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訴因に関して1

本事件における検察側対応の中で、訴因の問題を取り上げる。
最初の起訴が3月22日に行われたが、「犯行場所」や「犯行に使用されたPC」の特定が余りにも曖昧だったので、これで本当に起訴出来るのかと当方は疑問を持った。
しかし、ネット上では以下の様な意見や見解が見られた。

 <訴因の機能は①審判対象の限定と②被告人の防御の範囲を明らかにすることにある。
  最高裁は①がメインで②がサブの機能と捉えている。>

 <刑事訴訟法256条3項は「公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。 
  訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。」 
  と規定している。 
  弁護側の主張は(今回の検察側の訴因記載は)これに違反する、という主張。
  256条3項の解釈については、最高裁は「罪となるべき事実」そのものでない限り、出来る限り特定されていればいい 
  という立場なので、訴因にPCが特定されていなくてもただちに違法にはならないと思う> 

 <訴因の特定は第一義的には裁判所が起訴された事件と他の事件とを区別するために要求されるもので、 
  被告人の防御の点は二次的なものとされている 。>

上記を書いた方々は、訴因に関する最高裁判例を知っているということで、司法については相当知識があるのだろう。
しかし、当方は司法面だけでなく一般常識に照らしてみて本事件の起訴のやり方に疑問を感じた。

起訴というのは、国家がその配下の官僚である検察を使って国民を裁判にかける行為である。
特に被疑者が否認している場合は、推定無罪の原則が適用されるわけだから、それを乗り越えて起訴に持ち込むことになる。

更に起訴が在宅起訴ならまだしも、起訴されたことを理由に勾留を続けることができて本事件もそうなっている。
もし起訴が正当なものでなければ、国民の基本的権利である自由の侵害という重大な事態になる。
この視点が、上記の意見や見解を出していた方々には決定的に欠けているように思った。

(続く、3回シリーズ予定)