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取調べと裁判

6月1日記事"真実3(取調べをやっていたら)”で取調べを行った場合を考察してみたが、現実には検察は取調を行わず、裁判で決着をつける道を選択した。
この選択にたいして当方は全く疑問に思う。

公判に入ってから示された証拠の量は圧倒的である。
佐藤氏の全開示証拠同意という豪快な手法がなかったら、もっと色々な証拠調べが行われて詳細が明らかになっていた。
昨年6月末に行われた東京地検の捜査終結記者会見で、次席検事が以下のように述べている。
予断と偏見を持たずに証拠を見れば、誰でも片山さんが犯人と考えるはず。彼が犯人ではないとは考えられない。

ここまで自信があるなら、裁判で決着付ける前に取調べで被疑者を落として自供を得て、実質決着付ければ良かった。
検察の中の誰か、或いは複数が信じられない選択ミスを行ったということになるだろう。
また取調べで、膨大な証拠が有って黙秘ではない被疑者を落とせないとしたら技量不足。
取調を行って証拠を示し自供を得るという捜査の常道を選択するごく当たり前の判断力と、取調べ技量が無いということを検察が自認したと言わざるを得なくなる。

ただ、上記の会見で次席検事は以下のことも述べている。
<4人を誤認逮捕した経緯もあり、特に慎重に事案の解明を進めてきた。>
これを読み解くと、誤認逮捕だけでなく逮捕後に「事実ではない自白」があった経緯から、無理して取調べをしなかった、と云うようにも当方には受け取れる。
もしそうだとしたら全くの考え過ぎであり、ミスの上塗り。
「羹(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く」(ある失敗に懲りて、必要以上に用心深くなり無意味な心配をすることのたとえ)のことわざそのものであろう。

そして、取調べ可視化に関しては、最高検察庁は試行を行ったこともあり、特例でやれたのではないか。
(誤認逮捕と虚偽自白があった事件という理由で特例化して、本事件は可視化出来たのではないか)
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4.最高検察庁 可視化試行検討
  ・"取り調べ可視化。最高検が、試行結果を公表" 毎日新聞 2012年7月4日
      → 最高検は特捜部などの取調で91件もの試行を行なっている。    
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取調べをやらなかった経緯は今後のためにも明らかにすべきと思うが、この事態でそれも無くなったのは残念。
なお、取調べを行った場合は6月1日記事で述べたような事例だけでなく、思い切って言えば、母親の協力も得ることが出来た可能性がある。
同記事のcar*o*pre*_0*15さんのコメントのあるように、「嘘をつく時の癖は昔から知っている」と母親に言われたという報道もあった。
ただし、母親に嘘を見抜いてもらうと云うのではなく、彼が嘘をつくということを身内として知ってるなら、「今回も証拠から嘘ははっきりしているので、いたずらに裁判で長引かせるより、お母さんからも説得して頂けませんか」と依頼してみることも出来たと思う。
これは逮捕後に警察がやったという「親子の縁切り状」の件とは違って、被疑者のことも母親の事も考えた真っ当と言える方法であろう。
また、具体的証拠として、当ブログ昨年10月30日記事”大晦日行動の時系列的検討 ”などで示したように、大晦日に謹賀新年メール用のファイル作成が色々行われていた。
「母親と一緒に紅白歌合戦を見ていた」という主張は、片山氏の犯行と判明したので成り立たないアリバイだったと云うことになる。
よって紅白歌合戦をある程度は見ていたとしても、断続的にでも(多分自室等で)PC操作しないとファイル作成は出来ないから、母親は完全なアリバイでないことを知っていたのではないかと思われる。

検察が母親聴取して、(当方が調査したよりも)詳細な時系列の事実を示して母親に考えてもらえば、親として苦しいことだが真に息子のためになるということで、アリバイが成立しないことを話してくれたかも知れない。それによって片山氏を説得できる。
そこで思うのは、検察はもしかして母親も聴取していないのではないだろうか(母親聴取したという報道は全くなかったと思う)。
もしそうだったとしたら、判断ミスもここに極まれりと云う感じである。
これらの経過全てが、今度の事態で闇に葬られる。

また、逆に片山氏自供の事態で明らかになったのは、「嘘を平気でつける」と本人が言っていること。
ただし、検察側は我々には見ることが出来なかった膨大な証拠から、「片山氏の主張は全て嘘」と逮捕当時から認識していたことになる。
被疑者の言ってることが全部嘘と分かっていれば、そういう犯罪者は数限りなく扱っている検察だから、取調べで矛盾を突いていって容易に落とせただろうし、落とせないわけがなかった。
黙秘や虚偽自供だと対応が難しい場合は有るかも知れないが、無罪主張の根拠が虚偽だらけなら追及はお手のものだろう。
得意なことをやれば良かっただけだし、不得意と思われるIT技術面に関しても公判で出て来たように警察も含めたら優秀なサイバー捜査官がいるのだから、協力してやれば良かった。

なお、本事件関係だけでなく、片山氏の嘘が日常ではどうだったか?という点も心理を推測する上で重要だが、明らかになっていないと思う。
友達も多いというから、嘘が多ければ友達は離れていくので、友人に対してはそのようなことは無かったという可能性もあるだろう。
そうなると心底からの嘘つきでは無いことになるし、矯正もしやすくなる可能性がある。

ただし、仕事上で「出来ていないのに出来ている」と言っていたのは嘘になるし、職場でTorや個人的検索などをやっていたのも、嘘をつく傾向の延長とも言える。
仕事面ではもう一つ、診療内科受診の件がある。
業務のストレスとはいえ医者に行くほどの「うつ」的状態?ならば、ソフト開発ということでは同じなのに、トロイは何故バリバリ開発できたのかという点について当方は以前から疑問を持ってきた。
当時は捕まるとは思っていないから犯行の隠蔽ではなく、仕事の遅延理由として診療内科受診を使おうとしたのではないか、つまり詐病の可能性。「平気で嘘がつける」となるとその可能性も無いとは言えなくなる。
ただ実際に医師まで騙そうとするかという点では疑問もある。
担当医の証人尋問がいつになるか分からないが、行われた場合はどのようなことが明らかにされるか。
また、現在行われている取調べで、片山氏自身が心療内科受信の経緯も含めて、どこまでトロイ開発の経過を説明していて、それが公判等でいつ頃明らかにされるか注目される。

以上