kensyou_jikenboのブログ

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「またろ」氏コメント返信

予定を変更して返信をさせていただくことにした。当方の言葉で書くと繰り返しになってしまうかもしれないので、「平ねぎ」さんという方が中心になって「技術の杜」という掲示板で新国立競技場の技術面を論議しておられた内容を引用して説明させていた頂こうと思う。
またろさん、そういう次第なのでよろしくお願いします。

専門:耐震構造、耐風構造、構造振動 
資格:技術士(総監、建設)、1級建築士、コンクリート診断士他

またろさんコメントから①~④の項目を設定。②は追加論点。(論点はまだ有りますが別途)
これらについて、<>内は平ねぎ氏コメント、→以降が当方コメントです。
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①>「風や地震」の影響
<竹中も大成も受けたくなかったと思います。
きつい工期で技術課題は山盛りです。
スパン370mのアーチ建築などやったことないですから。
事故を起こしたらそれまでです。
安全に施工できる保証はどこにあるんです?
国内最大のアーチ橋でさえアーチ支間380mですからね。
アーチは閉合してしまえば安定ですが、それまでは不安定です。
地震と風が怖いです。とくに風が心配。
最大張り出し時に軸直角方向に風が吹いたらどうします?
面外に支持するものは何もないですよ。
ベントは鉛直荷重を支えるためのもので、水平力には抵抗しませんからね。
アーチは充腹矩形断面なので抗力係数は大きいですよ。
円筒はCD=0.7程度ですが、充腹矩形断面の場合は辺長比によりますがCD=2.0はあるでしょう。
トラスではないので風が抜けないです。受風面積は大きいです。
ザハ氏はこういうことを考えて発言しているのですかね。  
 平ねぎ  ++.. 2015/07/30(木) >
→当方も全く同感。建築後も風や地震が問題になることを書いた記事が”ZHAビデオ論点3,4 標準的橋梁建設技術との比較”(8月31日)の”論点3:横風・地震対応”になります。

②>工期
→これは、またろさんのゼネコンに関するツィート(『』内)から論点を追加設定。
『 またろ @… 10月14日  
施工者についてもECIの技術協力者選定コンペで点数付けされて選ばれているにも関わらず、最初から工期オーバーの工程表を出したり、設計と施工の見積額のギャップに対しても今になって「施工期間の余裕がもらえればコストダウンは可能だった」とコメントするのは、信義にもとるのではないか。』
『またろ @… 10月14日  
この点については、以前は自分もかなり施工者側の肩を持つスタンスだったが、だんだんいろいろわかってくる中で、支持する根拠は失われていっている。正直私は施工者に対してかなりの疑念と怒りを覚えているくらいだ。』
→ザハ案の顛末に関して、ゼネコンの対応は概ね評価できると考えています。その理由を内藤氏研究の後に続けて書こうと思っていましたが、平ねぎ氏が当ブログで「並行工事問題」を検討した記事を引用して「同じ考え」と言って頂いています。
キールアーチは並行工事のメリットどころか工期の増大をもたらすため、ゼネコンはそれを見込んで見積りせざるを得なかったと云うのが当方の見方です。その検討もほぼ出来てますが、特に竹中はキールアーチ関連の高所作業とその下側での作業が並行進行する場合において、「安全性」の問題に相当気を使っていたようです。
なお、平ねぎさんは辛辣な物言いをされる方のようで、「いまだにザハ案がベストといっている似非建築家」と書かれていますが、またろさんは「ザハ案ベスト派」ではないと思います。

http://blogs.yahoo.co.jp/kensyou_jikenbo/54992602.html(注:当ブログ7月31日記事)
私と同じ考えの人がいて安心しました。
このような声がなぜ大きくならなかったのですかね。
いまだにザハ案がベストといっている似非建築家がいるし。
ちょっと考えたらわかるけどねえ。  
 平ねぎ  ++.. 2015/08/05(水) >
→平ねぎ氏よりもっと辛辣に思い切って名前を出せば、当ブログで取り上げてきて「またろ」さんのTwitterにも出てくる藤村氏などはこれに当たると考えています。ただし誹謗中傷などで言及しているのではありません。根拠も示しています(9月10日記事”東京体育館アーチ(藤村龍至氏発言検証"など)。

そして将来を担う中堅クラスの方々がこれで良いのかと云う危機感を(勝手に)持っています。ちなみに藤村氏のことを知人に話してみたら「薄っぺらい人だね」と評していました。もちろん当方の説明の仕方によったと思いますが、「薄っぺらい」という言葉を久しぶりに聞いて余りにも的確な表現に納得。しかもこのように評される人が教育者でもあることは、「薄っぺらい人」の増殖になってしまいかねない。ただ、学生も賢いから後になったら本当のことが分かってくるかも知れませんが、一番伸び盛りの頃に残念な教育にならないことを祈っています。
更に筆を滑らせると「片山惠仁」氏という方が藤村氏を持ち上げておられます。
<片山惠仁  10月8日
しかし、本当に藤村さんの設計教育って、近代建築教育崩壊後のこの30年の「100人に一度の天才」を生み出すために99人に何も与えないような教育と明快に別次元の目標を明快に持っている。だからこそその教育像がナアナアにならないように学生に厳しくモーラル維持をもとめるんだろうな。>
多分仲間内の話と思いますが、Twitterなどでは外に出てきてしまいます。それにしても「学生に厳しくモラル維持を求める」とは驚き。前述の東京体育館アーチの件などは、やってはいけないモラル逸脱の言説そのものなのに。
そして片山氏もZHAビデオを解説しておられます。
この記事中で(14)までの項目については片山氏コメントがありますが、「■アーチ論 15)キールアーチによって工程を3カ月縮めることができる」には言及なし。前述の「工期3ヶ月短縮」の欺瞞を見抜けておられないようです。
またろさんは、千田氏との対談内容や今回のコメントからすれば、このようなグループの「良心」ではないかと、これまた勝手に思っています。ただグループの見方(ザハ案支持)の影響を受けていないとも言い切れないような・・・。
気を悪くしたかも知れませんし、多分すると思います。ただ、日本は少子高齢化の問題が叫ばれていますが、実際にはその中間における世代間の意識のズレが大きな問題と思っています。同期や年齢の近い仲間で集まってしまう。それ自体は自然なことですが、何時の頃からかその傾向が社会に大きな影響を与えるようになったのではないかと感じています。それで「世代」に注目しています。
更には今回感じた建築界に漂う(中途半端な)思想性、そのようなところからのつながりがあると思われる東浩紀氏や宮台真司氏などの中堅?論壇、もっと地道には「建築界」と「電子産業など物造り業界」での設計や開発に対する考え方や手法の違いなども書いていこうと思っています。
余りに無謀すぎて、その先の予定対象はもはや書けません(笑)こんな流れの中でやってます。

③>耐震
免震構造はダメでしょう。
こんなことをすればコストが際限なく高くなるし、地震時には却って危険。
キールアーチを免震構造にすることはできないので、免震装置の上にあるスタンドとキールアーチの動きがバラバラになって屋根が壊れる。  
 平ねぎ  ++.. 2015/08/05(水) >
→全く同感。免震について書いたのが10月4日記事”基本設計でもキールアーチ支持問題が継続
ただ、追加したアーチタイを免震にすることで、キールアーチも免震化して整合性をとった(ことにした)というのが「ZHA+日建設計」の言い分と想定されます。なお、日経アーキ記事に載った設計体制でアラップ担当分に「屋根構造」が入っているため、アラップジャパンも絡むかも知れません。

④>和田氏
< 和田は大変なことを言っています(3:28~…自民党PTビデオ)。
「11案の中にはできそうなものが二つくらいあるが、それが選ばれて東京にオリンピックが来たかというと、それほどインパクトのある設計ではない。だからザハ案を応援したい」
ザハ案はできそうにないけど招致するために選ぶしかなかったと言ってるんですね。
だれだこんなのに任せたのは。責任者出てこい(゜-゜)  
平ねぎ  ++.. 2015/08/01(土) >
→和田氏のこのような逸話は他にも有り、ザハ案ではいわば「色物」の役回りだったかも知れませんが、技術アドバイザーとして問題点を早く指摘できなかった責任は大きいでしょう。2014年JSCによる専門家への説明会で安藤氏はこう述べています。
<デザインの選考については、構造や設備、そして管理運営など専門の先生方にも相談して審査して頂き、ザハ・ハディドの案が良いのではないかということになった。>
構造面は技術アドバイザーの和田氏の役割でした。安藤氏は当然自らもやるべきでしたが、「和田先生に見ていただいた」と信頼しておられた。しかし、「建てられる」という和田氏見解の根拠は「ゼネコンならやれる」ぐらいと思われます(計算したら建たないでしょう、現に「ZHA+日建」自体がアンカーやめているし、アーチタイは又別途書きます)。ただし、良い面もあるとは思うので何時か和田氏についても書く予定です。

以上
思わぬ内容で驚かれたと思います、すいません。
[追記]
国際コンペにおける安藤氏の役割について誤解を広げる記事を書いているジャーナリスト(高野孟氏)がいて、平ねぎ氏がそれを引用しておられる。審査委員会に関して間違った憶測(邪推)が多く入っており、昨日審査委員会議事録を読み解いておいたので虚偽性がよく分かった。(→以降は当方コメント)
----平ねぎ氏コメント引用開始----
<安藤が独断で決めたんです。日本人を排除したしたかったのではないですかね。
妹島さんは安藤より優秀な建築家なので嫌われたのでしょう。
●審査委員長の横暴?
イラク系英国人の女性建築家=ザハ・ハディドによるデザイン案の問題点については、本誌No.708(13年12月2日号)で詳しく述べたので繰り返さない。問題はなぜこのような馬鹿げた案が選ばれたかで、東京新聞7月9日付が一面トップでスクープした最終選考の経緯を見ると、ザハ、豪州のアラステル・リチャードソン、日本の妹島和世の3案に絞られた中で、審査委員長の安藤がかなり強引にザハ案で押し切ったことが窺える。同紙はJSC に対して情報公開請求して審査委の議事録を入手した。
→安藤氏は強引にやっていない。引用されている東京新聞記事は以下。
それによると、2012年7~11月に行われた国際コンペには46件の応募があり、1次審査で11件に絞り、2次審査では10人の審査委員がそれぞれ1~3位に推す作品を投票したところ、上記3人の案が同点となって議論はもつれ、その中でハディド案については「特異な形態なので、賛否が巻き起こるだろう。神宮外苑全体の景観としては、異物が挿入された感は否めない」「スケール感や街との連続の仕方など、周辺環境との関係性を検討する必要がある」などの否定的意見も出されたが、安藤は、まず理由を示すことなく妹島案を除外して「この中では圧倒的にリチャードソン案とハディド案だろう」と断定、さらに「日本の技術力のチャレンジという精神からハディド案がいい」との最終判断を示した。
→2次審査上位3人は同点ではなく、1位にしたのがZHA4人・Cox3人・SANAA3人。
→安藤氏は1次審査では妹島案(SANAA)が1位、他の人の投票によってはSANAA1位もあった。また同氏は最終議論の際にまとめやすくするために「1位と2位を決めよう」と言ってZHA案とCox案を自分では提案した。またその前の議論でSANAA案に対する不安点が色々出ていて、外す雰囲気が醸成されていたことが議事録から分かるのに森本記者は見逃したようだ。

このような強引な決め方には、当人たちも不安を抱いていたようで、JSCの河野一郎理事長は、いろいろな懸念が先に出て来てしまわないよう選考結果の公表には「工夫が必要」と言い、また安藤も「発表の仕方としては強いインパクトを持ってこれを推すんだと言わないと、この委員会で少しでも揺れたこと[が表沙汰になること]でネガティブに受け取られるのは本意ではない」と、後々の世間からの批判を予想するかのようなことを言っていた。
→「真摯に議論して決めた結果を意思として伝えたい」という趣旨を曲解。

実際、JSCの内情に詳しい筋に本誌が取材したところ、「あれは安藤さんが1人で決めたんだから、彼が気が変われば引っ繰り返るんじゃないですか」と述べた。またある大物建築家は「ハディド案は安藤さんの作風や考え方とは開きが大きくて、なぜあんなものを採用したのか全く不自然。彼の評判に傷がつくことにならなければいいが」と語っている。
→これは東京新聞ではなく高野氏の「インサイダー」という雑誌の取材。東京新聞森本記者は中立的で以下のコメントを紹介。
<審査委員の岸井隆幸日大教授は「議論が強引に引き回されたことはない。一般論だが、議論を尽くして決まらない場合に、議長(委員長)がその役割を果たさなければならないことはそれほど不自然なことではない」とメールで回答した。>

平ねぎ  ++.. 2015/08/01(土)  
→技術的に鋭い平ねぎ氏でも高野氏の記事を吟味せず引用したりするのだろうか。この点ではノエル氏の「左翼系報道(ジャーナリズム)批判」に賛成(高野氏は以前からその典型、東京新聞森本記者は殆ど当て嵌まらないと思う)>
----引用終了----

追記以上、更に[追々記]
「またろ」氏ツィートを遡ったら新コンペに関連するかもしれない指摘発見。
「またろ @… 月18日  
首相補佐官の和泉氏と隈さんは、栄光学院で一個違いなんだー。隈さんと大成の社長は東大建築で同期。和泉氏は都市工で一個上、ふーーーーん。」
特に前段部分が注目され和泉氏が1年先輩。wikiによると「栄光学園」は鎌倉の中高一貫校で卒業生1万人中3000人以上が東京大学。隈氏監修で2017年新校舎完成予定。新コンペでは「日本らしさに配慮して木材の活用を図る」が入っており、隈氏は「和の大家」。出来レースは変わらないとはいえ推測補強になるか。或いは少なくとも和泉氏と隈氏が1年違いの先輩後輩の間柄で、話そうと思えば話しやすそうな関係ということが分かった。

追々記以上