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コメント返信続き(業務状況)

コメント返信の続きは、③被疑者人物像、④被疑者業務状況であるが順番を変えて④から述べる。
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④被疑者業務状況
江川氏傍聴記事から長くなるが引用。前提として必要だが、読まれている方も多いと思うので、その場合は飛ばしていただきたい。
本日のポイントはこれに付け加える情報があるということである。
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〈5 月、6 月ごろから業務でスランプ状態に陥りました。11 月からそれまで作ってきたものを土台に、新しく上から言われたとおりの改修や機能追加していくことが私の仕事でしたが、「前に作った部分に機能変更したら全体がうまく動かなくなった」「新規に作る機能部分もどこから手をつけていいのかラチがあかない」といった具合です。単純な私のスキル不足、一人で担当するにはシステムが大きくなりすぎていた、そういう事情もありました。次第に、「前に自分で書いたプログラムすら読めない、新しく書くのも困難」という不調の沼にハマっていってしまいした。
検察官の証明予定事実にはそのあたりの期間、「業務にほとんど従事していなかった」とされていますが、決して遊んでいたわけではなく、あくまで本来の業務を試行錯誤したり、前のものを作り直して後退したりと、苦しんでいました。その状況を報告せず、チェックが甘かったことから、できていないものを「できました」と報告する等、自分では抜け出せない状態になっていました。
しかし、乙社での人間関係は良好で、同僚の何人かとはプライベートでも遊ぶようになっていました。5 月の私の誕生日にはケーキを買ってきてくれたりもしました。
そういった雰囲気の良さと、実際の仕事の進捗に問題があることのギャップに追い詰められて行き、7 月から心療内科を受診するようになりました。〉
〈バグだらけだったとしても、私なりに作業を進めていたのであり、それなりの成果物は存在するのです。是非とも、当時の私の成果物が何だったのかを確認してほしいと思います。そうすれば、当時私がiesys.exeを開発作成していたのではないことが分かって頂けると思います。〉
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ここまで具体的だと状況がよく分かってきた。
更にこれに続ける形で被疑者が述べている内容がある。(被疑者発言そのままではないが信頼できる情報)
北海道旅行に出るちょっと前ぐらいに、進んでいないのがバレてきて、見た目は出来ていても動かしてみるとバグだらけだったりしたので、相談の上,他の人を手伝いに回してもらうことになり、大変な迷惑をかけてしまった >

江川氏記事内容にこれが付加されると、「被疑者は殆ど本来業務をやらずにiesys.exeを開発していた」とは、もはや言えなくなって来るのではないか。
それを説明するために、付加情報から得られるポイントを当方として整理すると以下のようになる。
  (1)旅行は8月11日(土)からだから、「ちょっと前ぐらい」だと8月6日(月)からの週にはもはやバレていたと見られる
  (2)「見た目は出来ている」ので、本来業務も少なくとも見た目までは作っていた
  (3)上司等と対応を相談している、或いは上司等がヒヤリングや指示をしたのだろう
  (4)旅行前か後かは不明だが、他の人が被疑者業務の手伝いに入った

以上を元に心理状態も含めて考察を記す。
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①業務遅れ露見と遠隔操作実行時期
遠隔操作の7月~8月分は、7月29日、8月1日、9日、27日、29日の計5日。
業務遅れがバレ出した頃か、或いはバレた時期に被っていることになる。
更に遠隔操作だけでなく以下の当ブログ昨年8月3日記事のように、7月26日31日、8月6日28日にもコンパイルを行っている。つまり、iesys及びドロッパーで何らかのバージョンアップ開発を少しでも実施したということになる。
”夏休みとバージョン番号”  (表に「旅行前の遠隔操作」追加)
イメージ 1








②本来業務の状況
バレる前も、見た目だけではすぐバレない程度に取り繕うことは行っていた。
つまり、少なくとも「本来業務を”全く”やっていなかった」とは言えなくなる。
後は「”殆ど”やっていなかった」の程度問題になる。
それに関しても江川氏記事にある以下の被疑者発言は重い。
それなりの成果物は存在するのです。是非とも、当時の私の成果物が何だったのかを確認してほしいと思います。そうすれば、当時私がiesys.exeを開発作成していたのではないことが分かって頂けると思います。

成果物を確認すれば業務状況の相当なところまで分かる。
検察は被疑者がここまで自信を見せている「それなりの成果物」を押収して確認していることは間違いない。
それがあっても実質は「全くやっていなかった」に近い状態だったと証明できるのか。
弁護側は「業務の割合を概略定量化すると何%対何%だったのか?」と、検察側に想定を表明するよう求めると良いと思う。これは検察側にとって苦しい質問になるだろう。
「数字などでは出せない」という回答になるかもしれない。
しかし、その場合は「肝心な想定さえ出せないぐらい曖昧なのか」ということで、裁判官の心証形成に影響があり得る。

③本来業務とiesys開発
もし仮に被疑者がiesys開発していても、本来業務もそれなりの成果物があるということになると、時期的に並行した開発になる。
頭の中でJava&Eclips(本来業務用)とC#&VS2010(iesys用)が錯綜して混乱しやすくなる。
もちろん、本来業務とiesysで、機能として全く違う内容のソフトを考えなければならない。
これは両方の開発効率に大きく影響する。

④他の人の関与
バレたのは他の人が動かしてみたことになるから、少なくとも旅行の「ちょっと前」には同僚や多分上司も被疑者の仕事の状況を見ていた。
8月9日にも遠隔操作が行われているが、9日は旅行の二日前であり、明らかにもうバレていた時期に犯行に及んだことになる。
更に旅行前か後かは不明だが、「他の人が一緒に手伝いで入った」という変化も重要である。
当然遠隔操作やその関連開発などを行うことは非常にやりにくくなるが、旅行後からとしても8月27日、29日にも遠隔操作は行われている。

心療内科受診と開発期間
心療内科を受診し出したのが7月であることは、受診記録で日時まで完全に特定可能。
その頃に精神状態悪化が限界になったので受診したと見ることが出来るだろう。
また、医者の証言はこれから出て来るが「仮病」だったという診断にはならないだろう。
そうすると、受診開始が7月入ってすぐの7月2日(月)と仮定し、心療内科で薬を貰ったとして効いてくるまでの時間も必要。(投薬も記録に残る)
以前調べた際には、効果が出て来るまで大体一週間ぐらいかかるとの事だった。
もし被疑者がiesysを開発していたとして、仮に7月9日ぐらいから調子が良くなって開発が進んだとしても、7月の実質開発期間は初回犯行用iesys2.0コンパイルした7月26日迄の約2.5週間ぐらいに減ってしまう。
もし6月末に開発着手できていたとしてプラス一週間ぐらい? しかし、心療内科に行く決心するぐらい悪化してたと思われる時期になる。また、CSRF犯行6月29日の後から開発着手だと7月まで殆ど日にちはない。

⑥露見と心理状態
被疑者が置かれていた状況における心理状態で一番重要なのは、「バレそう、或いはバレたすぐ後」という状況では精神的に物凄く追い詰められるということ。
通常は、上司等からのヒヤリングに対する遅れ状況・原因の説明や、対策案などが矢継ぎ早に求められる。
対策会議や打合せも相当回数行われたのではないか。
だが、前述のように間違いなくバレてたと考えられる8月9日も犯行は行われている。
それに必要な擬装用ユーティリティソフトやドロッパも作っている。書込代行依頼も行っている。
一番精神的に追い詰められた時にこんなことする技術者はいるか?
当方に聞かれたら「いるわけが無い」と即答する。
技術開発で追い詰められた時の心境は、他の人の例も含めて経験上身に染みて良く知っているからである(笑)

⑦現実逃避
心理的に追い詰められた時には、rec*lde**des*さんのコメントにもあった「現実逃避」したい心境になるのは人として有りがちなことである。
しかし、その際の現実逃避手段は簡単なものでなければならないだろう
厄介な問題や困難な問題に立ち向かうのが面倒だから、簡単な方法として「逃避」を選択する。
それに対して今回の遠隔操作手法は、実行までざっと考えただけでも以下の作業が必要(iesys.exeは初回版開発後として)。
 < iesys.exeバージョンアップ→ソフト要求者を探す→要求者に合わせた擬装用ユーティリティソフト作成→ドロッパ作成→アップロード→代行依頼書込→代行書込(代行者)→感染確認→遠隔操作>
しかも隣の席や、後ろを通ってたばこを吸いに行く同僚などに見つからないように細心の注意が必要。
これが簡単なことだろうか。
(iesys.exe開発そのものも現実逃避の一環と考えられなくはないが、話が6月末以前まで遡ってしまうので、ここでは犯人が初回版開発した後で、被疑者が窮地に立っていたのが確実な時期で考えた)

⑧簡単な現実逃避
8月9日の二日後11日からは、簡単な現実逃避(気分転換)の典型である旅行、しかも夏の北海道へバイクで9日間という羨ましいような行程である。
それがすぐ待ってるのに、あえて面倒くさい遠隔操作するのか?
時間があったら旅行の準備や下調べの方が楽しい時期だろう。
しかも、バレて追い詰められてる真っ最中。
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ここまで書いてきて、検察側はこの状況に全く理解を示さないのか?、と本当に不思議に思えてきた。
検察官の仕事でも、期日などである程度追い込まれるようなことは必ずあるだろう。
そんな時に気分転換や現実逃避で面倒なことをするか? しかも2日後から大型連休という時期に。
これが理解できなければ、検察官の「健全な社会常識」はどうなのかという話にもなる。
また、犯罪者心理ならこのような矛盾した行動を取ることもあるということを、或る程度納得性を持った説明や事例などで示せるのだろうか。

以上のように、開発関係は当方の最得意ジャンルであるため幾らでも薀蓄含めて語れてしまう(笑)
それで、今日はここまでにして③被疑者本人像は本日記述をベースに明日記させて頂くことにする。

以上