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証拠の厳密性と盛り方

昨日記事の「埋まっていた深さ」の件であるが、検察・警察側に「何故土台下から測った深さか?」と質問したらどう答えるかを推測してみる。
理由として、「地面が斜めに掘れているので、埋まっていた箇所直上の地表位置特定が難しい」ということが考えられる。

つまり、厳密性を重視して、確実な基点である土台下部からの深さで表したのではないか。
もしそうであれば一定の納得性はある。
しかし、穴を掘るのは地表からであるから、同時に「地表からは約◯cmぐらい」というような説明を付加することは必須。
また、厳密性で言えば、USBメモリは細長いから「深さの数値はUSBメモリの中心点までか、或いは最上部か最下部か」ということや、そもそも「USBメモリはどのような姿で埋まっていたか」というような点も明らかにしないと詳細な数字は出ないはずである。
しかし、示された図はポンチ絵レベルで、とても厳密とは言えず、正確性は判然としない。
結局検察側は、ある部分は厳密にやって、他の部分はそうではないことになる。
このような使い分けが、他の証拠でも検察側の主張に都合良く恣意的に行われる可能性が否めなくなる。

加えて、第6回公判においては検察側が証言を都合良い方向に「盛っているのではないか」という疑念がある。
証人M氏は弁護側反対尋問によると、「平成25年6月15日付警察官調書」と「同4月24日付検察官調書」で、「100行程度のプログラム」及び「関数は一つ」と供述しているとのこと。
しかし、検察側主尋問では以下のやり取り。
  「ソースコードのボリュームはどれくらいか」→「200行くらい」
  「関数はいくつ使われていたか」→「2つか3つくらい」

肝心のソースコードをM氏は検察から見せられていないというのに、調書から1年ぐらいも経って証言の数字は検察側に都合の良い方向へ2倍以上になっている。
検察側はM氏と事前打ち合わせを行っているということだが、M氏は法廷でも記憶が曖昧だった。
それなのに都合の良い方向に数字が増えているということは、事前打ち合わせで証言を盛るような誘導があったのではないか、という疑念を持たれても仕方がない話である。
個人的には「ここまで露骨にやるのか」と驚きを禁じ得ない。
裁判長も自ら尋問したが、M氏から明確な答えは得られず、”健全な社会常識”に立って裁判長はどういう心証を持っただろうか。

このような例だけではなく本事件では特に検察側の問題点が色々見えて来ているが、弁護側・被告人にも問題点は存在する。
特に、以前から繰り返し述べてきているアリバイ検証の問題は、弁護側にも大きな課題となる。
検察側は丙社からのLogMeInアクセスもあると主張していることが明らかになった。
リモートアクセスでもほぼリアルタイムと想定すれば、検察側主張に対するアリバイ証明対象日時は更に増え、それらも含めてアリバイ可能性を探せることになるので、片山氏には思い出す取組をして貰いたいと思う。

なお、話は戻るが、M氏が貰ったというソフトの「SQL REPLACE」という名称は、主尋問におけるM氏証言の”画面と機能の関係を表にするツール”という説明とは直接つながりにくいように思える。
片山氏が述べた「「タイトル通り、SQLの特定パターンをある文字列に置き換えるものだったと思う」という方が納得性があり、検察側はここでも盛っているのではないかという疑念が出て来る。
個人的にはM氏証言全体に関して、検察側は逆効果ではないかと思えるぐらいの盛り方に感じるが、裁判長はどう捉えるか。

また、どちらかが真相かは別にしても、検察側は「クロにする」という一方向からだけ考えるのではなく、弁護側や被告人の主張も踏まえた上で、それが間違っているなら明確な理由を示して証明しておいた方が、結果的に検察側の主張も分かりやすいものになるだろう。
検察・警察側は権限も能力もあるのだから、正攻法で王道を貫いてもらいたいと思う。

以上