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 59億円問題と政権(文藝春秋9月号記事検証1)

まず昨日の当ブログ記事に関して、最初は本文後段に「第3回検証委員会」開催が延びている件を載せていた。しかし、同委員会は9月4日(金)に開催されていたので、それに纏わる予測とともに削除した(自己補足コメントでもその旨記述)。

ただし、文藝春秋記事を考慮すると「検証委員会報告は生半可な内容では済まない」という当方見解は変わらない。これを更に説明すると、まず文藝春秋9月号記事の冒頭は次のようになっている。
<七月十七日、安倍晋三首相は二〇二〇年の東京オリンピックパラリンピックのメーンスタジアム計画を「白紙に戻し、ゼロベースで見直す」と宣言した。
世界的建築家、ザハ・ハディド女史の手になる新国立競技場の巨大にして斬新なデザイン。その見直しを頑なに否定した国会答弁から、わずか一週間で前言を翻すという前代未聞の方針転換だった。
当初コンペの条件だった建設予算千三百億円から、二千五百二十億円へと倍近くに膨れ上がった総工費に反発する名だたる建築家や、「神宮の森」の自然が破壊されると憤る市民団体から、一斉に歓迎の声が上がった。
前日の安保法案強行採決によって内閣支持率が急降下したため、「支持率浮揚に利用された」と批判する論調もある。だが、いずれも「新国立競技場」をめぐる問題の深刻さをとらえてはいない。今回の「白紙撤回」はとても手放しで喜べる事態ではないのだ。>

同記事筆者の由利氏は綿密な取材によって、森山氏や当方と同じく、「ザハ案では大きな問題があって建てられなかった」と云う白紙見直しの真相に到達していた(同記事の後の方でキールアーチの深刻な問題などが具体的に記載されている)。
だが前述の政府検証委員会の報告に率直な真実としてこれを書いたら、「安倍総理の白紙見直し表明は、追い込まれてからの已むを得ない判断で、決して英断と言えるようなものではなかった」となってしまう。幾ら本当でも容易に明るみに出せる話でないことは、皆さんもご理解されるだろう。

しかし、だからといって当り障りのない報告を出したら、国民に真相を知らせないことになる。国民第一で考え、真実を明らかにする思い切った報告内容にすべきで、そのためには政権も身を切る決断が求められる。これが当方の「生半可な内容では済まない」と云う見解の趣旨。
当然検証委員会が真相に到達する能力を備えていることが前提だが、特に技術系委員がやってくれることを期待。また検証委員会が真相に到達できなくても、官邸は本当の経過を知っているのだから、それが入っていない報告を検証委員会が出そうとしたら官邸から真相を伝えるぐらいの覚悟を持って頂きたい。

それでも官邸が目先の政権運営だけ考えて、国民の目をそらせる報告を出させたらどうなるか。
59億円問題」と云う、金額自体は表面に出ているが具体的追求は殆どされていない問題が有る。
既契約分の設計費で政府が「殆ど戻らない」としている費用。(金額はJSCが検証委員会に提出した資料から積算可能・・・設計(設計JV等)約36億4600万円+デザイン監修(ザハ)約14億7000万円+技術協力(ゼネコン)約7億9100万円 = 約59億7百万円

これが「既契約だから殆ど戻らない」だけで済むのか。今回の問題での実質的損害額は実際にはもっと大きいだろうし、日本の国際的信用失墜などの金額に換算できない損失も有る。少なくとも白紙化で直接的損害となった59億円の責任関係解明は今後失敗を繰り返さないためにも必須

政府は政権への影響を避けたいので、これまでの責任問題は曖昧にしたまま総裁選後の内閣改造による下村文科大臣交代などで政治的幕引きを図るのは確実。しかし、明確な損失である59億円問題まで、このまま忘れ去らせてしまって良いのか。国民資金無駄使いの最たる事例を見逃すのか。
まず河野議員はブログに「自民党行政改革推進本部長・無駄遣い撲滅プロジェクト」と載せていて、まさに無駄使いを追求する役割。ただし、与党だから難しい立場になりそうだが、筋を通してくれるかどうか対応には注目したい。

そして当然ながら野党の対応が重要。民主党でこの問題を担当する蓮舫議員HPでは、9月1日付けで「総理が白紙撤回で間に合うと判断した件について、根拠や見直しの経過などについて情報公開を求めましたが、相変わらず根拠の資料は存在しないとの回答でした」と書かれている。
文藝春秋記事に経過の内幕が載っている話を、まだ入り口レベルで追いかけている状態。従来の様に雑誌(今回は文藝春秋)のコピーを振りかざしながら国会質問する方が遥かに効果的。技術的問題が理解し難いのは分かるが、それなら姉歯事件で名を上げた民間建設会社勤務経験が有る馬淵澄夫議員に実際の追求を任せるなどすれば良い。

もし政府から真相を隠した検証結果報告しか出てこないなら、政権と野党の適切な緊張関係で真実を明らかにして貰いたい。政権の方はもう59億円問題は乗り切ったつもりでいるかも知れないが、甘い考えで検証報告を出すと、どう展開するかまだ分からないと思える.。

以上
[追記]
河野議員検証状況もブログで確認してみたが、最新の9月5日記事は「1300億円の根拠」でコンペ時の設定予算検証。このような検証も必要と思うが、肝心のキールアーチ問題が深刻化して59億円問題にも直接繋がる2014年や2015年の検証を、文藝春秋記事も参考にして早く取り組んで頂きたい。この辺を河野議員に伝えたいと思うが、1週間前に送ったメールには返信なく、やはり忙しい議員さんが日々膨大に入る情報から一個人の声を拾いあげるのは困難なようである。

なお、同ブログ8月18日記事「まだあるザハ案の疑問」のコメント欄に、「門岡 孝治」と云う名前(ペンネーム?)での書き込みがある。何の確証も無い内容なので引用は避けるが、当ブログ昨日記事[追記]の最後に少し書いた件とも絡めて見てみると、本問題の奥深さを暗示するようなコメント。興味ある方は御覧ください。

追記以上