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第7回公判前整理手続後記者会見(5) アリバイに関してⅡ

昨日記事では今回の記者会見で初めて明らかにされたSDカードのタイムスタンプをとりあげて、タイ旅行との関係でアリバイを検討してみた。
また、12月6日記事では当方の考える最大争点として2つ挙げて、そのうち一つが「トロイ開発想定期間において被疑者が本来業務を殆どやっていなかった」という検察主張の立証はどうなっているのかという点である。
これも、「本来業務をやっていたら(作成時間が足りないから)トロイ作成は出来ない」という広い意味でのアリバイ論議になる。

アリバイは有罪無罪の大きな争点になる場合が多い。
本事件もアリバイ問題が実際には最大争点になって良いと思うが、被疑者・弁護側もなかなか「アリバイ主張」しないし、検察側も有罪立証の一環として当然考えるべき先回りして「アリバイ崩しておく」という作業をやっているように見えない。
本当に不思議な展開になっており、当方も最大争点としてアリバイ問題をまず第一に挙げなかったのは双方の議論が無いので一旦置いておいたからであるが、本日からアリバイ問題を掘り下げてみたい。

本事件のアリバイ論議の対象は色々あると思うが、トロイ作成と並んで直接犯行行為である「遠隔操作」のアリバイは最重要となる。
それに関して、12月8日記事で紹介した江川氏記事中に公式なアリバイ発言が一つあった。
”【PC遠隔操作事件】被疑者が述べた全てを公開”
<弁護人(竹田) 
 ーー今回の被疑事実が遠隔操作事件であることを最初に知ったのはいつなのか。被疑事実にある平成24年8月9日午前10時37分ころから午前10時42分ころまで、どこにいて何をしていたのか。 
 片山「逮捕された時点では、コミケに殺害予告をしたとしか書かれておらず、遠隔操作事件の関連だとは分かりませんでした。それが分かったのは、逮捕された日の夕方に取調官から、それをにおわすようなことを言われた時が初めてでした。次に8月9日の午前中は派遣先の会社で仕事をしていました」>

竹田氏の質問だと、平成24年8月9日午前10時37分ころから午前10時42分ころで5分間になるが、
実際は当方調査結果で9月2日記事 「昨年8月9日午前の2ch書込」に示した以下のようになる。
 (1)08/09(木) 10:37~10:55 ・・・ コミケ 8レス 
 (2)同10:59 ・・・ 皇族 1レス

全体として10:37~10:59の22分間で9レスとなり、1レスあたり平均約2分27秒である。
2chに書き込むのはこの時が初めてであり、又遠隔操作によるやりとりがあるので手間がかかったと考えられる。
そして(1)の8レスは本文は同じだが全部違うスレに書き込んでおり、(2)の別本文別板の1レスと併せて、書き込み中は他の仕事をやっている余裕はなかったのではないかと思われる。

また、犯行声明メールで以下のように書かれている。
<感染先は(会社名)という会社の社内PCでした。
 (個人名)という人のPCのようでした。
 今回のバージョンからPC内のファイル送信機能を付けたので、
 社内のファイルをいくつか見させてもらいました。
 (個人名)氏のマイドキュメントフォルダのファイル一覧>

ファイルを幾つか見ているということだし、ファイル送信機能も初めて使用するということで、書込操作以外にも時間も掛かったであろうことを考え併せると、全体としては少なくとも30分ぐらいは他の仕事はせずに遠隔操作を行っていたと想定できるのではないか。
それに対して被疑者は「8月9日の午前中は派遣先の会社で仕事をしていました」と明確にアリバイ主張していることになる。

遠隔操作は他にもやっているが、愛知の事件は最初の逮捕と起訴の容疑であり、検察側はまず被疑者のアリバイ主張発言があるこの時間帯のアリバイを崩せているのだろうか。
30分間といえども、会議や打ち合わせだったりして記録があることも会社では充分考えられる。或いは被疑者がその間に書類作成や長めのメールなど行っていてタイムスタンプがあるかも知れない。そのようなことがなく充分遠隔操作可能という綿密な裏付け捜査でアリバイ崩ししておくことが必須となる。

これに関連して、検察側主張では<遠隔操作の場所は「東京都内又はその周辺」、使用PCは「インターネットに接続されたPC」>となっていることはよく知られている。
場所・PCと並んで特定が必要な日時については、したらば掲示板に指令が書き込まれた時刻はログから特定して証明予定事実記載書(犯行行為性を書いた第二部?)などで明らかにしているようだが、犯人がそれをいつ書き込んだかは特定していないと思われる。
特定したら少なくとも派遣先にいた時刻では場所とPCも特定される。
逆に考えて場所とPCを特定していないということは、犯人が指令書込操作を行った時刻も特定していないということになる。

それで「時刻を特定していないからアリバイを崩す必要もない」という何とも豪快な主張になっているのだろうか???
雲取山での「情を知らない第三者の可能性」という仰天主張も思い起こすと、今回の検察側としてはこういう主張で乗り切る方針なのかも知れない)

本事件のアリバイ論議の不可思議さは、弁護側も含めて明日又考察予定。

以上