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キールアーチの可撓長さ

昨日記事で河野議員ブログの検証経過報告に「キールアーチは地上に達しない長さで、250mスパン」と云う設計案があったことを記した。これをどう理解するかだが、そのまま読めば「地上に達しないキールアーチ」を持った仕様案があったことになる。

本日はこれを更に掘り下げて検証してみる。
まずJSC公開の基本設計説明書から、いつもの屋根フレーム図を引用する。この中に「サイドストラット」及び「ミニサイドストラット」」と云う構造材の解説がある。(ストラットstrut…支柱)

イメージ 1

サイドストラットの「キールアーチに生じる力を受け止め、スタンドに力を流す」も、昨日記したように不明な点が有るが、それは別途として、「ミニサイドストラット」の記述に注目してみる。
キールアーチの面外方向の可撓長さを抑えるために、スタンドの境界部にキールアーチとスタンドをつなぐ、ミニサイドストラットを追加している。

「面外方向への可撓(かとう)長さ」とは一体何なのか???
書いた人の意図は分からないから、当方独断で解釈してみる。まず「面外」の「面」は、「屋根の作る面」と云うことにしてみると「屋根フレーム上部が全体として形作る擬似ドーム状の屋根形状」が想定される。その「外」になると云うことは、地面に接していなくて両端支持のないキールアーチが屋根から垂れ下がる.ことを指しているのだろうか。そしてキールアーチが自重で曲がる可能性がある範囲のことを、「可撓長さ」と言っているのだろうか? 

言葉の定義からすると「可撓」は「曲げる(曲がる)ことが出来る」と云う意味になる。しかし、アーチ構造は基本的に荷重によって全体の変形(曲がる)を想定しているから、「可撓長さを抑える」と云う意味が不明になる。
そのため「自重で垂れ下がって曲がる」ことを出来るだけ防ぐという趣旨が、「可撓長さを抑える」と云う意味だと解釈してみた。ミニサイドストラットを無くして、その意味を出来るだけ分かりやすくしてみたのが下図左になる。
イメージ 2

ミニサイドストラットが有る場合は支点Aより下のキールアーチ部がフリー状態になり、曲がりやすくなる(可撓長さA)。同ストラットが無い場合は、支点Bと可撓長さBになると想定される。(この場合、話を簡単にするためにキールアーチとクロスタイの接続部は支点として考えていない)
また、ミニサイドストラット無しの場合、サイドストラットは上図右の表彰式プレゼン案にある「Secondary truss」に似てくる。しかし、Secondary trussはスカイブリッジを支える用途と思われ、サイドストラットは前述のように「地震や風の力をスタンドに流す」となっている。この場合、キールアーチに対して同じような位置にある同じような形状の部材で用途が違う理由もまだ不明。(なお、上図右でSecondary trussが一見「Bowl structure」を支えているようにも見えてしまうが、カット図のため手前側のスカイブリッジが省略されているので、そのように見えると思われる。この辺も又別途検証)

「可撓長さ」の解釈が、これで合っているかどうかは不明だが、検証にあたって図面を分析したり設計者からヒヤリングをする際などに、このような疑問点を先に抽出しておけば調査が容易かつ確実になる。
図面入手やヒヤリングも可能になると思われる「自民党行政改革推進本部長・無駄遣い撲滅プロジェクト」の河野議員の下で、是非このような取り組みをやって頂きたいと思う。(過去にも何度か関係者を呼んで調査を行っておられる)

なお、今朝のニュース記事で自民党谷垣幹事長の発言が出ている。
温厚の評価がある谷垣氏がこのような皮肉を言うのは、自身がまだ安部総理退陣の場合に禅定の可能性があることを意識して、河野議員のような次世代リーダー候補は抑えておきたいという意図か?(実際安部総理早期退任は当方も想定あり)。或いは河野議員が一言居士として自民党内で煙たがられている面が以前からあったためか。

しかし、ここは河野議員の踏ん張りに期待したい。そのためにはまず政府が出来ないことをやって、能力と行動力を見せつける。これだけ問題になった新国立競技場の経緯調査を政府の検証委員会とは別個に実施して、本当の経過や原因・責任などを早期に公表すれば政府だけでなく国民からも理解が得られる。是非思い切って取り組んでいただきたいと思う。(当方も昨日と本日記事を河野議員HPに送付)

またZHAビデオは良く出来ているが、ここ数日検証してみて、そして先月から全体を検証して来て、やはり中間段階の基本設計(或いはフレームワーク設計も)において、何か設計上の混乱が起きていたように受け取れる疑問点や矛盾点が幾つもある。これらはビデオで触れられていないため、全体として違和感が拭えない。
日本側の設計部分だとしてもザハ側は監修者として関わっているし、ザハ側基本コンセプトからの問題(例えばアンカーの有無やアーチタイ追加等)ということも有り得る。相当な金額の報酬を得て責任もあり、自分たちに良い所取りだけでは困る。
しかし、多くの疑問点を含んだままZHA側主張はYoutube等で世界にも発信され、日本の信用にも係る問題。真相を明らかにしておくことは国民のためでも有り、河野議員の立場に付随する調査権限を活かしていただきたいと思う。

以上
[追記]
ゼロオプションも示された自民党行革推進本部の提言で、検証に関しての記述もあった。
検証作業については、9月上旬に最終報告を行うが、中間段階の現時点においても、旧計画の策定にあたり、いくつかの問題があったことが浮き彫りになった。
政府の検証委員会とは別に自民党の検証結果報告が出るようである。これは本文にも書いたように大歓迎。ただ、「金目」中心だけでなく、それにも絡む基礎的問題である技術面検証の深堀りを是非やっていただきたい。

追記以上