基本構造再検証5 「アーチタイ2」
⑨アーチタイ2…実用例
(1)建設途中での使用
”鋼製アーチリブ(Φ1400)の一括リフトアップ架設” (下図⑤~⑦にアーチタイの撤去処理記載)
(2)スラスト力を両側に作用させるのが難しい場所での使用
”パリに真っ赤な「太鼓橋」” (Japanブリッジ)
<本橋の設計条件として、アーチ橋とした時に発生する水平スラストを両ビルに作用させることが出来なかったので、 自己完結構造であるタイド・アーチとして計画されました>
[考察]
(1)は建設中のみの使用例。(2)はビル間という特殊条件でアーチタイは丸鋼。
鋼製アーチと鉄筋コンクリート製タイバーの組合せで常設と云う例は当方検索では見つけられず、余り一般的な使用方法では無いように思えました。
なおアーチ両端を剛体(鋼材)でつないでいる構造の橋梁は一般的です。
”[新国立競技場問題]真実発掘3 「タイドアーチ構造の課題」”2015/7/29 (橋の参考写真有り)
またコンクリートでアーチとバーが作られた橋もあります。
さらに「合成アーチ橋のコンクリート打ち込み順序に関する研究」と云うような例も出てきています。
いずれにせよ剛体だと「弓の弦」というイメージではなくなってきます。
実施設計で追加された「アーチタイ」は、どのような構造を意図しているのかが注目点。
上記(2)でアーチタイは直径200mmの丸鋼(鋼棒)とのことです。
ZHA案では国会で「タイバーに使用される鉄筋は2300トン」と文科省から示されています。鉄筋だとすると通常の鉄筋コンクリートのようにコンクリートで周りを覆ってしまうのだろうか。どうやって真っ直ぐ埋め込むかという問題も出てくるでしょうし、それが出来たとしても約370mもあるからコンクリートと一体になって、もはや剛体。張力で引っ張って支えるという構造ではなくなってくるように思えます。これが前述の注目点につながります。
或いは管(くだ)の様なものをコンクリートに埋め込んでから、その中に鉄筋を通して動けるようにするか。ただし管を正確に埋め込むのは更に難しそう。また管使用ならアーチタイの「鞘」は要らなくなると思われますが、実際の構造はどうなっているだろうか。
参考にZHAビデオでのアーチタイ図を示します。鞘(外箱)は描かれていますが、肝心の中身のアーチタイ(タイバー)が見えません。スタンドや屋根の部分と比較すると、アーチタイの図はお座なりな印象を受けます。
アーチタイ(タイバー)を追加した実施設計で納期内に建設可能だったというご見解の専門家の方々には、是非アーチタイの想定構造について、考えをお聞かせ願いたいところ。
以上