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A案・ザハ案 類似性まとめ(スタンド角度等追加)

まず昨日記事で再訂正有り。「ザハ案は基本設計と実施設計でスタンドの形状が変更されている」と書いたが、実際には変更されていなかった。基本設計図の6階平面図には6階(6F)分の座席が描かれているが、実施設計図では描かれていないという違いがあった。(両段階で座席数の変更は殆ど無いので図面の描き方を変えたと推察される)
以下に両段階での5Fと6Fの平面図比較を示し、実施設計図では6F分の座席が描かれていないことを確認した。
イメージ 1

ザハ案スタンドは(ZHAいわく)サドル型で、メインスタンドとバックスタンドを高くしてして座席数を稼いでおり、それが6F分の座席になっていると想定される(「サドル型」については[追記]でも触れる)。A案スタンド上端はフラットで6F分は無く、ザハ案6階建・A案5階建の違いになる。

下図左で検証しているように、上段スタンドの長さも6F分座席の有無により、ザハ案とA案で違いがあるが、6F分を除くとほぼ同じになる。
イメージ 2

同図で両案のスタンド角度も比較しており、上段・中段スタンドの角度がほぼ同じになっている。「スタンド傾斜角度が同じ」と云う指摘が出ていたが、当ブログでも同様の結果になった。またスタンド下の柱数と配置も再度比較したが、上段・中段下はやはりよく似ている。

続いて、6Fを除く上段(4F5F)と中段(2F3F)のスタンド形状を両案で比較した。上段外周と中段内周が両案でほぼ重なり、上段・中段の中間ラインも同様。

イメージ 3
結果的に現在当ブログで把握出来た類似性は、一昨日と昨日記事での検証も併せて次のようになる。
[A案・ザハ案類似性まとめ]
 (1)スタンド形状…6Fを除く上段(4F5F)と中段(2F3F)のスタンド形状が平面図上でほぼ同じ((3)項のように断面図でもほぼ同じ)
 (2)柱割り…上段・中段スタンド下の柱割りはほぼ同じ
   ・断面図において6F分を除く柱数が同じで、配置も近い位置にある
   ・平面図において1周の柱数が108本で同じ
  (3)スタンド傾斜…断面図で上段・中段スタンドの傾斜角度がほぼ同じ(6F分を除くと長さもほぼ同じ)
 (4)スタンド通路数…上段スタンドの通路数が54本で同じ
  (5)VIPルーム吹き抜け…窓際が2F3Fを使用した吹き抜けになっている構成が同じ

[考察]
上記結果から考えて、「A案のスタンド構成は、ザハ案スタンドの6F分を除く上段と中段を下敷きにして、それ以外の部分を変更したのではないか」という推測を現在している。このようになった理由も推測してみると、大成建設がザハ案のスタンド工区担当で構造を把握していたから、設計流用で設計期間短縮と精度向上を図ったことが考えられるのではないか。

猪瀬氏が<ザハ案でスタンドを担当したのが大成建設、デザインが多少変わっても資材の手当てができていたので工期短縮が可能と、表向きは競争でもA案ありきがインナーで囁かれていた>とツィートしているが、A案着工は来年末予定。設計流用による立ち上げ期間短縮効果の方がまず重要だったのではないか。新コンペに短期間で詳細な技術提案書も出しており、設計者の立場からすれば或る程度検証済みの設計が流用が出来れば非常に有効。

しかし、当然ながら流用したらZHAとの関係が課題になる。大成チームの設計者がそれを承知のうえでやったのか、或いは余り考えずにやってしまったのか。ここはまだ分からないが、例えば「ザハ案の特徴はキールアーチだから、それを使用しなければ他が似ていても問題にならないのではないか」などと考えたかも知れない。それがZHAに通用すれば良いのだが、果してどうだろう。

なお、「敷地や収容人員が同じだから、設計で同じような部分が出てくることは有りうる」というように、「偶然の一致」や「流用意図全く無し」という趣旨で主張するのは比較結果を見る限り無理ではないか。
更にZHA側が少し調査すれば上記(1)~(5)などを上回る類似点を見つけ出すことは確実(当方も細かい点等で他にも把握)。その上でZHA側も調査結果を公表してしまうと、メンツがあるからそのままにはしておけなくて、何らかのアクションを取ってくる可能性もあるのが厄介。

ただし、日本側も対抗を考えるなら、ZHA側の設計にも問題が多々あった。それを検証委員会で解明できなかったのは、期間や検証対象に制約を付けた政府の責任。昨日も書いたが、応募者(大成チーム)任せにするのではなく、構造面も含めた正式検証を再度行って反論できるようにしておくべきだろう。放っておいたり、秘密主義で水面下だけで対応しようとすると更にこじれかねない。

以上
[追記]
参考
・サドル型スタンドに関して…ZHAビデオでは「人気が高いフィールド中央の席を多くする」仕組みとしてメリットが紹介されている。しかし、南北方向に掛かっているキールアーチの下側では、スタンドの高さを低くせざるを得ないことは明らか。それを棚に上げて都合良く説明しているのではないか、という気が以前からしている。実際もし「フラットにして良いから最大高さを下げて欲しい」と要望されても出来ないのではないか(笑)
・菅官房長官ご子息…今週号フライデー掲載内容<菅氏の三男が大成建設に勤務しているのは事実だが、本誌の取材では四国の支店に在籍する20代の事務担当職員

追記以上