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コメント返信(9月29日分)

val*gar*yさんからコメントを頂いた。関心を持たれている方も多い内容と思われる。

>弁護側は、被疑者のPCにiesysの痕跡があるという証拠に対しては、遠隔操作されていたということではなく、感染していたという主張しかできないのではないでしょうか。

被疑者と弁護側の主張をまとめると以下の(1)~(6)になるのではないかと当方は考察。

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被疑者と弁護側の一番の基本スタンス。
 (1)被疑者は事件には全く関係ない。やってないのになぜこんな状態(逮捕・起訴)に置かれているのか分からない。

「分からない」だけでは有効な主張にならないから以下を主張した。
 (2)フィギュア・雲取山江ノ島などの行動の一致性は、被疑者のPCが覗かれていた可能性が考えられる。

更に検索履歴や派遣先PCのiesys.exeの痕跡等の件が出てきて次のような主張を行う。 
 (3)覗かれていただけではなく、そのようなものが残るような遠隔操作もされていたのではないか。

しかし、掲示板への犯行予告書込等の直接犯行行為は、被疑者とは関係ないところで行われたとする。
 (4)検察が「再遠隔操作」と言っている犯行予告書込等の遠隔操作は、犯人が別のPCで行ったのだろう。

これでも無理があるのではないかというのが、val*gar*yさんのコメント内容ではないかと受け取っているが、当方も基本的には同じような感想を持つ。
ただし、そこで(1)の基本スタンスが重要になって弁護側の姿勢は以下となる(当方推測)。
 (5)「事件には全く関係ない」のだから、犯人の目論見やそれが達成されたかどうかなどとは無関係に、
   被疑者が犯人と疑いを持たれるような証拠がなぜ被疑者が使用していたPCにあるのかだけを弁護側は問題にすれば良い。

それで最終的に弁護側は以下のように求める 
 (6)検察側が被疑者が犯人と主張するなら、被疑者と弁護側の主張(遠隔操作されていた)が間違いと検察側が証明する必要がある。
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それに対して検察側は当ブログ9月28日文字起こしの佐藤氏発言によると以下のように言っているとのこと。
 <「弁護側から遠隔操作されていたということを具体的に主張しろ」というふうに検察官は述べたのです。>


つまり、検察側は「先に弁護側の証明を出せ」と言っていて、弁護側はその逆を言っている。
普通だと水掛け論だが、刑事裁判は検察側と弁護側で捜査能力が全く違う。更に「推定無罪原則」がある。
また詳細は省略するが情況証拠で有罪にする場合の最高裁判例などもある。

検察側が証明の責任を負って当然なのだが、検察側も面倒なことはやりたくないし、証明できなかったら裁判で不利になるから弁護側に押し付けたい。
それは弁護側も分かってるので、佐藤弁護士は「複数犯」説も出して、二つの内一つは検察側に証明責任を持たせようとしていたというのが当方推測であった。
「被疑者PC遠隔操作」説の方が直接的影響が大きいから、こちらが選ばれることは間違いなかった。
(佐藤氏の真意は別としても、結果的にはこのようになるのではないかという推測)

なお、これまでも何回か述べてきているが、直接犯行行為である遠隔操作による犯行予告書込の具体的証拠を検察側が出せず曖昧なままにしているので、
同じく曖昧さがある「被疑者PC遠隔操作」説でも対抗できる可能性が出てくるという事情が根底にある。

この流れで来ていると思っていたら、何と本来は当て馬でも仕方がなかったはずの「複数犯」説を検察のほうから持ち出してきた。
更に「被疑者PC遠隔操作」説(被疑者PCが遠隔操作で覗かれていた、証拠も作られたという説)の方は、予想通り裁判所が検察側に検証を促す流れになってきていて、
被疑者の意見書を予定主張として裁判所が受理した。
被疑者は拘束されているから主張の証明が充分できず、拘束している検察側に検証責任が発生する。
(この点は被疑者が良く分かっていて「限られた面会時間に、フォークリフトでも無いと運べない量の証拠書類を全て打ち合わせすることは不可能に近いです」と書いている。
 なかなか頭がいいことが分かる)

加えて「2ch事件」がある。
これは先日も記したように、警察捜査済みであるからまず捜査記録を出すだけなので、検察側も拒否する理由がない。
ただ、迷宮入りになっている可能性が高く、その場合「本事件と関係ないとなぜ言えるのか?」という追求にどう答えるか。
「とにかく関係ない」、或いは精々「遠隔操作ではないから無関係」などと再捜査もなしに門前払いの回答すれば、
「昨年の誤認逮捕を受けて本事件はきちんと捜査してるというが本当なのか?」という疑問が生まれて主張の信頼性も低下する。
そんな主張に裁判所もすんなり乗るわけには行かなくなる。

結局以下の三項目全部を検察が相当真剣に取り上げなければいけなくなったようだというのが再度のまとめである。
 ・「被疑者PC遠隔操作」説(特にポータブルアプリケーション説)
 ・ 2ch事件
 ・「複数犯」説

以上