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基本構造再検証4 「アーチタイ1」

キールアーチ支持構造変遷の最後になる「アーチタイ」について2回に分けて検討。

⑧アーチタイ1…アーチタイ含む屋根フレーム形状
アーチタイの話に入る前に<政府の了解さえ取れればすぐにでも確認申請提出の準備をしていた>(またろ氏)という件ですが、当方は別解釈をしています。本年7月は10月着工するために確認申請提出のリミットでした。しかし申請できるような設計が出来上がっていなかったので、結果として白紙化されたと考えています。つまり、工費の問題だけで白紙化されたのではなく、申請できないという事情もあったのではないかと推測しています。例えば着工後早期に取り掛かるアーチタイの設計が出来上がっていなかったと云うような事態を想定。
実施設計を了承する第6回有識者会議については、政府として白紙化しても間に合う確証を得ようとしている最中だったので、とりあえず既定路線を続けたと解しています。裏でシナリオを書いて演出していた人(和泉氏)にとっては、「一応やっておく」と云う意味しか持たなかった。

さてアーチタイの件ですが、実施設計の図から抜き出したアーチタイを含む屋根フレームの正面図と側面図を示します。こうやって見ると支持部より上部がずっと大きく、改めて「不安定」な形状と当方には思えます。また「標準的橋梁」とは違いすぎるものに見えます。果たして設計的に成り立って納期を守って建てられたかどうか、皆さんもお考えいただければと思います。
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また特に横風や地震の場合は根元に引抜き力が発生するので注意が必要になります。模式図を示します。
イメージ 2

アーチタイへの引抜き力対策として「支承」の検討が必須になります。ただし、実際には傾いていくと何処かに当たるので、傾きは制限されることになりますが、当たる所がそれを考慮して作られていないと壊れることになるでしょう。
このような難しい構造で厳しい納期内に本当に建設可能だったのか。着工を目前に控えてアーチタイ免震や風対策等の詳細設計は出来ていたのか。ゼネコンも世界初の巨大かつ屋内設置の免震タイバーにおける工法開発や具体的工程の目処をつけて着工に臨もうとしていたのか。

建築専門家の方々には今からでも遅くないので今後の教訓のために技術的検証をしていただきたいと思っています。コンペの在り方などの論議も良いのですが、このような地道な検討をして頂ける奇特な専門家が出て来ないかと期待しています。
明日はアーチタイの実用例などをご紹介して、構造再検証を一旦終了する予定。

以上