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 TBSラジオ記者傍聴報告文字起こし

昨日TBSラジオ番組のビデオアップとしてご紹介した「崎山敏也」記者の傍聴報告は、他のマスコミ報道では得られないまとまった公判情報として非常に貴重なので、文字起こしを行なってみた(敬称略)。

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崎山<今回の場合、途中で片山被告が「全部自分がやりました」と云うことで、基本的に事実関係に争いは無いわけです。だから1時間もかからずに求刑を言い渡すのかなと思っていたんですが、実は2時間近くかかったんですね。
というのも最初の20分ぐらいで大体我々はこういうことを証明できたと検察側が言うのは終わりまして、残り1時間半ぐらい如何に片山被告に情状酌量の余地が全く無いかということを、延々と42ページある論告書の内34ページが「情状の酌量をする必要が無い」と云うことに費やした。
はっきり言ってもう同じことしか言ってないんですけどね。サイバー犯罪史上まれに見る卑劣で悪質な犯行である、例えば犯行の経緯や動機には全く情状酌量の余地が無いとか、或いは犯行予告(当方注:自殺予告・謹賀新年・延長戦なども含む?)のメールを送って捜査を撹乱したり色々しましたよね。
或いは自分が犯人ではないということを証明しようとしたり、そういったこともやはり卑劣で悪質であるとか。それから社会に与えた影響、つまり彼のために誤認逮捕されてしまった人がいるわけですね。しかも自白までしてしまって起訴までされてしまった人もいる。
そういう人たちのことを、言ってみればパソコンの前に座って黙って笑って眺めていた、それは卑劣で悪質である、という感じで最後にはこれは常習的犯行であって、彼の歪んだ人格を治すには厳しい刑を与えるしか再犯防止は出来ないと云うことで、懲役10年を求刑すると云うことですね。
彼は偽計業務妨害とか威力業務妨害とか、幾つかのウィルスの供用とか、幾つかの罪で起訴されているんですけど、その中にハイジャック防止法違反、要するに「飛行機を爆破するぞ」と云うことで飛行機が実際に引き返したりしているので、その罪が最高刑10年ということもあるので、多分その辺りを意識して、これは検察官がはっきり言ったわけじゃないんですけど、想像するにこれは意識して10年が最大かなと云うところだと思いますね。>
司会<割合(当方注:論告書の割合と思われる)とか言い回しとか見ていると随分と検察側も憤りを今回ぶつけているなというような・・・>
崎山「憤りしか無かったですね、事実上。もう勝ち誇ってる感じですね、どちらかと言うと。要するに最初の事実認定は20分ぐらいで終わったんですけども、別に彼の自白がなくても、我々がこれまで集めた証拠、決定的な証拠というのは無いんですけども、情況証拠で事実関係は充分説明できている、とそういう風に言っていましたから、事実上の勝利宣言では有りますよね」
司会<意地を見せたというような・・・>
崎山<そういう面もあると思いますね。つまり、サイバー犯罪に対してこれだけのことを、最初はちょっとしくじったわけですけど、つまり彼が送って誰かのパソコンを借りてなりすまして掲示板とかに書き込んだものが、結局なりすましであることに気付かなかったわけですから。それで被害を広げてしまったわけですから、云ってみれば最初は警察の黒星だったわけですけど、この件(当方注:片山氏有罪)に関しては「勝ったぞ」と云うこと、「それは最初から分かってたぞ」と。例え彼が否認をし続けたとしても、「我々は充分な証拠を集めていたぞ」と云うことだと思いますね。>
司会Twitterの反応は殆ど同じような反応が続いているんですけど、「誤認逮捕は警察のせいじゃないですか?」>
崎山<そこは難しいところですが、きっかけを作ったのは彼だけども、例えば逮捕(当方注:誤認逮捕)しても要するに無理やり自白ですよね事実上、やってもいないことを自白してしまうわけですから。それはもうずっと日本の警察・検察の取調べで続いてきた、要するにやってないけども言ってしまう、自白してしまうという構造がここにも表れてしまった。ただ検察側としては、弁護側があたかも「『警察がしくじった。警察が無理やり逮捕したことが被害を拡げたことになったんじゃないか』と責任を転嫁するようなことを言っている」と云うように論告では非難していたんですね。
なので、それに対しては弁護側もさすがに「これについては反論の余地があると思います」と云うふうに言ってました。まあどういうふうに反論するかは多分いま考えているところだと思うんですが、とにかく 「全て我々が正しい」、「弁護側の主張は根拠が無い」と云うことですね。>
司会<裁判中の雰囲気というのはどうだったんですか?>
崎山<片山被告はずっとノートを持っていて、A4版ぐらいの大きなノートを持っていて、最初はメモを一生懸命とってたんですけども、ちょっと落ち着きがなくて、我々の方を見たり、ノートの前のところをペラペラめくってみたりして確認するような素振りがあったり、と云うことでちょっと落ち着きはない感じで、ただ特に弁護人と相談することも無いのかなあという感じで、僕も色んな裁判を見てきましたけど、やっぱり切羽詰まったり、何か困ったりした時には後ろの座っている弁護士と話すシーンというのはよくあるんですけど、そういうのも無かったですね。
それは弁護士の方も終わった後の記者会見で・・・(当方注:これ以降は弁護団会見の話になったので、実際の会見ビデオが出てきてから参照することにして文字起こしはここまで)>
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以上であるが、内容検討は別途行うとして、<42ページある論告書の内34ページが「情状の酌量をする必要が無い」と云うことに費やした>という説明で、同じく傍聴した江川氏の以下ツィートがよく理解できたと云うことは言えるだろう。実際の論告書の内容を見てみたいものである。

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<Shoko Egawa @amneris84   11月21日    
【PC遠隔操作事件】検察の論告は、「類を見ない悪質さ」「捜査機関を愚弄した」など、同じフレーズが繰り返し繰り返し繰り返されていて、もう少し推敲した方がよいと思った。検察の憤りを繰り返しで表現したかったのかな、とも思うが…>
<Shoko Egawa @amneris84  11月21日    
事実関係・犯人性のところは、分かりやすく過不足なく書けているのに、情状の部分が冗長。しかも「類を見ないほど卑劣で悪質」なんていう最上級の形容は、被害状況や関係者の供述を淡々と綴って、最後に一回、バシッと言うから効果的なのであって、のべつまくなしに連発していると、「あ〜またか」状態>
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以上