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最終審査に関する記事

昨日最終審査が行われ、委員会としては一つの案に絞ったとのことだが、どちらになったかはまだ確実な報道はないようである。その中で審査前に「日刊スポーツ」が出した以下記事に注目した。
 ”新国立競技場は隈氏のA案が有力 来週に最終決定”[2015年12月19日8時23分] 日刊スポーツ
<新国立の前計画関係者は「大成建設は前計画でスタンド工区を担当し、今回の提案にも経験が生かされている」と話す。B案は建築家・伊東豊雄氏(74)と日本設計、竹中工務店清水建設大林組のチーム。竹中は前計画で屋根工区を担当していたが、今回はキールアーチも開閉式でもなく両案とも単純構造なので、竹中の利点が働きにくいとの指摘もあった。>
両グループの比較について、今まで述べてきた当方見解と合致。
そして注目してきた官邸内の内幕についても次の記述がある。
<建設関係者は「政府は対案がない中でザハ案を白紙撤回するリスクは冒さない。撤回時期に対案を準備していたのも大成建設だった」と語った。>
ようやく「撤回時期に対案を準備していた」というような話が漏れ出てきた。以下のような記事が如何に虚しいか(笑)
 ””安倍首相「新国立」見直し1月前から検討” 各省が否定”2015年10月22日 ニュースサイトHunter
→「1ヶ月前」どころか、由利氏記事にある「ゼネコンの春先官邸直訴」から、新国立競技場問題はそれまでとは違う流れが始まっていた。だからこそ対案も準備出来たし、短期間で新コンペが開催され内定に至った。官邸の和泉補佐官を中心に水面下の動きが多くなり、各省は知らないか・知らないふりをして、秘密裏に進行した。その開始経緯を報じたのが「文藝春秋9月号由利俊太郎氏記事」である。同記事の内容を裏取りして取り上げようと云う報道機関が未だに出てこないのは本当に不思議。真相に迫るセンスがなさすぎる。

また日刊スポーツ記事は続けて次のように書いている。
<その流れで隈氏と合流。前計画の鉄材業者や人材を継続して確保しているのも「有利な点」という。五輪後、収益率をアップさせるためにVIPルームを増設するにも、スタンドが2層のB案より、3層のA案の方が工事がしやすいという>
→「その流れで隈氏と合流」というのは微妙な表現で、大成建設により「対案」が準備されていて、それに隈氏が手を加える形になったのではないか。そう想定すると産経記事に書かれている状況も理解できるような気がしている。
ヒアリング後、隈氏は報道陣の問いかけに応じなかったが、伊東氏は「精いっぱいやった」と話した。>
→深読み気味になるが、隈氏は大成建設主導だったから、やや「忸怩たる思い」があるのではないかと推察。

また、日刊スポーツの<前計画の鉄材業者や人材を継続して確保しているのも「有利な点」>は当然であるし、スタンド構造も重要。ただし、<VIPルーム増設には2層より3層の方が工事がしやすい」という点は、今まで出ていなかった観点と思う。他には以下のような論点があるだろう。
 (1)観客の見やすさ
 (2)イベントに応じた収容人員変更対応の容易さ

(1)についてはスタジアムの基本的評価ポイントであり非常に重要。ただし、これの評価はスタジアムに足を運ぶ回数が多いヘビーユーザーにやってもらうべきと考えている。そのような人が書かれたと思しきブログが有る。
当方はヘビーユーザーとは言えないので論評はせずに、皆さんで見て頂ければと思う。なお、新コンペでは「アスリートファースト」が、(已むを得ない)出来レース用の仕様を正当化するスローガンとして使われた感があり残念。「アスリートも観客もファースト」で考えて、観客代表者などを選定し、スタンド仕様を先に検討する取組みが出来ていれば良かったと思う(時間がなさすぎたが)。

(2)については先日も紹介した「運営者目線」からの以下記事がある。
<A案では観客席が3層構造に設計されていますが、これは、イベントや大会の規模に応じては、3階層のエリアを使用しないなど、大きな施設を、よりフレキシブルに使用することを可能にします。>
→A案提案書にも3層スタンドのメリットが記載されている。ただし、2層のB案でも対応策が打ち出されている。よって収容人員可変は基本的にはA案有利だが、B案でも対応可能ということになるだろう。

イメージ 1

結果的に日刊スポーツ記事での結びは、<工期工費が接近し、巨木の列柱が「日本らしい」とB案の人気も高く、接戦の両案。>として、当り障りのない両論併記型となっている(笑)

なお、森山氏が「B案の工期短縮可能性」についてブログで言及しておられ詳報を待ちたい。工期に関しては、当方も既報のように更なる短縮でのラグビーW杯対応を期待した記述を行ってきた。また大成+竹中のJVが望ましいという見方なので、それとも絡めてA案での短縮可能性について、参考として少し触れておくことにする。
A案で屋根工事が「2018年2月~2019年2月」の1年間となっている。

イメージ 2

(A案になる場合は)竹中の参加で、ここを縮めてW杯に間に合わせられないだろうか。屋根の設計にもノウハウを注入してもらう。両社が組めば、大成の方が着工2ヶ月早い点も更に活かせるだろう。ハードルは高いと思うが、W杯に間に合わせるオールジャパン体制に向けて、是非大成・竹中JVを実現して頂きたい(W杯が無理な場合でもこのJVは両社の強みが活かせるので実現望ましい)。
このまま日刊スポーツの予想通り大成単独受注で決定するなら、個人的には「和泉氏もここまでか」という感想になってしまいそうである。

以上
[追記]
「ZHA案構造」についてのコメントを頂いている。当方も引き続き解明を考えて来ていて、基本的なところは概ね検証済みになっている。内容は今後記していきたいと考えているが、大きなポイントの一つをご紹介すると以下図のようになる。

イメージ 3

上図において、南北でクロスタイ下側部分の形状が対称ではなく違っている。お気づきだった方もおられると思うが、これはコンペ案時からそうなっていた。当方はここから解明を始めて基本的な見解を導いており、コンペ案からの検討が重要と考えている。

追記以上