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「うつ状態」と「抑うつ状態」

rec*lde**des*さんご紹介の「検察側要旨の告知」の中に「抑うつ状態」があり、当ブログで先日適応障害やスランプについて書いた後に、「うつと抑うつ」の違いについても調べてあったので本日参考に記す。

まず、検索してみても「抑」の有り無しの違いを明確に説明したサイトは見つからなかったので、参考例として以下の①と②を示し、その後に当方考察を述べる。
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①”「うつ状態」と「抑うつ状態」”
(内容抜粋)
・No.1回答
ほぼ同意味だと思います。医学的な違いは、分かりませんが。
私の場合、うつ病ですが、会社への診断書には「抑うつ状態」と書いてあります。従って、世間的には「うつ状態」と言うよりも、緩和した言い方が「抑うつ状態」だと思います。
・No.3回答の「この回答へのお礼」
抑うつの「抑」は「うつ」を抑えてるんじゃなくて
「気分」を抑えてしまった結果、うつっぽくなる…ということですね、
 一番わからなかったところを教えていただきありがとうございました!
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②”精神科医おがたのブログ"うつ状態うつ病の違い "
(内容抜粋)
(1)「うつ状態」とか「抑うつ状態」の違い
診断書に「うつ状態」とか「抑うつ状態」と書くことがあるが、
これが「うつ病」と同じなのか違うのか、わからない人がいると思う。
「抑」の字にたいした意味はないので、うつと抑うつはまったく同じだが、
うつ状態抑うつ状態)とうつ病は違っている。
それは○○状態と○○病の違いである。
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[考察]
この①と②に対する当方の捉え方は以下になる。
  ①世間一般における「うつと抑うつの違い」の認識例が出ている
  ②「うつと抑うつはまったく同じ」と言い切っている
   (うつ状態抑うつ状態)とうつ病の違いの方は[追記]で後述する)

全体的にややこしい話なので、先に当方考察の結論を示す。
  ①…誤解に基づく認識
  ②…正しい認識

なぜこういう見解に至ったかの理由は以下の通り。
(ⅰ)「曖昧な話は原典に当たれ」というのが当方のモットー。
   この場合の原典は英語での表記と考えて調べてみた。
        「うつ病」・・・depression
   ただし、Wikiでは次のような解説が付いている。
   < 「うつ病」に相当する英語は"Depression"であるが、"Depression"は疾病全体を指すこともあれば抑うつ気分などの症状、さらには一時的な落ち込みなどを指すこともあり、日本語の「うつ病」と完全に同一ではない。>
 (ⅱ)depressionを分解してみる。
    de・・・ …を減じる、…の地位を下げるなど、下降を表す
    press・・・押すことを表すラテン語premerから
 (ⅲ)「」を調べてみた。
    上からおさえつけてとめる。おさえる。「抑圧・抑止・抑制・抑揚・抑留/謙抑」

[結論(仮説)]
上記で先に述べたが、「うつと抑うつはまったく同じ」という②の見解が正しいと当方は考える。
日本語の「うつ」は「気分が落ち込んだ状態」と捉えることが出来て、「落ち込む=下がる」ということで「下方向」という意味や語感を含んでいる。
しかし、英語の方では「press」は「押す」だけで、方向は含まれていない。
それに下降を表す「de」を付けて、下がる方向のpressであることを示していることになる。
そこから、日本語でも「depression」に合わせる形で、元々の「うつ」と云う言葉に「抑」という上からおさえつける方向性を示す語をあえて付けたのではないかと思う。

よって日本人からすると、「抑」と「鬱」で下げる方向であることが2重に被るため、「抑の有り無しの違い」に対する認識に混乱や誤解が生じる。
しかし、英語の「de」は「press」の方向を表すということで必要である。
結果的に、日本の学問は医学も含めて外国語が元になっていることが多いから、日本人は「うつ」だけで語感として分かるものを、出来るだけ英語に合わせる趣旨で下方向が2重になるが「抑うつ」という表現が出てきたのではないか。
そして、漢字の「鬱」が画数多すぎて「うつ」に変わって来たが、ひらがな表記2文字だけの「うつ」では軽すぎる印象にもなるだろう。
抑うつ」の方がもっともらしく聞こえるなどの理由も重なって、診断では「抑うつ」という名称が使われるようになったのではないかと推測される。これが当方仮説。 
仮説なので、皆さんのご意見大歓迎で、参考にして更に検討したいと思う。

以上
[追記]
「うつと抑うつの違い」に加えて、「(抑)うつ状態」と「うつ病」の違いがあるので更にややこしくなる。
検察側はこの辺から生じる誤解を印象操作的に利用する可能性がある。
ただ、それは恣意的というより、上記①のような誤解を検察官も持っていて自然に出てくることもあるだろう。

今回心療内科の主治医が予定を変更して証言に立たなかった理由は分からない。
しかし、特にiesys開発の大部分が行われたと想定される一昨年7月時点で、「プログラミング能力にどの程度影響をあたえる精神状態だったと推測されるか?」について今後どう証言するか注目される。(証言が最終的に再設定されるかどうかは不明だが)

ちなみに当方の捉え方としては、「うつ病」では殆どプログラミング作業は困難になると考えられるが、「(抑)うつ状態」でもプログラミングという精神的集中を要する作業には相当な影響を与えるのは間違いないと思われ、要は「影響の程度」の問題になる。
医師はプログラミング作業自体は余り知らないだろうから、本当の影響は分からないかもしれないが、医師の経験に基づく推測は聞いてみる価値があるだろう。

しかし、検察側は影響の程度より「うつ病うつ状態か」を前面に押し出そうとしているように受け止められ、<「うつ病」だと病気だからプログラミング困難だが、「うつ状態」は軽くて余り影響ないのではないか>というような印象操作が行われそうな危惧は感じる。
弁護側の「うつ病」という発言に対して、「適応障害」と言い返したというようなところにそれが現れていると思う。
(但し、正式な「うつ病」では無いだろうから、「うつ状態」との表現が妥当と思われ、最終的には程度の問題になる)

なお、「適応障害」については当ブログで以前に書いたように、「うつ病うつ状態の原因を表す表現であって、症状の違いを表すものではない」という論理を、医者が分かっているのかどうかも重要。
その点で医師調書記載の「抑うつ状態であり適応障害である」は適切ということになる。
医者にも色々あるから、主治医がどういう人でどういう証言をするかは裁判のポイントになる可能性がある。

追記以上