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審査方法に関して

最終審査での内定結果はまだ報道がなく、漏れてきていないようであるが、審査後には例えば以下のような記事が出ていた。
”新国立競技場 審査委、AB両案採点 政府22日にも決定”毎日新聞 2015年12月19日
委員会は聞き取り後、約4時間にわたって審査委員7人がそれぞれ事業費の縮減(30点)、工期短縮(30点)、維持管理費抑制(10点)など9項目計140点満点で採点した。>

審査方法について、JSCのHPにある技術提案等審査委員会の資料を見てみると、肝心の「採点の運用方針について」という資料はリンクがなく公開されていない。
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公開されている「求める技術提案書及び審査基準について」という資料の「技術提案書の審査基準」では以下の様になっている。前述の毎日新聞記事のように評価は点数方式で行われ、「点数の合計が高い者から順位をつけ、最も優れた技術提案書を選定する」という規定。

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しかし、選考対象が多ければ評価点数合計で一応の順位付けが出来るメリットはあっても、対象が2者ではどうなのか。各項目ごとに「A~F」で評価し、配点に係数を掛けて集計するというが、2者での評価に適切な方式なのだろうか。また提案書の内容が豊富になっているから、特に施設計画の評価項目をもっと細分化し、配点も増やす必要性も感じられる。(完成期日は全く同一で工費もほぼ同じなのだから、違いが少ない。ただし、公表されていない部分で追加短縮や削減があるかもしれない。例えばラグビーW杯に間に合わせられるというなら、それだけで特大の評価項目になる)
もし相当程度の工期・工費の追加改善提案が含まれていないなら、施設計画の評価項目と配点を増やして、2者間の「星取表」や「比較表」を作成した上で総合評価する手法が合っているようにも思う。

それでも予定通り点数評価で選定したとすると、実際にはどのような点数が付いたか。また点数だけなら集計すれば決まることになるが、4時間にも及んだという審議の内容はどうだったのか。特に以前から書いてきているように、審査委員が国交省官庁営繕部人脈で固められている。もし提案書の様々な内容を深く議論する場合、それを行う専門性や能力を有しているのか、という問題が生じる。

また、提案者によるプレゼンテーションが最終審査会と同日というのは遅すぎたのではないか。1ヶ月以上前の11月16日に締め切って、その後どういう評価をしてきたのか、それは評点にどのように反映されたのか。途中段階ではプレゼンや聞き取り調査を行わなかったのか、行わなかったとしたら何故か、行っていれば何回実施か。
審査議事録は公開されると思われるが、果たしてどのような内容になっているのだろうか。

なお、施設計画の中には「デザイン(意匠)」そのものを評価すると思われる項目がない。「ユニバーサルデザイン」では趣旨が違うだろう。「日本らしさに配慮した計画」の中で評価したのだろうか。いずれにせよ、多くの人がパースを見て関心を持つ「デザイン(意匠)」の配点が低すぎることになる。選定過程でのデザイン評価の説明はどうなるか。

以上