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類似点追加

昨日記事で「A案における流用をJSCが許可していたかどうか」と云う点を取り上げた。「許可の有無に係わらずコンペ不成立」と考えられることも示した。結局は「流用が大幅すぎて隠し切れない」というところに帰着してくる。

その前には「dad*r*1go」さんから次のようなコメントも頂いていた。
<パクリというよりJSCの指示なのではないでしょうか。
いくらなんでも日本を代表するような組織が揃いも揃った上で、こんなにすぐにバレるようなことをやるでしょうか。 …>  

確かに余りにもバレバレで、当方も重ね合せの検証を行って最初に平面図がピタリ一致した際には容易に信じられず、どこかに間違いが有るのではと何度も確認したぐらい。
しかし、新国立競技場建設では考えられないことが多々発生。まず旧計画でも技術面の重大問題が多かった。特に基礎構造で問題があり、ZHAが主導して「アラップ+日建設計」という構造のスペシャリストが担当していたにも関わらず起きてしまった。
新計画では、まさかそのようなことは無いと思っていたが、超大手がやってこの状態。しかも流用は「誰の目にも明らか」と言えるレベル。隈氏は否定したが、類似点は幾らでも出てくる。本日も地下1階の類似性を追加する。

イメージ 1

同階のトイレ・機械室・通路の位置と大きさが両案でほぼ一致することはこれまでお伝えしてきた。それに加えて、「並び」も同じだった。すでに気づいていた方もおられると思うが、上図右上に書いたように”大きめWC-機械室-斜め通路-小さめWC”という並びのセットが4組有る構成が同一である。(「1月2日類似性検証記事」にも追記済み)。
ここまでの類似を「偶然の一致」で説明するのは困難ではないか。また、地下1階以外にも多数の類似項目が有ることは同記事に掲載済みだし、まだまだ出てくると想定される。やはり政府は早く善後策の検討に入ったほうが良いと思われる。

また、このような事態の中、「yut**108jp」さんから<真の加害者は誰なのか、何なのか真相究明>というコメントも頂いている。これに関しては、やはり旧計画に遡る必要があると考えている。それを徐々にやって行くつもりだったところに現在の状態なので、当面は推移を注目することになりそう。
ただ、旧計画に関しては先日も述べたように「文藝春秋 由利氏記事」の内容がもっと注目されて良いと考えている。同記事では「(2015年)春先にゼネコンが官邸に撤退覚悟で直訴した」ことが書かれている。一連の経過においてゼネコンを批判する向きもあるが、ゼネコンが足元を見て見積りを下げなかったのなら美味しい案件になる訳で、是非取りたいのに「撤退覚悟」したら矛盾になる。

また官邸も切羽詰まった直訴を受け、必死の動きによってリミットが迫る中で白紙見直しの決断に至ることが出来た。大変なご苦労があったと思う。しかし、結果的に現在このような事態になってしまった。「yut**108jp」さんの疑問につながる「何が真の問題なのか?」。
真相はまだ見えない面が多いが、旧計画と新計画では根本的に違う問題があり、それぞれに一つづつ挙げてみる。
 (1)旧計画…「ZHA+アラップ+日建設計」案は工費増大だけでなく、「建てられない」レベルの構造問題が存在した可能性がある。
 (2)新計画…工期短縮が至上命題とは云え、何故「ZHAを切ってZHA案を大幅流用する」という一般的には理解しがたい方策を取ったのか。

時系列からして、(1)があったから(2)が発生してしまった。そして(1)にはZHAが深く絡んでいるにもかかわらず、現状では日本側ばかりが批判されているように思う。当方は客観性を重視しているので、日本側の流用問題推移に注目しつつ、ZHA側の問題点も書いていく予定。
なお、本来は槇氏や内藤氏が旧計画の経緯を相当ご存知のはずで、もっと語っていただきたいが、今のところは沈黙の様子。ただ、このままでは一方的に日本側だけが不利になるから、両氏も対応を考えていただきたいと思う。

以上
[追記]
資材発注の話が時々出るので考察。参考記事を示す。
大成建設はザハ案でスタンド工区=観客席の工事を担当することになっており、それにあわせて、すでに大量の資材や下請け業者をおさえていた。
「つまりそうした資材や準備が無駄にならないように、観客席はザハ案とほとんど同じ構造にしたのではないでしょうか。実際、観客席の構造は隈さんではなく、大成と梓設計が主導で進めていたようですから」(建築関係者)

タイトルは明白な証拠でも掴んで断定したかのようだが、実際は上記のように「関係者の話」を幾つか入れた憶測になっている。ただ、「資材や下請け業者」の準備がなされていたというのが大成選択の理由にされ、またザハ案流用も発注済み資材使用の話にされている場合が結構ある。
技術者として考えてみると、流用で設計期間短縮と完成度向上が図れるメリットの方が資材準備などより遥かに効果的と思う。経験的に、設計さえ出来ていれば購買や製造は力技でも何とかして作る。短納期の場合は特に設計の速さが勝負で、技術者としては既に検証済みの設計が使用できれば非常に有利。
これで流用の辻褄が合うと思うのだが、何故わざわざ資材の方に話を持っていくのか不思議でならない。資材の話は分かりやすいが、設計は分かりにくいということだろうか。(大成選定は、元々「大成案件」であり、資材準備を持ち出すまでもなく新コンペでも最初から決定していたと思う、新コンペ自体が主に官邸と大成の打合せで決められた部分が多いと推測)

なお、資材発注の件も本文の「由利氏記事」に関係する可能性がある。昨年2月に撤退覚悟で直訴したのなら、その時にはまだ発注しないだろう。また耐震性に問題があったのだから、構造変更の可能性が高く発注資材の仕様も確定できない。
そして5月にはZHAが外されて官邸主導になったことはZHA(当時)内山氏自身がインタビューで述べている。白紙見直しの流れがこの頃から本格化した可能性が高く、見直し仕様を検討している最中に先行発注できたかどうか。もし発注するにしても必要最小限に限定するのではないか。この辺の解明には、政府が白紙化の経過を検証委員会の調査対象にさせなかったことが尾を引いている。今後検証委員会を再度設定して、新コンペも含め再調査することは必須。

追記以上