除したザハ案を隠して流用しながら表面的に和風を装い、バレているのに完全否定」と云う状態にあるA案を新国立競技場として採用するかどうか。ZHA側の思惑や出方なども一旦置いておいて、まず日本側で方針決めるべきと思う。

その上で、「工期最優先だから様々な問題があっても、現実的判断として改めてA案を採用しよう」と云うような方針が政府で出たら、それは一つの大局的判断として具体的にZHA側と交渉すれば良い。逆にA案中止判断なら交渉する必要もなくなり、再見直しの対応を考えることになる。
細かいところの検討で時間が取られそうな場合、その結論が出るのを待っているだけでなく、大局的見地から早めに判断していけば道筋が付いてくる。

なお、「大局的判断」の重要性は一般的に認識されていても、実際には余り重視されなくなっているような気もする。例えば上記の水野氏論考でも、「コンペの公平性」や「流用隠蔽」などの問題は出てこない。専門分野についての論考は、それでも構わないとしても、新国立競技場問題として考える場合には全体的な検討が必須。肝心の政府からは知財問題に対する遠藤大臣の楽観論しか出てきていないが、官邸内の検討はどうなっているだろうか。もしかして、大局的判断として隈氏とともに「流用全否定」で押し通すつもりなのだろうか。

以上