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 ネット上の自己顕示欲

犯行やその後の行動に大きく影響を及ぼすことが有る自己顕示欲について、片山氏の場合を考察してみる。

まず甲社に就職してからの片山氏は社長や同僚から「あいつには(本事件は)無理」と云う生越氏の初印象と同様に普段からも見られていたようで、自分の出来る部分のアピールも余りしていなかったことが考えられる。
また逮捕後は生越氏曰く「自分の無実を証明するためには、自分が『無能』であることを主張しなきゃいけない」という事態になった。
自己顕示欲が人並みぐらいでもあれば、自分がやってのけて世間も注目した(善悪は別としての)成果に対して、「自分ではない」と主張して「無能」で通すのは苦痛の面もあるだろう。それを彼はやすやすと出来たし、また元々抜けている面が多いから、出来る面を少し隠すだけで良かったということも云えるかもしれない。

他にも彼の各年代における自己顕示に関係すると思われる参考資料を3つ挙げる。
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(1)論告求刑の報道で以下の様な記事があった。
”遠隔操作 片山祐輔被告に懲役10年求刑”日本テレビ系(NNN) 11月21日
「犯行声明メールなどで犯行をひけらかし、インターネット上で称賛されることで、ゆがんだ自己顕示欲を満たしていた」
(2)本事件第12回公判(前科時裁判内容含む)。
<――のまねこ事件は? 
のまねこ問題で、祭状態になって、いろんな書き込みがあった。そこに「燃料投下」と言われる行為をした。祭をさらに大きくしてやろうという気持ちです。
――本件でも「燃料投下」を言える行為があったか 
一連の事件では、10月に遠隔操作だと言われ始めたところに、(犯行声明の)メールを送った。>
(3)本事件第12回公判からもう一つ。
<――S先生の調書によれば、あなたは小中学校から学校には居場所がなく、友だちがいない。中学受験で燃え尽きた。授業はおもしろくないが、ネットでは尊敬され友だちもいる、と。 
尊敬されていたかはともかく、ネットゲームでは友だちがいた。いつもゲームの世界で一緒に遊んでいる人がいた。 >
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会社や逮捕後における「大したことは出来ない」という印象とは別に、「犯行声明メール」や「ラストメッセージ」は自己顕示欲があるから出したものだろう。例えばラストメッセージではCSRFでの自分の工夫を詳細に書いている。また、謹賀新年・延長戦メールにも(余りセンスが良いとは思えないが)自作パズルを付けたりして、自己顕示欲が見えると思う。
彼は自分で「祭状態」を作り出しつつ、燃料投下で更に大きくさせて歪んだ自己顕示欲を満足させていたということになりそうである。又ネットゲームなどの世界では、片山氏自身は謙遜しているようだが、仲間内では相当知られた人物であったことは間違いないだろう。

以上を総合すると、片山氏は基本的には自己顕示に対して余りこだわらないが、自己顕示欲が無いわけではなく、「ネットで認められれば良い」ということが特徴なのかも知れない。

なお、先日ご紹介したように小学校時は次のようなエピソードもあったようである。
習っていない数式を自慢気に発言して、先生にたしなめられたりしていた
彼の今までの人生でのピークであったと推測される小学校時代は、頭の良さに自信を持ってこのような振る舞いをしていたと思われ、幼いながら自己顕示欲はそこそこ有ったことが想定できる。
ただ、中学校になると<ネットやゲームに熱中し、成績は高校にエスカレーターで進学できるかどうか危ない域まで落ちた>とのことで、中学受験挫折と成績低迷で自己顕示欲が発揮できない状況になって屈折が始まり、ネット上での発散に向かったことは考えられそうである。

このような心理面を検討していくと、やはり片山氏から長時間話しを聞いた長谷川氏鑑定書の内容が気になる。世の中に必要なものだと思うので、いつか日の目を見ることは間違いないと個人的には見ているが、いつどのような形になるか。

以上
[追記]
秋葉原事件も以下Wiki記述のように、ネット依存から発生しているようである。ネットは孤独を埋められる反面、依存し過ぎると問題も発生する。難しい状況になってきたものである。そして問題を抱えたまま、ネットはますます高度化・多様化し続ける。
「心のよりどころとしていた携帯サイトの電子掲示板で千回を超える書き込みをおこなっていた。成りすましによる偽物が現れたために次第に孤立感を深めていった。掲示板の成りすましによる偽物に間接的に攻撃するために大事件を起こすことを決意して実行した」

追記以上